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大好きなお兄様に溺愛されています。55



 

「陛下!!」

「リラちゃん久しぶりだね」

「お久しぶりです」


多忙なユアンは王宮にいてもなかなか会う機会はない。

皆が頭を下げる中、リラにウインクをしてからジェイスの前に行き手を取り口付けた。



「愚息が迷惑をかけたようだね、お詫びにケーキを用意させてもらうよ」

「ケーキか」

「パティのケーキが確かあったかな」

「流石、ユアン。わかっているな」



ふっと笑ったユアンが手を差し出すとジェイスは手を乗せて自然にエスコートされている。



「ライラック、後を頼むよ。ジェイスは私が送るから」

「・・・承知しました」



すれ違い様ライラックに耳打ちすると、パタンと音を立てて2人は部屋を出ていった。


長い息を吐いて、ライラックが部屋を見渡すとエディが小刻みに震えていた。



(それはそうだろう。あんなに敵意剥き出しな父上は初めてだろうからね。父上はいつだって笑顔で叱る。・・・今回は手を出した相手が悪かったね、エディ)








「とりあえず、一昨日の話を聞こうか?」

「一昨日?」

「ジェイス義母上と会ったんだよね?」



ライラックの容赦ない話し方にリラとライルは気づきながらも黙ってエディの回答を待った。



「・・・昨日だけど・・」



3人が3人一気に力が抜ける。

ジェイスの大雑把具合が素晴らしすぎる。

ただ単にエディという存在がジェイスにとってたいしたものでないだけなのかもしれないが。



「とりあえず座ろうか」



エディを先程ジェイスが座っていたライルの隣に座らせてリラとライラックは向かいに座った。


「昨日、ワイズ家に行ってどうしたの?」








エディの話はこうだった。


ライルに会いに行くと、ライルは外出していたらしく出迎えたのはジェイスだった。


いつものようにしていたら(横柄な態度をとったのだろう)ジェイスの口元を覆っていた扇が頭を直撃したという。



そしてワイズ家の護衛2名に左右の腕をそれぞれ掴まれ、まるで罪人のように客室に案内された。

そのままソファーへ座らされたと思えばいきなり政治のような話をされたそうだ。



訳がわからず唸っていたら、ジェイスが隣に座って「エディ様はお馬鹿さんなんですね」と女神の様な微笑みで頭を撫でてくれた。



なぜか物凄く胸がいっぱいになってジェイスの胸で泣いてしまい、全てをさらけ出した事から、とても信頼に足る人物だと判断した・・・そうだ。






「エディ様は本気で馬鹿ですね。そこで何故信頼に足る人物となったのかわかりかねます」

「政治の様な話ってなんですか?」

「リラは気にしなくて良いよ。どうせ大した話じゃないから」



リラの頭を撫でライラックが言うとリラが不思議そうに首を傾けるので愛おしさがこみあげ、我慢できずリラを腕の中に仕舞い込んだが、見慣れたライルは気にせず、エディに話かけた。




「どうやら、エディ様は頭の方は本当に空っぽのようですね」

「母上にだいぶ甘やかされて育ったらしいよ。父上は無駄が嫌いだからね。向き不向きもあるし、早々に見切ったんじゃない」







「天才は違うな・・・」


自嘲気味に言うライルにライラックはリラの頭にキスを落としながら言った。



「勘違いはしちゃだめだよ、ライル。努力する人間は嫌いじゃないんだ。努力の先に掴んだ人達を知っているから。ただ努力もしない人間に見切りを付けるのが早い人なんだよね」

「・・・なんだか陛下について詳しくなったな」

「はい!ライラックは今日から陛下のお側でお手伝いしているのですよ」




リラがライラックの腕の中から顔を元気よく出していった。



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