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私、ぽんこつ悪役令嬢。だけど溺愛されてます!

作者: 桃井夏流
掲載日:2024/03/29

悪役令嬢物大好きです。サクッと読んでいただけたら嬉しいです。

それは正午の鐘の音を聞いた時の事だった。

私はふと制服のポケットを探った。


『あ、そろそろガチャ更新の時間だ』


しかしポケットを探ってもそこにはハンカチしかなく。

そもそもガチャ更新って何かしら?と考えた時、激しい頭痛に襲われた。思わず頭を抱え、そのまま意識を失おうとして、自分が誰かに支えられた事を感じた。


「ルナ!?どうしたんだ!?誰か医師を!!」


ルナ。そう、私はルナマリア・フロディーテ。フロディーテ侯爵家の一人娘で…。


『太陽は輝き、月は満ちる』の、悪役令嬢だ!!


このゲームは、スマホでプレイする、課金型の乙女ゲームだった。勿論無課金でもプレイは出来るのだけど、その場合攻略対象が幼馴染の剣士見習いか、商家の跡継ぎ、男爵家の次男と、少なめ。

ヒロインはその魔力の高さで男爵家の養女として保護されたところからゲームは始まる。

舞台は王立魔法学院。学院では様々な事が出来た。森に行き、植物を集めてポーションを作ったり。ガチャを回して素材や仲間を手に入れたり。その仲間達と交流を深めてダンジョンに潜ったり。

そんな中、出てくるお邪魔キャラが私、ルナマリアだ。まず、最大のお邪魔要因。ルナマリアは王太子の婚約者なのだ。ルナマリアは悪役令嬢なせいか、ハイスペックで、顔も悪役令嬢らしくなく、何処か儚げな綺麗系。当然、王太子との仲も険悪ではなく、ヒロインは王太子を攻略するにはものすごい労力を必要とした。

私は途中でもう王太子にはルナマリアでいいんじゃない?と心折れかけた事があるほどだ。

タイトルの月とは当然ルナマリアの事で、じゃあ太陽って誰よ、ヒロイン?でもヒロインに太陽関係あった?なんて攻略掲示板ではよく語られていて、結局太陽って何を示唆していたんだろう…?




「ルナ、起きて」

「ルナ、私の名前を呼んで。行っては駄目だよ」


私は冷たい手の感触にゆっくり目を覚ました。


「……いま、なんじ」

「まず先に私の名前を呼んで。好きだと、傍に居ると約束して」


冷たい手の主はサラサラの金髪、泣きそうなアイスブルーの瞳。私の手を掴んで自分の頬に触れさせて、そう、懇願している。


「…レイシーズ殿下。手が冷たいです」

「なんでそんな呼び方するの。何そのお人形みたいな顔。ルナらしくない」

「私もちょっと状況把握出来てないんだもん。こっちの方が合ってるのかもしれないじゃない」

「ルナはぽんこつの部分があるから状況把握は二人でしようっていつも言ってるの忘れたの?」

「ぽんこつとは失礼だよ。突然前世を思い出した婚約者らしき者に全然優しくない」

「そっちこそらしきってなんだ。前世?上等だ、昔ルナがどんな女だろうと紛れもなくルナだけが私の婚約者だって論破してやる」

「ぐっ、格好いい、好き…」

「最初からそう言えば私も素直に優しく出来たんだけど」


レイの手が少しずつ温かくなってきた事にホッとして、私はぎゅっとその手を握り締めた。


「あのねレイ。私ぽんこつだからこれからおかしなこと言うけど、精神疑って可哀想になって修道院とかいきなり送るのは止めてね…?」

「は?私の花嫁をなんで神様にやらなきゃいけないのさ。そんな神なら滅べ」


やらない、って言いながらレイは私をベッドから起こしてぎゅうぎゅうと抱きしめてくる。


「でもさ、レイに、私以外に花嫁になる予定の娘が居たらどうする?」


レイはピタリと身体を止めると、じぃっと私の顔を覗き込んだ。


「もしその娘と結ばれた方がこの国が繁栄するとしたら…いたっ!」


急に額をゴチッとぶつけられて私は思わず顔を上げる。するとレイは待っていた様にちゅっと私の唇にキスをした。


「私の花嫁はルナだけだよ」

「でも、私、悪役令嬢なの」


レイが悪役令嬢、と繰り返した後、フッと笑った。


「あの最近令嬢の間で流行っているって言うあの悪役令嬢?」

「そう。私、可愛い女の子にザマァされちゃうの。レイの事、取られちゃって、婚約破棄だ!ってなる定めなの」

「クッ、フフフ、フフッ。ルナにいじめとかちょっと荷が勝ちすぎるんじゃない?」

「そ、そうだけど!」

「私の事、他の女に取られたくない?」

「当たり前じゃない!ずっと、ずっと私のレイで居て欲しいもの!」


涙がぽろぽろと落ちてくる。こんなの全然悪役令嬢ルナマリア・フロディーテじゃない。でもこれが私。


「嫌わないで…」

「ごめんね、つまらない事と可愛い事言うからちょっと虐め過ぎちゃった」


レイが私の肩をトンッと軽く押しただけで私は再びベッドの上に横になる。


「嫌わない。一生、ルナが私の花嫁だよ」


ちゅう、ちゅってレイが私のあちこちにキスをしてくる。私は慌ててレイの唇を手で塞ぐ。


「だ、駄目、駄目だよ。変な気持ちになるから、ひゃっ」


レイが私の手首を掴んで、手のひらに吸い付く。


「なって?可愛いところが見たい」

「駄目、怒られちゃ、れぃ、」

「可愛い。私のだ。私だけのルナマリア。愛してるよ」


窓からまだお陽さまがきらきらしていて、レイの金髪が輝いている。


もしかしたら、太陽ってレイの事だったのかも、そんな事を考えていたらレイの手がフニっと私のとある部分に触れた。


「余所事」

「ごめん!私もレイが大好きだよ、でも待って!本当にそれ以上は怒られちゃいます!」




結局、ヒロインが怖いと私が言ったら。


『じゃあもう結婚しよう。私としては学生結婚でも万々歳だし』


そのまま本当にあれよあれよと言う間に書面だけでも、いや、婚姻式をまだしていないだけで、ちゃんと夫婦にはなったんだけど!


遅れて来たヒロインちゃんは案の定転生者で、めっちゃ怒られた。本人曰く鬼課金勢でレイルートを目指していたらしい。

でもしばらくしたらケロッとした顔で。


『最初から無理なら他の推しに行くからいーや!協力してくれるよね!当然!してくれるね!?』


と、なんだかんだ仲良くなって。


『ほら、取り越し苦労。この人たらし』


と嫉妬して拗ねたレイが悶絶物で可愛かったのは私だけが知っていれば良いと思う!

悪役令嬢と王太子がそのままいちゃいちゃしている感じの物が書きたくなりました。色々おかしい点はぽんこつなので多目に見て下さい。ありがとうございました!

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