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大好きなお兄様に溺愛されています。





扉が開かれると、視線の先にはお兄様・・・ライラックが立っている。


お父様のエスコートで一歩一歩歩き出す。


緊張した私はライラックの元にたどり着く手前でつまづいてしまった。


ライラックが私を支え、クスリと笑って私にしか聞こえない声で「そんなリラが大好きだよ」と耳元で囁いた。

真っ赤になる私を見てライラックが微笑む。

お父様は息をはいてライラックの背中を軽く叩いてその場から離れていった。


「私もどんなライラックも大好きです」

「リラ!」



ライラックが私をギュッと抱きしめて私の頭に口付ける。

嬉しくてライラックの背中に手を回して抱きしめかえした。


「コホン!!」



目の前にいた神父様が咳をした。

すっかり式を忘れていた私がライラックから離れようとしたら、ライラックが私の腰に手を回した。


「続きは後でね」



耳元で囁かれて益々頬が熱くなる。

神父様が半ば呆れたような表情をしたけれど、ライラックは相変わらず嬉しそうにわたしを見つめてくれる。



周囲を見渡せば、笑いを堪えているお義父様。

絶句しているお義母様とオーランドお義兄様。

私の視線に気付いて手を振ってくれているエディお義兄様。


そして、優しく微笑んでいるお父様に爆笑してお父様を叩いているお母様。

ハンカチで口元を抑えているお兄様。


侍女の方々、ワイズ家で働いてくださってる皆様もいた。

リラブランドの方々もいた。



本当にずっと私達のそばで支えてくれた方々だけだった。


「リラ、神父様が流石に怒っちゃうよ?」


ライラックに促されて前を向くと神父様が微笑む。






「さあ、始めましょうか」


神父様のお言葉を聞きながら私はライラックを見つめた。

ライラックも、私を見つめかえしてくれる。

そして神様に誓い、口付けを交わす。



大好きなライラックのキラキラした瞳に今にも泣き出しそうな私が映っていた。


「えっ・・・」



いつのまにか視界が揺れる。

ライラックが私を横抱きにしてまぶたに口付けた。

侍女の方々からキャーという声があがった。


びっくりして涙がひっこんでしまった私を見てライラックが笑った。


「これからは遠慮なくリラを愛せるね」



私が落ちないようにライラックの首に腕を回して抱きつくと、また悲鳴があがった。

神父様にライラックは声をかけて、そのまま私を抱き抱えながらお父様と歩いた道を戻っていく。

左右には大好きな皆様が私達を見守ってくださっている。

厳かに行われるはずの式だったのに周りからは拍手が巻き起こってお祝いの言葉が降り注ぐ。




「リラ、生涯かけて私の愛を伝えていくね」

「私も、生涯かけて伝えます!」




ライラックの唇と私の唇が重なるとまた拍手が巻き起こった。



大好きな皆さんに囲まれてこれからは大好きなお兄様・・・旦那様と生きていく。


















「結局、陛下の思惑通りでしたね」

「そんなことはないよ、ライラック次第だったからね。それに後押ししたり、ライラックに手を貸したのは君でしょ?」



たくさんの拍手の中、そっとジョニーがユアンの横に立つ。

二人は軽く手を叩きながら視線はリラとライラックにあった。



「正直、こんなに愛おしくなるとは思いませんでしたよ」

「・・・誰を?」

「ライラックを・・・そしてリラを」



大きく瞳を見開いた後、ユアンは微笑んだ。



「君も私と同じ・・・いや、それ以上かな。人を愛する感情が乏しい」



ユアンはそっと手を伸ばしてジョニーの背中を軽く叩く。




「君のその顔が見られただけでその価値はあるよ」



ジョニーがハッとして頬に触れると濡れていることに気付いた。



「今日はなんだか、目がおかしいです」



ハンカチで抑えるジョニーを見てユアンが吹き出して笑う。



「私も嬉しいよ。ジョニーが私以外にも愛情を持ってくれて」

「はあ?いつ僕が・・・」

「何を言う?ジョニーはいつだってユアン優先だろうが」



いつの間にか近くにいたジェイスが笑いながら言った。



「・・・そんなつもりはなかったけれど・・・確かに貴方に振り回された人生でしたね」



ユアンとジェイスが笑ってジョニーの背中を撫でる。



「花嫁の父は大変だね」

「私はジョニーがリラを沢山愛してくれている事が知れてうれしいぞ」



幼なじみの2人が本当に嬉しそうにジョニーを見る。



「貴方たちには一生敵わない」



歓声にジョニーのその声はかき消された。



「今日は初夜だね。リラちゃんが心配だな」



言葉では心配しているが、うっとりとした表情でリラをユアンが見つめる。


「・・・花嫁の父の前で言わないでください。あと、そんな汚れた目でリラを見ないでください。その目で見られただけで、子供が出来そうだ」

「流石の私でも視線だけで妊娠はさせられないなぁ」


ジェイスがジョニーとユアンの肩に手を置き、身を乗り出す。



「孫かぁ、可愛いだろうな!」

「それは可愛いだろうね、リラの子供なら」

「私にそっくりなライラックとリラちゃんの子供は可愛いだろうね」

「さり気なく自分を交えないでください」
























1人の少年の初恋から始まったこの世界は

たくさんの人を巻き込んでハッピーエンドへと向かっていく。















「愛してるよ、リラ。永遠に」

「私も永遠に愛してます。ライラック」














大好きなお兄様に溺愛されています。



〜end〜




最後まで読んでいただきありがとうございました!

本編完結です。


『リラ』と『ライラック』は花から付けました。

かなり気に入っています。


番外編、スピンオフなど考えていますが、まだ先になりそうです。



読んでくださった方々がリラとライラックのハッピーエンドを見て、少しでもハッピーになりますように。

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