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終末世界で時が止まったら  作者: ぺゅづゃぐょ
永冬の星・第二節 全てを守り抜く天梁星
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24.デッドマーク

「何としてでも再構築を止めろ!」


 キミヒが咄嗟にヴェルジェネに銃を構え、何発か撃つ。しかし効いている様子は無く、全て無効化された。同時にシュヴァリエ、レフコローゼ、オルヴォワールが斬りかかるが、ヴェルジェネを覆うバリアに防がれてしまった。


「10…」


 その時、キミヒはあることを思いついた。


「9…」


「シュヴァリエ君、オルヴォワールでもいい!」


「7…」


「できるだけ強く、真っすぐな一撃を放ってくれ!」


 シュヴァリエとオルヴォワールはその指示を聞き、閃いたシュヴァリエはオルヴォワールに少し囁いてから雪山に向かって跳躍した。


「5…」


 オルヴォワールはヴェルジェネに何度も斬りかかり、


「はぁっ!」


最後には剣の側面でヴェルジェネをバリアごと上空に突き飛ばした。


「(後は頼んだぞ、正真正銘の騎士…)」


「4…」


 シュヴァリエは既に山頂にて剣を逆手持ちに構えている。そして息を整え、剣を少し後ろに引く。


「【虚月の魔性(ルナ・デッドマーク):燭刑】の名において…」


「2…」


 研究所Xにいる者すべてが息を呑む。


「『運命の基盤』によると、俺達はまだ死なないはずだ…」


「1…」


 シュヴァリエは目を見開き、剣をまっすぐに投げる。


()()を刻む!!!」


 その剣は一瞬でヴェルジェネまで至り、バリアを貫通しヴェルジェネの体を貫いた。



かのように思われた。


「再構築の準備が完了しました。再構築は4秒以内に完了します」


 ヴェルジェネの体が青白く発光し、完全に再生した。


「もう終わりだ…」


 諦めかけたシュヴァリエはその場に倒れ込む。しかしその時、ヴェルジェネの前には()()()()()()()があった。ヴェルジェネはそれに見られた瞬間、何か見てはいけないものを見てしまったかのような表情を浮かべ黒く霧散していってしまった。


■下らぬ。汝らは此奴如きに苦戦を…ぐっ!?■


 それは崩壊した研究所Xにいるクータスタの方向に吸い取られていく。クータスタは左手を伸ばし、それの力に抗いながら立っている。


■我の力で生き延びたというのに、次は我を幽閉しようとでも…!?■


「今、あなたの力の制御権は僕にあります! 大人しく言うことを聞いてください!!」


 しばらく経った後、それは抵抗しながらようやくクータスタの左手に吸い込まれていった。


「これからは、僕と一緒に…」


少し前…


()()を刻む!!!」


 そのシュヴァリエの一撃は、強烈な音とともに空を穿った。クータスタは、研究所Xにてその一撃を見た。


「………ザルトニア…?」


「ん? 何か言いましたか?」


 近くで聞いていたリズが問う。


「…! 全部思い出しました!!」


 そう叫んだクータスタは咄嗟に左手を出し、ヴェルジェネに向かって影を放った。その隣で、キミヒは安心したように肩の力を抜いた。


そして今…


「スリープモードへ移行…」


「よし、これで完了だ」


 キミヒは研究所Xの崩れた部屋の中から星間案内図を見つけ出し、電源を消した。


「ところでクータスタ。お前、シュヴァリエの一撃を見た時にザルトニアと言っていたが、それは何だ?」


 ヴェルジェネと戦っていた時、ずっと何かを考え込んでいた翠がクータスタに訊く。


「ザルトニアは、僕に仕えていた猫…いや、人です。シュヴァリエさんの一撃が、彼女の移動に似ていたので…」


「い、移動…? 移動であれなのか?」


 そこにキミヒが割り込む。


「そう。クータスタ君なら彼女の移動は見飽きてるだろうから、それに似たのを見せてあげれば、また別の記憶と一緒に力が蘇るかなと思ってね」


「詳しくは、彼女には会った時に話しましょう」


 山から降りたシュヴァリエを含む一同が集まり、状況が落ち着いた後、コユキ達に詳しい話を聞くことになった。


「そういえばコユキ、お前はカヴァリエーレじゃなく、シュヴァリエについて何か知っていたか?」


「いや、ボクには何も聞かされてないよ。ボクもずっと、エーレちゃんの霊化の目がどんなのか気になってたもん。天梁の騎士団の団長さんは何か知ってた?」


「カヴァリエーレの第一の霊化の目については知っていたが、それによって悪魔になることは知らなかったな。そもそも『悪魔』なんて種族、聞いたことないぞ」


 翼を畳んだシュヴァリエが目を閉じて腕を組みながら口を開く。


「『闇影の星』の災厄、『影喰い』について知っているか? 『悪魔』は、それによって心臓を侵食された侵食体だ。私も『影喰い』の被害者であり、悪魔となった生存者だ。第一の霊化の目も、その時に覚醒した。それと…


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


私もその内の一人だが、必ずしも彼らと友好関係を築けるという訳ではない」


 『デッドマーク』の危険性について聞き、キミヒからは星間案内図も預かった。そろそろ次の星に…


「ちょっと待ってくれ、君達」


「ん、何だ?」


「君達はエレオスシーフから落ちていく最中に星間案内図を無くしたのだろう? だったら、無くさないようにしてあげようか?」


 キミヒはニヤニヤしながらセルヒ達に提案する。


「どうやって?」


「例えば…自我を持ったヒトにしたり…?」


 そう言うとキミヒは駆け足で部屋から一つの資料を持ってきた。


「星間案内図とゆかりのある人物と言ったら、やっぱり世紀(よすみ)君かな…じゃあ早速体の構築から始めるよ」


「いやまだ何も言ってないんだが…世紀って誰だ?」


 するとキミヒは少し表情を暗くし、こう答えた。


「かつて…ここで育った女の子さ。クータスタ君よりずっと長くね。あの子は何にも関心がなかった。だから周りをあまり見なかったんだ…いや、ここでする話じゃないね。まあ、いずれわかるさ」


「(勝手になんか提案されて勝手に進んで勝手に空気暗くなったんだけど!? どうしてくれんの!?)」

世紀について

 かつて研究所Xで長く育った少女。何事にも関心がない故にあまり周りを見ようとしなかった。


『影喰い』…『闇影の星』の災厄。膨大な魔力と大量の影が溢れ出し、多くの人が亡くなり、生存者は体を侵食された。


悪魔…『影喰い』の生存者の一部で、心臓を侵食された者。


デッドマーク…一部の悪魔にはこの印が授けられる。死を経験した上で生きた悪魔は特にこの印が授けられやすいという。

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