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終末世界で時が止まったら  作者: ぺゅづゃぐょ
終末世界で時が止まったら
2/10

2.時空の狭間から

 しばらくして、三人は町を出て広い平野に出てきた。


「これって世界中が止まってるのか?」


「はい。そういえば言い忘れていましたが、この世界には様々な星があるんです」


 急に当たり前のことを言いだしたかと思えば、翠がよくわからないことを言い出した。


「俺達が今いる『生の世界』には異様にデカい八つの星とちっさい星が数兆個あるんだ。それとは逆に、『死の世界』にもいくつか星がある」


「???」


「『生の世界』はみんなが生きている世界で、『死の世界』は死者の魂が漂う世界です。おそらく、生者は『死の世界』には干渉できないので、止まっているのは『生の世界』だけだと思います」


「それでも全ての星が止まってるんだな………あれ?」


「どうかしましたか?」


「いや、死の世界に直接干渉できないなら、どうやってそのことを知ったんだ?」


「それもまた、創世神話の内容です」


「またかよ…」


「…待て!誰かいる…」


 翠が戦闘態勢に入った。


「誰もいないようだが?」


「来るぞ!」


 空間が裂け、その中から黄金の歯車仕掛けのロボットっぽい物が出てきた。


「邪魔者を検知。直ちに殲滅します」


 敵だった。その瞬間、セルヒは


「(チュートリアルか?)」


と思った。


「はぁ…所詮は雑魚か…」


 嶷灯 翠は呆れた顔で剣を構える。どうやらチュートリアルではないようだ。


「【運命の礫】」


 剣から淡く光る何かが出てきた。


「ーーー!!!」


 その途端、敵は瞬く間に消え去った。


「なんだ今の!?」


「あいつを『死の世界』に送ってやっただけだ。もう戻ってくることは無いだろう」


「(絶対に敵に回したらダメな人だ…いや、まず人なのか?)」


「…も、もう終わりましたか?」


「なんだ、引っ込んでたのか」


「いや、あの、ええと、き、急に現れてきたので…」


「はぁ…その体格に見合わない杖は何の為に使うんだ?」


「すみません…」


「えっと…とりあえず行こうか…」


 三人はまた歩き出した。


「さっきの話の続きですが、僕達が今いるのは一番平和な、『追憶の星』という星です」


「その他には、『煌航の星』、『闇影の星』、『赤霧の星』、『輪廻の星』、『生命の星』、『戒時の星』と…暗雲で隠れている未確認の星だな。おそらく『時間』は『戒時の星』にいる」


「その全ての星を巡ることになるのか?」


 翠は空中に画面のような物を浮かばせ、それをしばらく眺める。


「待て、確認する………そうだな、全ての星を巡り、最後には………は?」


「どうしたんだ!?」


「最後、重要な結末が書いてあるところが、全て黒く塗り潰されている…」


「???」


「いや、まあ旅を進めれば分かるだろ」


「そこの方々…」


 真っ黒なレインコートを着た気弱そうな少年が話しかける。


「動いてる!?」


「なんだ?」


「あなた達、動いてる人を探してるんですよね…? どうか、あなた達の旅に同行させて貰えませんか?」


「動いてる時点で、それなりの魔力はあるようだが、どうやら使えないようだな。まあいっか。人はいるだけ良いしな」


「はい! ありがとうございます! 僕のことは椋と呼んでください!」


「分かった」


  旅の仲間が四人になったところで、平野を抜け、森林に入った。その瞬間、獣のような咆哮が轟いた。


「ヤ゛ャ゛ャ゛ーーー!!」


「!?」


「今のは森の奥の魔物の咆哮だ」


「ひぃ…」


「なんだ、もう怯えてるのか…安心しろ。今、俺達が勝つように運命を定めた」


「もうそれチートだろ!」


 翠が即答。


「そうだが?」


 セルヒが引くように答える。


「そうなんだ…」


 翠はきょとんとした顔で答える。


「???」


「そろそろ着くようですよ…」


「さて、腕の見せ所か…」


「ィ゙?」


「失せろ」


「ィ゙ァ゙ャ゙ーーー!」


「【運命の礫】」


「ギル゙ャ゙ーーー!」


 その魔物は『死の世界』に送られたが、まだまだ湧いてくる。


「ったくめんどくせぇ…【裂空の殲刃(スカイデストロイ)】!これで森ごと斬り尽くす!」


 辺り一面が黒い光に覆われ、瞬く間に森は更地になった。その瞬間、


「戻れ」


全てがもとに戻った。


「何が起こったんだ!?」


「? 何を仰っているのですか?」


「時が戻っただと!?」


「この森にまだ生存者がいるかも知れないじゃないですか!」


「はあ…」


 椋は混乱している。


「えっと…何があったのですか?」


 みんなが椋に今起きたことを事細かに説明する。


 気まずい空気が漂う中、さっきの魔物がまた現れた。


「時間が戻ったから復活したのか!」


「【双刃の乱舞クロスブレイド・ラストダンス】」


 翠が双剣を扱い、踊るように魔物を殲滅していく。


「す、すごい…」


「進め」


 リズが魔物がいる空間の時間を進ませ、老衰化させる。しばらくしたあと、魔物は一匹残らず全滅した。


「ありがとよリズ。おかげで狩りが順調だった」


「や、やっと終わった…」


「なんだ、ビビってたのか?」


「うぅ…」


 四人は再び足を動かし始めた。

椋について

 どこからか現れた純粋無垢な少年。■■■と■の■■、そして申し訳程度に剣を操る。


『生死の世界』⋯『生の世界』と『死の世界』の総称。それぞれ生者と死者が集う。


魔物⋯『時間』の魔力から生み出されたと思われる生命体。

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