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終末世界で時が止まったら  作者: ぺゅづゃぐょ
永冬の星・第二節 全てを守り抜く天梁星
23/27

23.死した悪魔の証跡

「ありがとよヴェルジェネ…久しぶりに本気が出せそうだ。そうだカヴァリエーレ、お前も、最近霊化の目を使ってないだろ。この機会に使ってみたらどうだ?」


 オルヴォワールは赤黒い鴉羽を生やしながら大剣を握り直し、ヴェルジェネに向ける。ヴェルジェネは相変わらず無表情のまま見下している。


「いや、こんなところでは…」


「『こんなところ』? じゃあお前はお前が忠誠を誓った者の前で哀れな死に様を見せるのか?」


「私は…」


 カヴァリエーレは少し躊躇いを見せながらも、左目に手をかざす。


「【虚月の魔性(ルナ・デッドマーク)】!」


 青い三日月の模様が瞳に浮かび、カヴァリエーレの右額に一本の角と、背中に青い悪魔の翼が生えた。


「エーレちゃん!? その姿…」


「す み゙■セん…ず ッと隠し■て…」


 カヴァリエーレは頭が痛いのか剣を地面に突き刺し、頭を抱え込んだ。そこにオルヴォワールは歩み寄り、しゃがみ込んだ。


「カヴァリエーレ。天梁の騎士団の誓言を言ってみろ」


「虚妄、劣等、暗雲 を断ち…世の゙一切を…糺すこ とヺ此処に゙誓わん…」


「よく言った。今は目の前に『暗雲』がある。世の一切を糺す為、その剣を振れ。敗北という影の前に、勝利という光があることを忘れるな」


 その言葉を聞いてカヴァリエーレは剣を抜いて立ち上がり、ヴェルジェネに剣先を向けた。


「レフコローゼもだ。今こそ、天梁の騎士団の意地を見せてやろう!」


 赤、青、緑の閃光がヴェルジェネに襲いかかる。【神聖:弓式】と【神聖:滅式】で防御も強いられたが、レフコローゼとカヴァリエーレの剣で十分防げていた。


「オラオラァ!」


 オルヴォワールは飛びながら一気にヴェルジェネに攻め寄り、剣を振るう。無数の赤い斬撃が飛び交ったが、どれも命中はしなかった。


「団長〜、いつもの脳筋さが滲み出てるよ〜? もっとちゃんと狙わないと!」


「そぅ゙いう お前だって■ワざわざ植物 の蔓に乗っ゙て移動してルせいで随 分と遅いじゃな■か」


「空飛べないから仕方ないじゃん!」


 三人が空中で奮闘している頃、地上ではキミヒの指示でアステオーリアとリズ、翠は避難していた。コユキは避難しながらも空を眺めていた。


「あれ? さっきってまだ夕方だったよね? いつの間にかおひさまが…沈んでる? 時が止まってるんじゃ…」


「星は魔力を含んでいるからね。宇宙で塵や魔力が集ってできたのが星なんだ。長ーい時間の中で、星は小さな積み重ねを糧にしてここまで発展しているんだ。さっ、早く!」


「星…」


 その時、ヴェルジェネが地下の避難所の方を見た。彼女は無言のまま避難所に向けて【神聖:弓式】を放った。


「コユキ君! 早く入って! 避難所の中は安全だ!」


 コユキは星空を見上げ、思いを馳せていた。


「ボクが墜ちた時も、エーレちゃんとアスちゃんはボクを心配してくれてたよね…」


 いつの間にか矢はコユキの目前に迫っていた。三人の騎士とキミヒがコユキに手を伸ばしたが、


「…!!」


 爆風がキミヒを弾き飛ばし、避難所を崩壊させた。遠くでカヴァリエーレがコユキの方を見ると、すぐに飛んでいった。剣で煙を払い、コユキの姿を探す。


「お嬢■!」


 そこには、咄嗟に出した雪に横たわったボロボロのコユキがいた。


「ごめん、エーレちゃん…油断しちゃって…」


「いえ゙、私の゙不 注意で…」


 上空ではまだオルヴォワールとレフコローゼがヴェルジェネと戦闘しており、その音は鳴り止まなかった。


「ボクのことは後でいいから…まずは、みんなを…」


 カヴァリエーレはその言葉を聞いて再び剣を握った。


「私、カヴァリ■ーレは…いや、も゙うこ うなって は真実を受■入れ るしかない…」


「私、()()()()()()()()()()()()()は…」


「忠誠の下に゙剣 を振るい…」


「全てを守り抜く為の星となる!!!」


 その瞬間、カヴァリエーレの右目に太陽のような模様が浮かび上がる。赤とオレンジ色の霊力が右目から溢れ出し、()()()()()()()()()()()()


「あ、ありえない…! 霊化の目が二つ!?」


 キミヒが驚愕し、コユキは安心したような表情を浮かべる。カヴァリエーレは後ろを見ながら少し頷き、『月影』を地面に投げ捨てた。そして右目に手をかざすと、手に込めた霊力で新たな剣を創造した。赤と青の炎を纏い、鋭い刃がシュヴァリエの意志の如く輝いていた。


「この『暁星(デイブレイカー)』が、光となって夜明けを齎そう!」


 そう言って彼女は指を鳴らし、新たな心象世界『暁』を展開した。


「【剣陣展開・表】…」


 地面に赤い魔法陣が現れ、彼女の髪が燃え盛るように靡く。


「【残光の調律(アナモルフォーシス)】!」


 彼女は高く飛び上がり、剣に炎を纏わせて後退しつつ攻撃するヴェルジェネを何度も斬り刻んだ。


「この炎は物体の本質を直接燃やす。機械だろうと関係ない」


 シュヴァリエは着地し、炎を払おうと足掻くヴェルジェネを見ていた。そこにいた一同はこれで終わりかと思ったが、数秒後にヴェルジェネは空中で静止し、赤く明滅し始めた。


「まだ何かあるのか…?」


 すると、ヴェルジェネから無機質な音声が再生された。


「«警告とお知らせ»


>>>本端末が外部からの攻撃により損傷しています


>>>音声終了後10秒以内に管理者権限による計画の変更が確認されなかった場合、本端末は強制的に再構築を行い、全ての不具合を修整します


>>>再構築は本端末の完全な復元を実現させるとともに、安全にも配慮しています


>>>再構築は10秒後に行われます」


 するとキミヒが慌てながら駆け出した。


「再構築させるな! ヴェルジェネが復活するぞ!」

シュヴァリエ・デッドマークについて

 カヴァリエーレがコユキの怪我によって現した正体。悪魔の角と翼を生やしている。カヴァリエーレが長い間隠していた霊化の目【虚月の魔性(ルナ・デッドマーク)】により顕現する。


暁星(デイブレイカー)』⋯シュヴァリエが新たに創造した剣。シュヴァリエの第二の霊化の目によって創られた為、大量の霊力を含み、固有スキル【残光の調律(アナモルフォーシス)】を発動できる。

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