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第七章46 【2月14日/初等部4年生活動中】11/ちぐはぐデート

 【芳一】と【フェアリア】は保護者同伴で違和感のあるコーディネートのまま【バレンタインデート】を開始した。

 周囲の視線は気になるところだが2人は特に気にしていない様だ。

 2人とも別の意味で黙っていても目立ってしまうタイプである。

 それをいちいち気にしていたら身が持たないため、自然と、普通にしている様だ。

 【芳一】は、

「さ、最初に【チョコレート交換】の話なんだけど。

 手作りチョコってやつを作ってみたけど上手く行かなくてさ。

 なので、市販のチョコになっちゃったんだ。

 料理系はあんまり得意じゃなくて・・・

 何でもソースをかけるとかで偏食家とかもよく言われるし・・・

 多分、君の好みの味を出すのは僕には無理だと思う・・・

 それで、その・・・それじゃ君のと釣り合わないと思って、代わりのものも用意したんだよ。

 2つ用意していて、これはその1つ目。

 僕の【世界観】で作ったものなんだけど、【形状記憶動作折り紙】って言うんだけどね・・・

 その・・・百聞は一見にしかずって言うし、とりあえず、実戦してみるね」

 と言っていきなり取り出した【折り紙】を折りだした。

 そして、

「ここをこうして・・・こう・・・だったかな?・・・あれっ?折り方覚えたつもりだったんだけどな・・・上手く行かないな・・・えーっと・・・折り目通りに折ったら出来るはずなんだけど・・・」

 と折り方に苦戦をしていた。

 【フェアリア】は、

「【芳一殿】、応援しているでござる」

 と言い、【シェリア】も、

「ぼ、僕も応援してるよ」

 と言った。

 【帽子】に化けている【姫都音】と【マフラー】に化けている【譚抜祈】は人前なので驚かれるからしゃべれない。

 同様に、【御神体】の【人形/ひとちゅー】と【怨魔体】の【狸のぬいぐるみ/まめぽん】も同じ理由でしゃべれない。

 だが、美少女2人が、妙な男と何やらやっているとして、遠巻きにギャラリーが増えて行った。

 そして、それを気にしていなかった【芳一】が、

「で、出来た・・・これはカタツムリだよ。

 い、いいかな、見てて・・・動くから」

 と言って、出来たばかりの【折り紙のカタツムリ】を近くにあったポストの上に置いた。

 するとポストの上に置かれた【折り紙のカタツムリ】がゆっくりと動き出した。

 【フェアリア】が、

「み、みご・・・」

 【と】言う前に、

「おぉぉぉぉぉ、すげえな、おい」

「兄ちゃん、どうやったんだよ、それっ」

「マジックだよ、マジック」

「いいもの見れたわね」

「もっとやってくれ、もっと」

 と言う感じに野次馬達が騒ぎ出した。

 そこで、【芳一】達は自分達が注目されていたのを知って、

「い、行こう・・・」

 と言って、その場を立ち去って行った。

 そして、人気のない所を何とか見つけ、

「ご、ごめん・・・騒ぎになってしまった様だ。

 でも、これが、僕が作った特殊な【折り紙】で、一度折ってお湯に1時間くらい浸からせると固まるんだ。

 本当は【鶴】でも折って見せたかったんだけど、あんまり綺麗に折れなくて、代わりに何か無いかな?と思って、かたつむりを選んだんだけど、駄目だったかな?まぁ、季節感無いよね、今、2月だし・・・」

 と自虐した。

 【フェアリア】は、

「そのような事はござらん。立派なチョイスでござる」

 とフォローした。

 【フェアリア】にとっては【芳一】のする事は全て正しいのである。

 だが、それではまともな会話にならない。

 【シェリア】は、

「いや、僕は、それはやっぱり違うと思う。【フェアリア】もよくないと思ったらはっきり言わないと駄目だと思うよ」

 と言った。

 こういう点は【シェリア】の方が良い判断だと言えるだろう。

 何でもイエスマンでは駄目だ。

 普通に付き合って行くには自分の意見も言わないと駄目だと言うことだ。

 【フェアリア】は、

「【シェリア殿】には敵わないでござるな。拙者はとても・・・」

 とシュンとなる。

 【シェリア】は、

「もう、これはデートなんでしょ?楽しく行こうよ、楽しく」

 と言った。

 嫉妬から邪魔するかも知れないと思って着いてきた【シェリア】だったが、2人の余りの駄目っぷりを目の当たりにして、ついフォローをしてしまったのだった。

 こうしてちぐはぐデートは進んでいく。

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