第七章5 【2月3日/初等部4年生活動中】5/世界一大切な娘をよろしくおねがいします2
【芳一】は【鬼女】と化した【フェアリア】の【母親】の襲撃に遭っていた。
【フェアリア】の【母親】は【フェアリア】を【世界一美しく】するために何でもやっていた。
【日本】の血も持っていた【フェアリア】の【母親】とは【古い風習】から【女性】とは男性の3歩後ろを歩くものだと教育していた。
【レディーファースト】の国の血も入っているのだが、【日本の鬼】に祈った【母親】は古き日本の考えを重視した。
また、見た目だけでなく、才能が溢れ、心も美しくならねばならないとして、徹底した教育という隠れ蓑をつかった虐待を続けていた。
そして、そう育てられた【フェアリア】はすっかり【ネガティブ】で【従順】な精神を【主人格】が持つようになり、それを守るために他の【人格】が分離して出てくる様になっていた。
【シェリア】も【キメラ】として扱われ厳しい人生を歩んできたが、【フェアリア】の様に、両親からも虐待される様な生活は送っていなかったため、【シェリア】の方は両親の温かい愛情を受けたため、【ポジティブ】な感情を持つ事が出来ている。
対して、【フェアリア】にまともな愛情を向けていたのは彼女の【祖母】だけであった。
【祖母】はたまに彼女の元に来て、【芳一】の【創作】の話をしていた。
【祖母】には日本人の友達が居て、その友達が、【芳一】のライフワーク作品、【フィクション・レジェンド】のファン第1号となっている。
【フェアリア】にとって【祖母】との話だけが唯一の希望だった。
【芳一】の【フィクション・レジェンド】にはそれだけの意味があったのだ。
だが、【祖母】も【祖母】の友達も既に故人である。
生前の【祖母】は孫娘を守るために、【フェアリア】を両親から引き離し、ある組織に【フェアリア】を預けた。
その事がきっかけで【フェアリア】の【母親】は【フェアリア】の祖母を殺した。
そして、【フェアリア】の【父親】を喰い殺し、本物の【鬼女】となった。
全ては命よりも大切な娘を守るためだった。
それが何でこうなったのか?
【フェアリア】の【母親】はただ自分の命を引き替えにしても世界一愛している、世界一大切な娘を守りたかっただけなのに。
【鬼】に祈ったがために、それは間違った方向に進んでしまった。
【フェアリア】の【母親】はもう理解している。
自分には娘を幸せにする事は出来ないと言うことを。
だから誰かに大切な宝物を託したかった。
誰にも負けない強さを秘めた、世界一強い男に。
世界一強い男ならば娘を安心して任せられる。
娘を幸せにしてくれる。
そう信じて、【鬼女】は来日し、【芳一】を襲撃した。
自分ごときに負ける様な相手に娘は任せられない。
だから力を試しに来たのだ。
【芳一】は娘を思う【母親】の思いに答えられるのか?
【鬼女】は血の涙を流し願う。
《娘が笑顔になってくれるのであれば、私は何もいらない。
全てを捨てても良い。
だから、せめて・・・せめて・・・世界一の男性に・・・》
その思いを何となく感じた【芳一】は涙が出て来たのだった。
「辛かったですよね・・・・」
とつぶやくのだった。