大好きなお兄様に溺愛されています。7
ドアをノックする音にライラックは部屋に入るように促すと、ライラック専用の執事であるアランが綺麗なお辞儀をして入ってくる。
「おはようございます。ライラック様」
「おはよう」
目を細めて見つめられて、アランはため息をついた。
「お嬢様のお顔、真っ赤でしたが・・・」
「ああ・・・本当に可愛いよね。早く結婚したいなぁ」
主人の言葉にアランは先ほどよりも深くため息をついた。
「嫌われないように気をつけてくださいね。嫌われてしまったら、フォローのしようがございません」
ドアを閉めて軽く部屋を片付けると、ライラックの着衣を整えた。
「そうだね。リラを失ったら生きる意味を見失ってしまうからね」
幼いながら聡明な主人をアランはとても尊敬していた。
聡明がゆえに危ういこの主人は、リラを見つけてようやく安定したと思っている。
だからリラを失わせるわけにはいけないと感じていた。
「食事の準備が出来ました」
侍女がそう伝えにくると、「ありがとう」と微笑みライラックは部屋をあとにする。
侍女がその姿を見て頬を染めている事にアランは気づき、冷めた目で侍女を見て、本日3回目のため息をついた。