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終末世界で時が止まったら  作者: ぺゅづゃぐょ
永冬の星・第一節 月無き夜に吹雪く絶島
16/22

16.「やべ。失くした。」

雪の中、月光と咎めは分れ道で再会し、次のページに向う。

───永冬の星、雪山の頂にて。


「ボクたちの家にいらっしゃい! (まあボクが雪で作ったんだけどね〜)」


「家っていうか…宮殿じゃねぇか!」


 セルヒ一行はコユキ達に連れられてコユキ達が住んでいる家にやって来た。そこはもう豪邸と呼べるほどの大きさの宮殿だった。


「確かに私達はここに住んでいるが、睡眠以外のほとんどはこの外で行っているんだ。いつもは施錠しているが、お前達には特別に開放しておこう。まあ、そこの壁の後ろにいる輩のような奴は歓迎しないがな」


「え?」


 アステオーリアが咄嗟にどこからか槍を取り出し、ノールックで投げた。そして壁が崩れ、驚愕している女性が一人、姿を現した。


「…バレたか」


「何十年と護衛をしてると、勘というものが鋭くなるものです。僕達を欺こうなど、もう二度と考えないことですね」


 アステオーリアはゆっくりと槍を拾い上げ、その女性を連れて外に出ていった。しばらくして戻ってきたが、さっきの女性の姿はなかった。


「彼女はエレオスシーフの乗務員の生き残りでした。名をキミヒと言い、ここの情報を探ろうと侵入したそうです」


「まあ許しておけ。悪意はないだろう」


「そうだよアスちゃん! もっと他人に優しくしないと〜」


 その言葉を聞いてアステオーリアはにやりと微笑む。


「ふふっ、そう言うと思って、指一本で済ませておきました」


「はぁ…もう少し慈悲というものを知ってくれないか…」


 少し遠くで見ていたリズと椋が質問する。


「これが、あなたたちの日常なんですか…?」


「そうだ。まあ、アステオーリア以外、私達は正当な理由なく周りの人間に危害は加えない。あと、私達のことは『沈黙伏魔殿』と呼んでくれ。コユキお嬢様が天竜だった頃の私達の呼び名だ」


 沈黙伏魔殿と名乗ったカヴァリエーレ達は、家で少し支度を済ませてから再び雪山の案内を続けた。


「山腹のデカくて白い建物が見えるか? あれが、私が所属する『天梁の騎士団』の本部だ。重要な任務がある時はあそこで会議を開いたりもする」


「今は霧で見えませんが、麓に『雪邦』という巨大都市があり、その中枢に研究所Xがあります。僕達が復讐すべき相手です」


 雪山の案内が終わり、またコユキの家に戻った。


「案内は以上! 終わり! 時間が止まっててすることも特にないし、自由にしてていいよ!」


「案内っていうかただの観望だな」


 ここには別に用もないので、星間案内図でまた別の星に行こうとした。しかし今気づいた。


「やべ。失くした。星間案内図」


「は?」


 ポケットを見ても星間案内図は無い。


「まあ星間案内図は有能だから勝手に戻ってくるだろ。多分」


「だとしても、しばらくはこの星に留まることになるだろうな」


───研究所Xにて。


「バイナリを解析中…所有者から離れています。強制回帰プロセスによりバイナリの改竄を行います。実行中…失敗。再度実行中…失敗。出所不明の霊力によりシステムがハックされています。ウイルスの強制消去を行います。実行中…失敗。ウイルスの自己複製と融合によりプロセスが遮られました」


これ(星間案内図)の出所は?」


「今はまだ詳細は不明ですが、ここ(研究所X)の製品ではないようです」


「興味深いものだ。これほどまでの技術、いったい誰が…」


 星間案内図は研究所Xの実験室でハッキングと解析をされていた。


「…進捗は?」


 所長らしき女性が部屋に入り、進捗の報告を受ける。


「ここの製品ではないものの、卓越した技術力でバイナリの改変と形態変化が可能なことが判明しました。これから、『神』(パラドックス)の観測に利用できるか検証するところです」


「わかった。終了次第、結果を報告してくれ」


「承知しました」


───コユキの家にて。


「そうか。なら、ここに泊まっていろ。その星間案内図とやらが見つかるまで探してやる。お嬢様とアステオーリアがな」


「ふぇ?」


「カヴァリエーレは探さないのですか?」


 翠がお願いしたところ、コユキとアステオーリアは星間案内図の捜索に協力してくれるそうだ。


「私は騎士団の方に用がある。私が捜索に関わるのは、その件が終わってからだ」


「その用ってなんだ? よければ俺が手伝うぞ?」


 セルヒは良心で手伝うつもりだったが、


「関わるな! これは私の…」


すごい強く断られた。


「…あぁ、すまない。驚かせてしまったな。でもまあ、これは本当に私だけで成さないといけないことなんだ。何としてでも…」


 それぞれやることを決め、コユキとアステオーリアは星間案内図の捜索、セルヒと翠とリズと椋は雪遊び(?)、カヴァリエーレは『やるべきこと』をすることになった。雪が舞う中を歩くカヴァリエーレは、独り言を口にしていた。


「私が必ず…」


「待っていろ…」


「レフコローゼ…!」

キミヒについて

 エレオスシーフの元乗務員。コユキの家に侵入し、アステオーリアに指を一本切り落とされた。


レフコローゼについて

 カヴァリエーレの『やるべきこと』に関わっている人物。その目的は復讐か、相談か、それとも…


沈黙伏魔殿⋯コユキ、カヴァリエーレ、アステオーリアをまとめた呼び名。コユキが天竜だった頃の一体+二人の呼び名でもある。


雪邦…永冬の星の巨大都市。中枢には研究所Xもある。


霊力…魔力や掌握力とはまた違う力。セルヒ達はまだその存在を知らない。


『神』…研究所Xが観測を試みる何か。研究所Xだけでなく、他の卓越した強者や知恵者の最終目的でもある。

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