第七章6 【2月3日/初等部4年生活動中】6/世界一大切な娘をよろしくおねがいします3
【芳一】は、【フェアリア】の【母親】である【鬼女】の襲撃にあい、血の涙を流すその姿から、【フェアリア】の壮絶すぎる人生を感じ取り、【涙】を流した。
【鬼女】は、
『解るの・・・』
と言った。
【芳一】は、
「【日本】に伝わる【仏教】には、【鬼子母神】と言う守護神が居ます。
貴女はそれになるべきだ。
毎月18日が【鬼子母神】の縁日になります。
今日じゃない。
今から半月後、おなりなさい・・・
今日は節分。
鬼を祓う日だ。
鬼は外、福は内。
貴女はこれから娘さんの幸せを一心に祈る、【フェアリアさん】だけの【鬼子母神】になるといい・・・」
と諭した。
【鬼女】は、
『・・・大切な娘なの・・・
本当は誰よりも・・・
誰よりも幸せになって欲しい・・・
だけど私は何てことをしてしまったの?
私は悪い親。
娘に相応しくない鬼女・・・』
と嘆き悲しんだ。
すると、
『ぐるるるるる・・・今更、何を言っているのやら・・・
お前は鬼だ。
お前も鬼だ。
儂が話さない。
儂は約束を果たした。
娘は世界一の美しさを手に入れた。
だから、娘の人生は儂のものだ。
娘が不幸になればなるほどあの娘は最強の鬼へと進化する。
儂の娘だ。
儂が育てたのだ・・・』
と言う地獄から響いていそうなドスの利いた男の声が、【鬼女】の口から出て来た。
【芳一】は、
「そうか・・・本物の【鬼】は貴女に取り憑いていたのですね。
では僭越ながら、祓わせていただきます」
と言って、【鬼女】の左胸に手を突っ込んだ。
思った通り、【2つの鼓動】がある。
1つは【鬼女】の、もう1つは【フェアリア】の【母親】を【鬼女】にした本物の【鬼】の心臓だ。
【芳一】は迷わず、片方の【心臓】を握りつぶした。
すると、
『ぎぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ』
と断末魔の叫びとともに、【鬼女】に取り憑いていた【鬼】が消滅した。
後に残されたのは、元の人間だった頃の【フェアリア】の【母親】の姿だった。
お世辞にも美人とは言えない。
だけど、【芳一】は、
「さすが、世界一の美人さんのお母様だ。
貴女もとても美しい」
と言った。
【鬼女】では無くなった【フェアリア】の【母親】は、
「ありがとうございます・・・それだけで私は救われます・・・」
恐らく【フェアリア】の【父親】も含め、誰にも綺麗だと言って貰えなかったのだろう。
それを言って貰えてだけで、彼女は救われたのだ。