第七章48 【2月14日/初等部4年生活動中】13/わたくしを【2次眷属】にしてくださいまし
デート中、突然現れた【フェアリア】と【シェリア】の前世、【ティシェルリア姫/ティシェル姫】の双子の妹【ティシェイナリア姫】を前世に持つ少女、太平洋のど真ん中に突然出現した架空の国【ティシェイナリア王国】の姫君【仁愛・ティシェイナリア】は、プリンセスとしての風格と圧倒的なカリスマ性を持ち合わせた人物だった。
6歳の少女とは思えぬその威厳に驚いた【芳一】だったが、彼女は【フェアリア】と【シェリア】と同じ年くらいの姿に変身して見せた。
それは、【全知全能界アンサワルド】崩壊後、彼女が転生を繰り返し、ゼロから得てきた【力】の1つで、年齢を【全盛期】に設定する事が出来ると言う【年齢操作】の【異能】だと言うことだった。
【仁愛】は、同級生の【神宮 雛鞠】から、【選ばれし者】の事を聞き、【シェリア】と【フェアリア】の助けになるために、助力しに【北海道】から【東京】に引っ越してきた。
が、高潔な魂を持つ彼女は絶望をしていないため、【夢異世界部活学校】には行けないのだった。
そのため、【シェリア】か【ファアリア】の【2次眷属】になる必要があったのだが、彼女が選択したのは、
『【リア殿】、いえ、【唯野 芳一殿】。
折り入ってお頼みしたい事があります。
わたくしを貴方様の【2次眷属】と言うものにしていただけないでしょうか?
わたくしは姉上様方のどちらかに加勢したいと思って東京へ参りました。
ですが、貴方様にお会いして、姉上様方が前世にて、希望を託しておられた【リア殿】の魂を受け継ぐ貴方様に助力する事が、わたくしのやるべき事だと理解いたしました。
わたくしとわたくしの配下のもので選抜した何名かを貴方様につけたいと思っております。
どうか、このわたくしのわがまま、お聞き入れいただけないでしょうか?』
だった。
【芳一】は、
「えぇぇぇ?い、いきなり来て、そんな事、言われても・・・」
と同様した。
【シェリア】は、
「僕の記憶が確かなら、この子は、やると言ったら絶対に実行する子だよ。
だから諦めた方が良いかも知れない・・・」
と言った。
【フェアリア】も、
「せ、拙者も同意見でござるよ・・・この子はやると言ったらやる子でござる・・・」
と言った。
どうやら、王族としての役者は【仁愛】の方が遙かに上だと2人とも理解している様だ。
【芳一】としても、つい先日、【Kポップスター5人】が最後の【テレパシー】でお別れを言って来て、自軍の戦力が激減していたところなので、戦力強化としてはありがたい話かも知れないが、いきなり仲間になりたいと言われてもちょっと困ってしまうのだった。
【仁愛】は、
『実力をお疑いならこの場で力を示してもかまいません。
【異能】をいくつかお見せすればよろしいでしょうか?』
と言った。
どうやら、ただ、【1次眷属】である【芳一】から力を譲渡してもらうだけでは無く、彼女自身が数多の【力】を有していると言う事を証明したいようだ。
ただ、彼女は絶望していないため、【夢異世界部活学校】へ入る資格が無く、【選ばれし者】の誰かの【2次眷属】になる必要があり、その相手を【芳一】にしたいと言う希望があるだけなのだ。
なので、【芳一】から多くの【力】を貰おうとは思っていない様子だった。
彼の力を求めてやってきた下心のある者では無いと言う事だ。
それは彼女のまっすぐで一点の曇りもない目を見ても判断出来る。
彼女は強く聡明である。
それは【芳一】にも理解出来た。
問題は6歳という年齢である。
6歳の幼い少女を【選ばれし者】の危険かも知れない戦いに巻き込んでもよいものか?
ましてや【逆転参戦方式】で参加する【芳一】の敵となるのは無茶苦茶な設定が乱舞する【芳一】が作った作品である。
通常の敵とは全く訳が違うのだ。
あんな恐ろしいものとの戦いに参加させられるのか?
それが疑問であり、悩みの種だった。
だが、一歩も引かない【仁愛】の視線に圧倒され、
「よ、よろしく、お願いします」
と言うしかなかったのであった。
【仁愛】はそれだけ決まるとデートの邪魔をしては失礼に当たるとして、身を引いたのであった。
後には【仁愛】の圧倒的な迫力、威厳に呆然とする【芳一】、【フェアリア】、【シェリア】の3人が残されたのだった。




