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終末世界で時が止まったら  作者: ぺゅづゃぐょ
終末世界で時が止まったら
1/10

1.止まった世界

「カチッ」


時計の針が九時を指した。


「ーーー」


 全ては、終わった。


「カチッ」


 時計の針が九時を指した。


「…またか…もうこれで何回目だろうか…」


「………」


「…!?!?俺は今何を…」


 俺はセルヒ。ごく普通の一般人だ。転生とかもしていない。なんならしたい。話は変わるが、俺は最近、違和感を感じている。いつも九時ぴったりに起きるし、いつも起きた時に強烈な頭痛が襲ってくる。それに、朝起きる瞬間に金色の光が見えたり、自分の声で


「またか…」


 などの声が聞こえる。しかしたった今、俺は今まで以上の違和感に出逢った。


「………え?」


「時間が…止まってる?」


 弟の時間も止まっている。


「おい、リズ!どうしたんだ?!」


「母さんも…」


「………何も…喋らない…何も…動かない…」


「それに…何で俺だけ止まってないんだよ…」


「悪夢なら覚めてくれ………!」


 外に出ても誰も動いていない。


「おいおい、本当に誰も動いてねぇじゃねぇか…」


 空には飛行機がその場に止まっていたり、雲も一定の位置で止まっていたりしている。その瞬間、


「ーーー」


 空中に黄金のポータルの様なものが空いた。全てが止まっている中で、それだけは唯一動いていた。中にはよくわからない数字っぽいのが並んでいる。そして、中からローブを着て、大きな杖を持った小柄な少年が出てきた。


「誰だ?!」


 セルヒは警戒心を高める。


「うぅ…頭がクラクラする…」


 中から出てきた人は頭を抱えている。


「…どうやら敵意は無いようだな…」


 セルヒは警戒を緩める。


「ええっと…ここはどこですか?」


「え…どこって言われても…」


「あ、いや、すみません!いいんです!とりあえず、自己紹介が遅れましたね。僕は星間放浪者の、リズと言います」


 ふと弟のことを思い出す。その瞬間、悲しみと疑惑の感情が込み上げてきたが、何故か直ぐに無くなった。


「え?」


「え?何かおかしなことでも言いましたか?」


 どうやら偶然のようだ。そのことに気づいたら急に親近感が湧いてきた。


「いや、俺の弟の名前もリズだから…」


「そうでしたか。なら別の呼び方でもいいですよ」


「まあそんなことはいいんだが…なんで今ここに来たんだ?それに、何故か時間も止まってるんだよ。何か知ってるか?」


「そういえば、ここに来た時からずっと僕が扱う『時操魔法』という魔法に似た魔力を感じているんですよね」


「時操魔法?」


「まあ、その名の通り時間を操る魔法ですね。それに、あなたからもその魔力が感じられます」


 セルヒは純粋に驚く。


「俺に?!」


「はい。それに、とても強力な魔力です。これだけあ れば、世界を操ることも容易にできるかと…」


 さらに驚く。


「いやいやいや、俺魔法の使い方とか分からないし、今までだって使ったことないし…」


「まあ、人によっては使いこなせない人もいますからね…でも、使い方さえ分かれば絶対に強くなるはずです!」


 この上ない程驚く。


「やったー!………じゃなく、とにかく俺の他にも動ける人を探さないと。何も分からないままだ」


「そうですね。あなたや私のように魔力が多い人なら動けるはずです!では、探しに行きましょう!」


 二人は相変わらず止まっている世界を探索し始めた。


 しばらくして………


「ん?あのパーカーの人、動いてないか?」


 明らかに動いて何かブツブツ言っている人がいた。


「そうですね。話を聞いてみましょう!」


「あ、あの…」


 青年は顔を背けて黙り込む。


「………」


「すみません。僕ら、この止まった世界で動ける人を探してるんですけど…」


 青年が顔をこっちに向けた。気怠そうな顔だった。


「あぁ。知っている」


「(なんで?)」


「え?もしかしてあなたって…『創世者』の『運命』ですか?!」


「あぁ。だが、俺のことは嶷灯 翠と呼んでくれ。その呼び方はあまり好きじゃないんだ。知ってるだろ?」


「知ってるわけ無いじゃないですか…」


「まあそんなことはどうでもいい。これからはお前らの旅に同行することになるだろう。セルヒは俺を仲間にしようとしてるだろ?」


「なんで分かったんだ!?」


「まだ説明してませんでしたね。この方は『創世者達』というグループに所属している、『運命』です。『創世者達』とは、それぞれ一つずつの概念を操る能力を持った者達です」


「つまり、翠は運命を操るってことか?」


「そういうことだ。『創世者達』は他に、『予言』、『時間』、『記憶』、『生命』、『輪廻』がいる。そのうち、時間を止めている元凶は『時間』だろう」


 俺はこれからの旅のラスボスを早速見つけたような気がした。


「そ、それって…誰でも知ってるようなことなのか?」


 翠が呆れているように答える。


「そんなわけないだろ…これは創世神話の内容だぞ?」


「創世神話は、世界の隅にある終世遺跡の最奥に置いてあった本です」


 新しい単語が次から次へと出てきてしばらく混乱していたが、いろんな説明を受けてようやく情報を整理できた。


「まあこんなところで話をしていても時間の無駄なので、早速出発しましょう!」


「そうだな!/あぁ。行こう」


 三人の旅はここから始まった。

お読みいただきありがとうございます!

以下はこの作品の人物紹介と固有名詞の紹介になっています。


セルヒについて

 この作品の主人公。一般人だが、膨大な魔力を秘めている。


リズについて

 止まった世界で出会った異邦人。『時操魔法』を使うビビりな少年。不明な点が多い。


嶷灯 翠について

 姿を変えた『創世者』の『運命』。『運命の基盤』というものを使って運命を操作できる。とても強いというのに、あまり能力を使わない。力を溜めている様。


この作品の固有名詞について

『創世者』⋯『終焉』と共に世界を築いた者達。


『創世神話』⋯『終焉』が書いたとされる、世界の始まりを記す本。


『終世遺跡』⋯『創世神話』が置かれた、世界の隅にある遺跡。しかし、ここの石板には『世界の中心』と書かれている。

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