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大好きなお兄様に溺愛されています。60





ユアンはリラを落ち着かせてからソファーに座らせて隣に座り、リラの背中を優しく撫でる。


リラは最近感じていた事を全てユアンに話した。

上の2人の兄とライラックの差を感じること。


話を全て聞いた後、ユアンはリラの手をとった。



「これは私の意見なんだけれど、ライラックは母親の愛情には興味がないと思うんだ」



リラが顔をあげてユアンを見つめた。



「リラちゃんと出会う前のライラックは何にも興味がなくてね。私も似たような子供だったから・・・きっかけとなる人が見付かれば変われると思っていた。それでリラちゃんを連れてくるようにジョニーに頼んだんだ」



リラが首を傾げる。

ユアンはもう片方の手でリラの頬に触れた。



「ライラックの時間はリラちゃんと出会って動き出したんだ。リラちゃんがいなかったら私も今のライラックには会えていない。この世界でリラちゃんただ1人がライラックをこの世界に連れて来ることができた。それが真実だよ」



リラは首を傾げたままだ。

リラを知らないライラックに会ったことがないから当たり前だろう。



「・・・つまり母親の愛情よりリラちゃんの愛情の方が何万倍も欲しいと言うことかな。だからライラックは母親と過ごす時間ではなくリラちゃんとの時間を選んだ。迷う事なくね。ライラックのためとはいえ・・・ライラックの事をリラちゃん独りに押しつけることになって申し訳なかったと思っているんだ」



ユアンが申し訳なさそうに眉をさげるのでリラが慌てて否定した。



「悪くなんてないです。私がライラックを独占してしまって・・・」

「ライラックにとったらそれが一番だから」



リラは頬に触れるユアンの手に自分の手を重ねた。



「ありがとうございます。お義父様」



ユアンは一瞬目を見開いたが、すぐさま破顔した。



「リラちゃんありがとう。これからもよろしくね」



リラの目蓋に口付けるとそのまま顔中にキスを降らす。


(まるで、ライラックみたいだわ)


ライラックに愛されているように触るので、そのまま目を閉じて口付けを受けていると、ピタッとユアンの口付けが止まった。

リラが瞼を開くと目の前にユアンの綺麗な顔があり、目があった瞬間、チュッとリラの鼻先に口付けて離れていく。



「リラちゃんは可愛いね」



妖艶に微笑むユアンにリラが頬を染める。

ジョニーが触れる感覚よりもライラックに近い感覚に戸惑いながらもリラはユアンを見つめた。



(お義父様が国民に人気がある理由がわかった気がするわ)


「いつも通りライラックの側にいてくれればライラックの為になるんだ。母親の愛情よりリラちゃんの愛情を求めた男だから」

「はい、ずっと側に」

「ありがとう、こんな風にライラックの事を考えてくれるリラちゃんに会えて幸せだよ。本当にありがとう」

「いえ・・・ライラックを産んでくださってありがとうございます」



ユアンが吹き出して笑う。



「私は産んではいないけどね。これからも宜しくね、何かあったら声かけて?・・・そうだ」



ユアンがポケットからブレスレットを取り出してリラの左手首につける。



「えっ?」

「何かあって私に用があるときはブレスレットに強く願って?そしたら思念が飛ぶから」



ライラックやジョニーのように魔力が強いものならば物を介さずとも直接思念を送ることが出来るが、リラは微々たるものだった。

リラがブレスレットを撫でて「はい」と元気よく声を上げるとユアンがリラの頬を撫でた。



「君はジェイスに似ているね。ジェイスの遺伝子強すぎるのかなぁ」



魔力が弱いのは母親譲りだ。

普通の人はほとんどないと言われているからまだある方だが、ジョニーの魔力がとても強いのでそう言われるとそうなのかもしれない。

兄のライルも検定で魔力が見つかったがジョニーと比べてしまうとそれほど強くはないらしい。





「・・・大丈夫かな?」



ユアンが頬を撫でていた手が唇に触れた。

ビクッとしてリラが姿勢を正す。



「はい!!なんかスッキリしました」

「良かった。今、ライラック呼んだからここで待ってると良いよ」

「えっ?!」

「まだ昼取ってないみたいだから一緒に食べてあげてよ」



ユアンが立ち上がる前にリラの頬に口付ける。



「またね、リラちゃん」



ユアンがひらひらと手を振って部屋を出て行くとカチャリと鍵のかかった音がした。

ライラック以外が入らないようにと配慮した形だった。

リラはこの部屋に来たときの哀しみがいつの間にか無くなり暖かい気持ちになっている事に気付いた。





「お義父様は本当に不思議な人」



リラがライラックに愛情をいっぱい示せば良いと知れば、それだけでなんとかなるような気がした。

誰かの力ではない。リラ自身の力が必要だと知れば途端にやる気が出てくる。


(私がライラックを幸せにするんだ)


いつもリラ中心で動いてくれた。

いつもいっぱい愛してくれた。

今度は自分が返す番だとはっきりと目標が定まった。



「よし!」



珍しく気合を入れて拳を振り上げた・・・タイミングでライラックが部屋に入ってきた。



「あっ・・・」

「えっ・・・」



扉を開けたライラックが時が止まったような顔をしていた。



「・・・一緒にランチしようかと思って」



リラが振り上げていた拳をさげて後ろに拳を隠した。



「・・・大丈夫?」

「はい!」



リラが元気よく声を上げるあげて走ってライラックに抱きつく。

(おかしいなぁ、父上の話と全然違うけど)

確かにリラの瞳は赤い。

でも無理して笑っているようには見えなかった。



「部屋で食べようか?」

「はい!ライラックとランチなんて久しぶりで嬉しいです!!」



リラがライラックの腕に手を回す。

ふふっと笑ってライラックがリラの頬をつついた。


「明日からはお昼は一緒に取ろうね。父上達も一緒だけど、リラだから大丈夫だよ。ジョニー義父上もリラに会いたがっていたしね」

「はい!」



リラはライラックの仕事の邪魔になりたくないと思い遠慮をしている所があったが、ユアンと話していてライラックと一緒にいる事を優先にしようと誓った。

それはリラにとっても一番の幸せだった。

ライラックがリラの唇にチュッと音を立てて口付ける。

リラは嬉しそうに微笑んだ。




「アランがもう準備して待ってるかもしれないから、部屋に戻ろうか」

「はい!」




結婚式まで後半年と迫っていた。

2人の仲は深まっている事は誰が見ても明白だった。







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