大好きなお兄様に溺愛されています。67
「わあ!リラちゃん可愛いね。流石ライラック。リラちゃんをわかっているね」
待ち構えていたロイヤルファミリーに挨拶をすると真っ先にユアンがリラを褒めた。
ライラックがリラブランドのデザイナーだと知らない他の者たちは首を傾げている。
「ライラック、リラちゃんおめでとう。これで本当に家族になれるわね」
結婚式の後、2人は契約書に署名をして正式に夫婦になる。
ケイトの言葉にリラが微笑む。
「ユアンお義父様、ケイトお義母様、これからもよろしくお願いします」
「末長く宜しくね」
「宜しくリラちゃん」
リラが後ろにいたオーランドとエディに視線を移すと2人がびくっと反応した。
美しさに見惚れていた事がバレてしまったのではと恐れたからだった。
「おめでとうライラック、リラさん」
「ありがとうございます。兄さん」
「ありがとうございます。オーランドお義兄様」
「・・・っ」
オーランドが頭を抱える。
「大丈夫ですか?オーランドお義兄様?」
突然唸り出すオーランドに近づこうとしたリラの腰を引き寄せてライラックが微笑む。
「大丈夫だよ、オーランド兄さんの事は気にしないで」
戸惑うリラに新たな声がかかる。
「ライラックとリラさんおめでとう」
オーランドの後ろからエディが顔を出して微笑む。
「ありがとうございます」
ライラックとリラが寄り添って微笑むとエディがつられたように笑みを深める。
「さぁ。ライラック、先に行かないと」
ユアンに促されてライラックが先に向かおうと歩き出したが、ふとリラの元に戻ってきて口付ける。
「後でね、リラ」
「はい、後で」
ライラックが軽く手をあげてユアンの元にかけていく。
「良いね、まあ・・・普通はそうだよね」
ユアンの言葉にライラックが聞き返すと、ユアンはライラックの背中をそっと押した。
「目一杯幸せをアピールしてきてね」
「当たり前です」
「さあ、僕たちも行こうか」
ジョニーが腕を差し出すとリラがそこに手を添えた。
「お父様、大好きです」
「僕もリラを愛しているよ」
微笑みあっている間にライル達はそっと教会に入っていく。
「リラ様、ジョニー様」
騎士に声を掛けられて扉の前に立つと緊張で強張ったリラの頬をジョニーが撫でた。
「大丈夫。僕がいるし、ライラックもいるよ」
私には2人のお兄様がいた。
4つ上のお兄様と2つ上のお兄様。
私は2番目のお兄様が大好きだった。
お父様もお母様も一番上のお兄様も勿論好きで、一緒にいて優しい気持ちになる。
でも2番目のお兄様にキラキラとした青い瞳で見つめられるとドキドキして体全部が心臓になったように脈をうって真っ赤に染まる。
そんな私を見るといつもお兄様はより柔らかく微笑んでくれて、その笑顔が大好きだった。
「明後日から、王宮に住う事になったんだ」
お兄様のその言葉に私は息が止まりそうになった。
ずっと一緒にいると信じていたお兄様と離れ離れになってしまうから。
大好きな事はわかっていたけれど、この痛みが普通ではないなんてその時はすぐにわからなかった。
ただわがままを言う私にお兄様は言った。
「じゃあ、私と結婚する?」と。
この時、はじめて自分の気持ちがわかった。
【ずっと一緒にいたい】理由が。
そして
それから時が過ぎて。
今日、私は最愛の人と結婚する
きっと
これからも
ずっとずっと一緒




