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終末世界で時が止まったら  作者: ぺゅづゃぐょ
永冬の星・第一節 月無き夜に吹雪く絶島
18/22

18.剣戟の決闘場

「続けるぞ、レフコローゼ!」


 カヴァリエーレは再びレフコローゼに斬りかかる。しかしこれもまた笑顔のレフコローゼに指で受け止められてしまう。


「とりあえず、一旦停戦ってことにしない? 団長の許可を取って、正式な決闘にしようよ」


「この戦いは私個人の判断による制裁だ。他人が関わるものではない」


 そう言って一方的な攻撃を続けるカヴァリエーレ。しかしレフコローゼは剣を腰に携えたまま。小さいステップと指さばきのみでカヴァリエーレの剣を避けていた。そよ風に揺れる芽のように。


「埒が明かないじゃん。時止まってるからどっちも疲れないし。もしまだまだ続けるつもりなら僕もスキル使うけど?」


「それは脅しのつもりか? いいぞ使え。容赦はするな」


 驚いて少し目を開けたレフコローゼは、表情をすぐに戻し、微笑みながら呟いた。


「【光が届かない庭(イレースガーデン)】、【白薔薇の死棘(ローゼスティンガー)】」


 周囲が白い薔薇のみの庭に変貌し、至るところから薔薇の棘が伸びてくる。この猛攻にカヴァリエーレは攻撃の機会を失う。


「(やっぱり使えなんて言わなきゃ良かったか…)」


「やっぱり僕にスキル使わせたこと後悔してる? 別に今から戻してもいいよ?」


 そう言ってレフコローゼは返事を待つこともなく心象世界を閉じた。


「それじゃあさらにハンデね。はい、これ貸してあげる」


 レフコローゼはカヴァリエーレに自分の剣を投げた。白い片刃の長剣で、鍔には薔薇の装飾が施されていた。


「それはね〜、『白刺』って言って、団長が自ら作ってくれたんだよ〜」


 自慢げに剣について語っていたが、カヴァリエーレは遠くに投げ捨てた。


「私は双剣には慣れていないし、白刺を扱ったこともない。私はこの『月影』で十分だ」


「そっか〜。じゃあ僕は手足だけってことだね。もちろん霊化の目も使わない…これでいい?」


 カヴァリエーレは小さく頷き、レフコローゼに一気に迫る。その瞬間、


「俺の許可もなく何してる?」


「!?」


 黒いコートを着た赤髪の男がカヴァリエーレの目の前に現れた。そしてカヴァリエーレは、すぐに剣を鞘に納めた。


「あ、団長! 聞いてよー、カヴァリエーレがいじめてくるのー!」


「お前も同類だぞ、レフコローゼ。お前、シュヴァルツ殺しただろ」


 団長は呆れたような目でレフコローゼを見つめる。


「シュヴァルツって誰だっけ?」


「庭に勝手に入ったからって、お前が殺した騎士だよ。同僚の名前を忘れんな。あいつも、この止まった世界で動ける数少ない騎士のうちの一人だったんだけどな。あとカヴァリエーレ、個人的な制裁だとしても、依頼または決闘以外での他の騎士との戦いは全面的に禁止されている。ルールを破ってるのは、カヴァリエーレもだ」


 団長は赤い髪を靡かせながら二人と少し距離を取る。カヴァリエーレはその後ろ姿を眺めながら、考えていた。


「(おかしい、この方には隙がありすぎる…しかも今は剣を携えてもいない。それだけ余裕があるというのか?)」


 そして団長は振り返り、両手を広げた。


「もしお前らが決闘を望むなら、俺が承認してやる。勝った方が、えー、んー…じゃあ、負けた方が勝った方の言うことを一つ叶えるってことで。ただ、霊化の目を含むスキルを使わず、剣のみで戦うこと、舐めプをしないこと、そして、互いに殺さないことを条件にな…どうする?」


「僕はしてみたいなー」


「私も同意見だ」


 団長は少し頷き、こう叫んだ。


「【無死の決闘場(スタジアム)】!」


 心象世界が開かれ、障害物のない戦場が現れた。


「先に気絶、または降参させた方が勝ちだ。決闘…始め!!」


 団長の声を引き金に、二人は互いに一気に詰め寄った。その一秒後にはもう激しい剣戟戦が繰り広げられていた。鍔迫り合いや空中戦も度々あった。


「(エレオスシーフを斬った時のことを思い出すんだ…たとえスキルでなくとも、できるだけ再現しろ…あれだけの速さがあれば、レフコローゼを超えられるはず…)」


「(僕は力は強いけど、速さの点で言うとカヴァリエーレの方が有利。ならこの力を利用して防御と反撃に徹すればいいはず)」


 団長は伽藍とした観客席に一人足を組んで座りながら、その結末を見届けようとしていた。


「(あいつらは二人とも精鋭中の精鋭だ。それに、ルールを守ることや、仲間を思うなどという確固たる意志も持ってる。総合的な実力で見ればレフコローゼが優れているが、さっき見た感じだとカヴァリエーレの強い意志はレフコローゼをも超えるかもしれない…ははっ、これは予想できないな)」


 攻防が繰り返され、どちらにも隙は見えなかった。勝負がつくのは、まだまだ先になりそうだ。


───コユキの家にて。


「カヴァリエーレの『用』については、見当がつきました」


「え!? わかったの!? ねね、エーレちゃんは何しに行ったの〜?」


 雪遊びを続けていたリズと椋も戻ってきて、アステオーリアの推測を聞く。


「僕が騎士団の動いている方に話を聞いてきたところ、カヴァリエーレはレフコローゼという同僚のところに行ったそうです。また、とても怒っており、殺気さえ感じられたと言っていました。もしかすると、カヴァリエーレは何かルールを破ったレフコローゼさんに恨みを抱き、殺しに…いや、正式な許可を得て決闘をしに行ったのかもしれませんね。カヴァリエーレはルールに従順ですから」


「加勢に行ったほうが良いか?…いてっ!」


 そう言ったセルヒの頭を翠が叩く。


「バカかお前。確定したわけでもないのに。それに、もし合ってたとしても、他の人は関わるなって言ってたんだしな。今は待つしかない」


「そっかー…」


 六人は雑談をしながらカヴァリエーレの帰りを待つ。

騎士団長について

 黒いコートを羽織る、赤髪の騎士団長。


白刺…レフコローゼの剣。騎士団長が作った。


月影…カヴァリエーレの剣。カヴァリエーレが愛用している。

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