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詩「昭和のカラス」

作者: 有原悠二
掲載日:2023/03/13

青白い現場監督の背中にかぶさるあの天女の入れ墨は先

 日の人為的な洪水で真夜中の月に栽培したマリファナ

 をつつくカラスだ。


――扉を叩く音が三回……


さようなら玄界灘あの海から流れていった黄色の風と青

 い草花と死をも恐れない灰色の木漏れ日よ私は忘れな

 いあの鏡のような非道徳を。


     (どうか居留守を――)


白い粉だったと気がついた暁の肌にガラス細工のシャン

 デリアが揺れに揺れて爆発しそうなエンジン音の上で

 せせらぎのように抱きしめて。


               「……息を殺して……」


私たちはみな惨めな春を売る大陸の血だ太陽が昇る前に

 洞窟は海の底に沈む毎日の夢だから白昼堂々のノック

 の音にもう怯えることはない。


……――。


遠ざかっていく月光の滴るような音楽に合わせて赤黒い

 整体師の腕が老木の折れそうな枝を口という口に食べ

 始める蝉の幼虫と空気の底でさようなら。


……。


気まぐれな処世術の半回転先の焼き色に憤慨する自称教

 師の夢は非暴力のユートピアだった机の下に隠れてい

 る黒猫と一緒に踊るかすかな陽光に涙して。


――扉を叩く音が三回……


鳴りやまない目覚まし時計の影に隠れたそれは押入れの

 中の番の鳥といかにも足の折れそうな細い足に浮かび

 上がる般若の入れ墨をつつくカラスと共に。


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