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終末世界で時が止まったら  作者: ぺゅづゃぐょ
永冬の星・第一節 月無き夜に吹雪く絶島
17/23

17.刀光剣影、白い薔薇を照らす月光

 エレオスシーフが崩壊し、永冬の星に落ち、星間案内図を失くしたセルヒ達は特にやることもないので雪遊びをしていた。しかし翠は雪遊びはせずに一人で星間案内図を探していた。


「翠さんも雪だるま作りましょーよー」


「こんな時に遊んでられるか。俺らも協力すべきだろ」


「翠って俺と同じ中学生ぐらいなのに、大人っぽいよな」


「バカかお前。創世者の『運命』が中学生なわけないだろ。これはちょっと器を借りてるだけだ。創世者達は本来魂だけで生まれるからな」


「へ〜…え?」


 さり気ない話をしているうちに、コユキとアステオーリアが帰ってきた。


「僕とコユキの霊化の目を使っても、雪山では見つかりませんでした」


「なんだそれ?」


 アステオーリアは少し目を開いて驚く。コユキはいつの間にかリズと雪合戦をしていた。


「霊化の目を知らないのですか?」


「他の星は知らないけど永冬の星ではみんな持ってるよ〜? まあ、簡単に言うと固有スキルを持つ目だね」


 いきなり出てきた新しい単語に戸惑う。


「あれ? 話さなかったか? …だとしてもセルヒ、お前知ってるだろ。『記憶』の力持ってるんだから」


「いや、知らん」


 リズが雪玉を丸めながら翠の方を向く。


「霊化の目は霊力由来のものだからじゃないですか? 実際、『記憶』の力はセルヒさんの他に玲花さんも持ってるんですし。魔力由来の記憶はセルヒさん、霊力由来の記憶は玲花さんで役割を分担してたりとか」


「そういえば玲花も『記憶』の継承者だったな。俺が霊化の目とやらを知らないのも納得だ」


「僕の霊化の目は【原罪顕現】、コユキは【永遠なる雪見】です。物事の本質を見抜く能力と、雪を操る能力を持っています。見たところ、セルヒさんにも霊化の目があるように見えますが…この僕の目が見えますか? 霊化の目はこのように、その人特有の模様があります」


 セルヒはその話を聞いて目をキラキラさせる。そこにアステオーリアが詰め寄り、セルヒの目を眺める。


「あなたにも、模様が見えます。この模様は…まるで時計ですね。ただ、まだ覚醒していません。霊化の目は、特定の条件を満たして覚醒させる必要があります」


「その、特定の条件ってのは!?」


「わかりません。人によって違うので。大体、その人の心が大きく揺れ動く瞬間に覚醒します。あなたでいうなら、旅の終点とかでしょうかね…」


 また一つ、セルヒの可能性が見出せた。


───天梁の騎士団本部にて。


 カヴァリエーレは一人剣を磨いでいた。


「虚妄、劣等、暗雲を断ち、世の一切を糺すことを此処に誓わん…」


 天梁の騎士団の誓言を胸に、カヴァリエーレは立ち上がり、雪山を降りた。


「ここだな…」


 そこは、一面に緑が広がる庭だった。その中心には椅子に座り、白い薔薇の装飾の黒いローブを身に着けた一人の緑の髪の女性がいた。


「おや、カヴァリエーレじゃないか」


「単刀直入に聞こう…なぜ騎士団を裏切り、研究所Xという禁忌に足を踏み込んだ!?」


「裏切りだなんて、人聞きが悪いなぁ。僕はただ、彼女らの言う、『世界を震撼させる研究』に興味がわいただけだよ」


 その女性はふっと微笑み、少し目を閉じる。細い眼は、カヴァリエーレを捉えていた。緑色の目に、薔薇の模様を浮かばせながら。


「騎士団では、上の許可なく雪山以外の場所に立ち入ることは許されない! その上、お前を探しに行った騎士団の者を容赦なく殺した!」


「それはあの子が勝手に僕の庭に入ったからだよ。この庭に勝手に入っていいのは、僕と君と騎士団長だけだだからね。あの子は怖い物知らずだったよ」


 カヴァリエーレは怒りを露わにしながら剣の柄に手をかける。


「いきなり物騒だね。でも、騎士同士の決闘は騎士団長の許可を得ないとだめだよ」


「問答無用!」


 カヴァリエーレはその女性に一気に詰め寄り、剣を振りかざす。その女性は剣を取り出すこともなく、指でその剣を挟んで受け止めた。


「真っ正面から来るなんて、君らしくないね」


「ふっ…」


 その女性の背後には、カヴァリエーレの鞘があった。カヴァリエーレは剣を振りかざす前に、鞘を投げていたのだ。しかしそれもその女性には当たらず、首を少しかしげただけで避けた。


「うんうん。その調子。そのうち僕の実力を超えるんじゃないかな」


 カヴァリエーレは鞘を持って素早く後退し、次の攻撃の準備をする。


「【赦罪の晩鐘アフィエーミノクススキア】」


 カヴァリエーレは指を鳴らした。刹那、青い霧が周りを覆い、月の無い夜のように暗くなった。


「(ここでは、昼型のあいつは私を視認するのは難しいはず)」


「ああーっ! せっかくの庭がー!」


「【剣陣展開・裏】」


 剣を逆手持ちで握り、目の前にいる女性の攻撃に備えた。


「…目の前?!」


 いつの間にか、剣は植物の蔓に絡まれ、動かせなくなっていた。その女性はカヴァリエーレの首にそっと指を沿わせ、微笑んだ。


「剣とかスキルとか心象世界とか、使うのが早すぎるよ。あと僕、目はいいからね」


 カヴァリエーレは剣を蹴り、無理矢理蔓から脱出させた。


「さて、続けようか?」


「…続けるぞ。お前が死ぬか、気絶するまでな…レフコローゼ!」

レフコローゼについて

 カヴァリエーレと同じく、天梁の騎士団に所属する女性。いつも笑っている。カヴァリエーレよりも高い実力を誇る。


器と魂⋯器が死んだ時でも魂は死なず、次の器に宿る。これが『輪廻』が定めた輪廻転生。


霊化の目…特定の条件を満たすと覚醒でき、固有スキルを持つ。この固有スキルは魔力ではなく霊力を使って発動される。

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