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大好きなお兄様に溺愛されています。58


ライラックがユアンの仕事を手伝い始めて数ヶ月が経った。

すぐに飽きるかと思えば長く続いている。

そのことに驚きながらもジョニーは結婚式の準備が進んでいるのか心配になっていた。




ユアンは午後から予定があり、ライラックとジョニーは2人で執務室にこもって仕事をしていた。



「午前中の父上の集中力は凄かったですね」



ついにユアンに机を購入して貰ったライラックは新しい机の上で書類を仕分けていた。



「あの人が1日に使う労力は毎日同じなんだよ。すごいよね。1日の労力を半日にしたらあんな感じだよ」


では午後の用事は廃人と化してないか・・・と、ふと心配になったがユアンの事だ。

きっと上手く調整しているに違いない。



「ねぇ、仕事も良いけど式の準備は大丈夫なの?」

棚に本を戻しながらジョニーがユアンに声をかけた。



「粗方終わってますよ。王妃が手伝ってくれてるそうですから。それにドレスのデザインは小さい頃から考え続けていたので、後は今のリラのサイズに合わせるだけですよ」



小さい頃からとかどれだけなんだろうと思いながらも気付かぬふりをして別の話題をふる。



「外に出る公務より、今の仕事の方が楽しい?」

「そうですね。無駄に笑顔を振りまくのは苦手ですね。だから机に向かっていた方が向いています」



どの口が言うんだかと思いながらも「そう」と答える。

比べては悪いが兄弟の中で1番外交に向いているのはライラックだった。



(ただ、きっと長くは続かないだろうけれど)



リラ中心のライラックには宮殿内の仕事が1番かもしれない。



「視察になると遅くなったり、下手したら泊まりもあり得るので家庭内の時間がなくなります」

「いや、まだ結婚はしてないからね」



ジョニーの言葉にライラックは苦笑した。





「リラは元気?」

「はい。私の前ではとても。最近女性との交流も増えてきたみたいですが、なんとかかわしてるみたいですよ」



ワイズ家から連れてきたアランやリラ専用の侍女から聞いた様子だと女性たちの毒気をぬいてしまっているそうだ。

はじめはライラックに釣り合わないだの言っていた人物は気づけばリラの虜になっている。



(いったいどんなわざでたらし込んだんだろう。リラの可能性は未知数だなぁ)



最近はヘレンというリラの一つ上、シューズのデザイナーに絡まれているらしい。



「王妃経由で知り合うようですが、ヘレンという名のデザイナーをしてる人がリラによく声をかけてくるらしいですよ」



「ああ、バートン家の。あそこならマシなんじゃないかな」



ジョニーの言葉に安堵する。

悪い噂はないが、あくまで噂である。

だが、ジョニーが『マシ』と言うのなら本当に『マシ』なんだろう。




「どうしても、リラを外気に触れさせたくないんですよね。王妃の周囲も皆が皆、良い人ではないでしょうし」


「そうだろうね。立場も立場だし利用するつもりで、近づいて来てるだろうね。まあ、君は後継ぎではないしそこまで気を張らなくても良いと思うよ」


「・・・そうでしょうか」


「それにリラが友人を欲しがってるわけではないからね。大切に思える人間が現れたら自然と仲良くなれるさ」



確かにリラから友人が欲しい、いや友人という単語など出てきた事がない。



「確かにそうですね」

「君もでしょ?」

「私の場合は足手纏いになるので家族だけで充分ですね」

「家族には僕は含まれているのかな?」

「勿論ですよ。ワイズ家は私の家族です」

「後は陛下かな」

「・・・そうですね。父上も入れてもよいかもしれませんね」



近頃のライラックの中でのユアンの格上げっぷりに嫉妬しながらも、ずっとユアンを見てきた親友としてはライラックに片想いをしてきたユアンがやっと両想いになった事は祝ってあげても良い様な気がしていた。


ただ相変わらず、ユアン以外の血の繋がった家族には興味がないようだけれど。





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