第七章47 【2月14日/初等部4年生活動中】12/姉上達、お逢いしたかった
【停止ありえる】から【ていしありえる】、【ていしえるりあ】、【ティシェルリア】と言う覚え方をした【シェリア】と【フェアリア】の前世、【ティシェルリア姫/ティシェル姫】だが、彼女には双子の妹が存在していた。
その名前は【停止ありえない】から【ていしありえない】、【ていしえいなりあ】、【ティシェイナリア】と言う覚え方をする【ティシェイナリア姫】と呼ばれた存在だ。
彼女は、その力のほとんどを姉である【ティシェルリア姫/ティシェル姫】に渡し、それによって、【群体生命体】と言う新たな【生】を得ていた。
双子の姫の母、【全知全能界アンサワルド】の最後の女王【ティコタシウ女王】は、【総謎超想果ミステアルティ】に対抗するために娘を産むとき、その【秘術】を使っていた。
そのため、【ティシェイナリア姫】は影の存在として存在を公表されなかった。
だが、【ティシェルリア姫/ティシェル姫】の自決により、それまで安定していた【全知全能界アンサワルド】が一気に不安定となった時、【ティシェル姫】の【群体生命体】としての力を引き継ぐべきだった【ティシェイナリア姫】はそれを拒否したため、【全知全能界アンサワルド】は滅びたとされる。
【ティシェイナリア姫】もまた、双子の姉と【リア(【芳一】の前世)】の愛を影ながら応援しており、母や貴族達の愚行が赦せなかったのである。
【全知全能界アンサワルド】は消失し、そこに居た存在は散り散りに別の【異世界】へと飛ばされた。
【ティシェイナリア姫】は圧倒的なカリスマ性と才能を持っていたが、母の意向で長子である【ティシェルリア姫】にその全ての才を明け渡す様に言われた時、彼女はそれを甘んじて受け入れた。
トップに君臨する器としては姉よりも上だった【ティシェイナリア姫】。
末期の【全知全能界アンサワルド】の間では、やはり、【ティシェイナリア姫】を跡継ぎにするべきだったと言う声が多く上がったが、彼女はそれを否定するために、後継を断ったのである。
【ティシェルリア姫】の【主軸体】と【従軸体】の才能の大部分を補っている【ティシェイナリア姫】の才能。
【ティシェイナリア姫】は自分の才能を奪われて悔しく無かったのだろうか?
答えは否である。
彼女は超がつくほどの人格者であった。
頂点に君臨するのはなりたいものがなれば良い。
自分はそれを望んでいない。
【無力】になると言う事はそこからまた【力】を得る楽しみがあるということ。
【親】から与えられたものでは無く、自らの手で【才】も【力】も手にするのが楽しい。
そう言う存在だった。
だから、姉を凌ぐ、多くの存在に崇められた。
それを嫉妬し、自分の地位を脅かされる事を恐れた母によって権力の引き継ぎを大人しかった姉の【ティシェルリア姫】に受け継いだのである。
断言しよう、才能やカリスマ性、精神的な強さなどでは圧倒的に【ティシェイナリア姫】の方が上だった。
だが、環境などが示す運と愛嬌が【ティシェルリア姫】の方が上だったので彼女が時期女王候補となっていたのである。
異世界へ散り散りになった【全知全能界アンサワルド】の住民達だが、【ティシェイナリア姫】も僅かな手勢と共に【異世界】へと渡って行った。
そして、転生を繰り返し、現在に至るのであった。
そして、6歳の【神宮 雛鞠】と同級生となっていた。
【雛鞠】から、【芳一】の事を聞き、彼女を【姫様】と慕う配下を連れて、【北海道】から【東京】に引っ越してきた。
そして、デート中の【芳一】達の所にやって来て、その6歳の少女は、
『姉上達、お逢いしたかった』
と言った。
【芳一】は、
「は?」
と言った。
だが、【フェアリア】と【シェリア】の2人は口を両手で押さえて涙を流している。
まるで、長年逢えなかった愛する家族に再会したかの様に。
6歳の少女は、
『わたくしは現在、日本と海外のハーフということにしており、【仁愛・ティシェイナリア】と名乗っております。
どういう訳か、【出鱈目】な力の干渉により、わたくしは【ティシェイナリア王国】と言う架空の国の【プリンセス】と言う事になっている様です。
どうやら、国自体が【地球】に出現してしまっている様です。
巨大な力を感じます。
わたくしとしてはそのまま【ティシェイナリア】の名前を残す事にしておりますが、【姓】として使用しております。
姉上はお2人になられてしまわれたのですね』
と言った。
とても6歳の子供が話しているとは思えない様な話し方だ。
【芳一】は、
「あの、2人の知り合い?」
と【フェアリア】と【シェリア】に尋ねる。
【仁愛】は、
『申し遅れました。【リア殿】の魂を持つお方。
【唯野 芳一殿】ですね。わたくしは前世で、このお二方の双子の妹だった【ティシェイナリア】という存在でした。
お2方には、わたくしの元々持っていた力も息づいておりますので、他人事の様には思えません。
わたくしも貴方様に少なからず好意を抱いております。
とは言え、わたくしは姉上様方の影にございます。
わたくしはあくまでサポートに徹したいと思います。
この姿では違和感がございましたら、見た目を姉上様方と合わせます。
いかがでしょうか?』
と言って、6歳の少女は、【フェアリア】や【シェリア】と同じ年くらいの身体に変身した。
成長したその姿は、日本人のハーフに設定しているため、黒髪に近い茶髪になっているが、【フェアリア】や【シェリア】と双子の姉妹と言っても不思議じゃないくらい美しい姿をしていた。
また、2人に分かれてしまった事でどこか頼りない部分もある【フェアリア】や【シェリア】と異なり、圧倒的な自信とプライドを持った高貴な女性として映った。
本物の【プリンセス】としての【風格】が彼女にはあったのである。




