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大好きなお兄様に溺愛されています。56




「暇だろうって言われてね」

「なんだって?!初めて聞いたが?」



今まで悲しみと恐怖に打ちのめされていた筈のエディが顔をあげる。

その瞳には明らかに嫉妬が入り混ざっていた。



「第三騎士団に入るのではないのか?」

「私は病弱ですからね、騎士団なんて到底無理でしょう」



腕の中のリラを撫でながら頬を染めるリラをうっとりと見つめながら言った。



「確かにそうだな・・・病弱だもんな、お前」



まるでとてもかわいそうだと言わんばかりの表情を浮かべるエディにライルはため息しかでない。

ライラックは笑いを堪えるかのようにリラの頭に口付けている。



「・・・で、どうだった?」

「仕事のこと?」

「ああ、父上と陛下と過ごしたのだろう?」

「うん、普通だったよ。今日は初日だったしね」

「そうか・・・」



ライルはジョニーを尊敬しているが、国の運営には興味はなかったので、起業するつもりで勉強をしてきた。

だが、ユアンと出会い、ライラックを見ていると今更ながらジョニーの仕事に興味をもちはじめていた。




「それで私は何故怒られているのだろうか」


すっかり忘れ去られていたエディがボソッと呟いた。


「静かな王宮で叫ぶからですよ」

「叫んだのはライルだと思うが」

「ライルを煽ったのは兄さんだから同罪です」


えっ?僕にも罪があるの?と言う顔をするライルに目配せするとライラックは言った。


「私達は王族です。王宮にいる人間は確かに選ばれた者たちですが、それでも注意しなければなりません。どこでどう情報が漏れるかわからないですからね」

「それはそうだけど」


エディの言葉を遮ってライラックは話を続けた。


「姐さんはどうかと思いますよ。弟の義理の母親になる人に一国の王子が言うのは。つまりライルはそう言いたかったんですよ、ね?」



ライラックに話を振られてライルがコクコクと頷く。



「だが、あの方は女神のような方だ。長い間固まっていた氷が溶けたような気持ちだ」

「・・・そう・・・それは良かったですね」


ただ素直に馬鹿だと言っただけなのにどう勘違いしたらそうなるのか、ライラックにはわからなかった。







「ジェイスさん・・・でよろしいのではないでしょうか?」



リラがライラックの腕の中で微笑みながら言う。



「確かにお母様はエディ様のお姉様ではないので、おかしいかと思います。だから普通にジェイスさんで良いと思います」



リラがあまりにも正論を言うので、ライラックとライルが笑い出した。



「えっ?私変なこと言いましたか?」

「・・っ。その通りだよリラ。その通りなんだ。あはっ・・」


笑いが止まらないらしいライラックがかろうじて賛成する。

ライラックの腕の中にいるリラはライラックの腕を両手で握りながら頬を膨らました。



「馬鹿にされている気がしているのですか気のせいでしょうか」

「いいや、名案すぎで笑うしかないだけだリラ」



ライルがそう言いながら笑いを堪えている。


はじめは怒っていたリラだったが、なんだか自分も楽しくなってしまい笑い出した。


一人わけがわからないとエディは首を傾げていたが、いつのまにかエディもつられて笑い出してしまっていた。



「恐れ多いが、リラさんがそう言うんだ。ジェイスさんと呼ぼう」

「それが良いと思うよ、死にたくないならね」

「へ?」



ライラックはリラの頭に口付けてからリラを解放すると立ち上がった。



「さあ、問題は解決したし食事にしようか。・・・アラン」

「はい、準備は出来ています」



リラに手を差し出して立たせると、腰に手を回す。



「ライル、今日は泊まって行きなよ。ジェイス義母上は父上が馬車を手配するから大丈夫だよ」



急なお泊まり計画にエディが興奮したように立ち上がった。



「そうだな!私の部屋に泊まると良い!!」

「兄上、ライルには客室用意したら」


すかさず回答してリラとライルを連れ立って部屋を出ようとする。


「まて!!私も食事に付き合ってやっても・・・」


ライラックとライルの視線を感じエディが肩を落とす。




「一緒に食べさせてください・・・」


その言葉にライラックとライルが視線を交わして微笑む。



「構いませんよ」



エディが嬉しそうに駆け寄ってくる姿を見て、ライラックはリラをエスコートしながらダイニングを目指した。



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