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大好きなお兄様に溺愛されています。57





「ふーん、エディがワイズ家に遊びに行ってるんだね。頻繁に」



ユアンの部屋のソファーで横並びになってユアンとジェイスが座り、ユアンがティーカップを優雅に口元に近づけた。



「ああ、そうみたいだぞ。私はこの前あったのが初めてだったがな」



ケーキを食べて満足そうに微笑むジェイスにユアンはふっと笑ってティーカップを置くと、ジェイスの口元のクリームを手で拭ってあげて、そのまま自分の口元に運んだ。



「甘っ、よく食べられるね。まるで砂糖を食べているみたいだよ」

「ふふっ、相変わらず甘いのは苦手か」



楽しそうに笑うジェイスを見てユアンも微笑む。



「帰りは私が送るから、ゆっくりして行って良いよ、それから・・・」



再度テーブルにある引き出しから箱を取り出して、それをジェイスの前で開いた。

そこには小さな石が付いた鍵のモチーフをしたネックレスがあった。



「多少の魔法だったらはじくようにできている。ライラックやリラちゃんにも魔法をはじくアクセサリーをプレゼントしたんだ。ジェイスにはネックレスを用意した」



そう言ってジェイスの首にかけてあげる。

長めのチェーンで留め具もなくそのかけるだけの仕様になっていた。



「これがあれば来たいときにうちに来れるよ」

「本当に作ることができたのだな。流石ユアンだ」



子供の頃、ジェイスの家に突然現れたときに教えてくれた。ユアンには転移魔法が使えると。

ユアンのこの能力はジェイスとユアンの護衛をしているレオンしか知らない。



「この前試しに作ったらできたんだよね。だから早くジェイスにあげたくて」



悪戯っ子のような微笑みにジェイスはつられて微笑んでしまう。



「あっ。勿論、誰にも秘密だからね」



ユアンが人差し指を唇に当てて微笑む。

子供の頃からのユアンの口癖だった。



「お前は私との秘事ばかりだな」



ユアンはジェイスが笑ってネックレスの石を撫でる様子を優しく見つめていた。



























「おはよう」

「おはようございます」



ライルと朝食を一緒に取る為に、リラ達はいつものように部屋では取らずにダイニングで食事をしていた。


ユアンの登場にライルが背筋を伸ばす。

寝起きのユアンはなんとも直視し難い色気を放っていて、ライルは視線をライラックにうつした。


(造形は一緒なのに雰囲気が違いすぎるな)


ライルの視線に気付いたライラックが笑った。



「父上は低血圧でね。気にしなくて良いから」

「・・・そうか」



リラとライラック、ライルが黙々とご飯を食べていると突然コーヒーを口にしながらユアンが言った。



「リラちゃんは食事をする姿も可愛いね」



リラの手が止まって頬を染める。

恥ずかしさと緊張で口元が震えて上手く言葉にならない。



「いえ・・・あの・・・」

「父上、朝からやめてください」



ライラックが手を止めてユアンを睨んだが、当のユアンは怠そうなままコーヒーカップを置く。



「なんか変なこと言ったかな。思った事を言ったのだけれど」



寝起きのユアンはたちが悪い。

天然で人をたらしこむ。

しかもそれが話術だけでなく外見とただよう色香が加わるからよりたちが悪かった。




「リラ、この人の事は気にしないで」

「えっ?はい・・・」


ライラック以外に甘い言葉を言われた経験がないリラは、恥ずかしさで耳や首までも赤くなってしまう。

その後、口にした料理は面白いほど味がしなかった。










「ごめんね、リラ。客室で朝食を取ればよかったね」


食べるというよりのみこむといった方がしっくりくるような食べ方をしていたリラに申し訳なく、部屋に戻る途中でライラックがユアンの代わりに謝罪をするとライルが笑った。



「そっくりだぞ、いつものお前に」

「は?」

「だから、いつもお前がリラにしてるのと一緒だ。血は争えないな」



馬鹿な事をと思ってリラを見ると「ライラックは陛下にそっくりです」と微笑む。



「足りないのは色気だけだな」

とまじめに言うライルにライラックはそっとため息をついた。



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