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大好きなお兄様に溺愛されています。50




「これを陛下が?」

「うん、どうやら魔法を防いだりしてくれるらしいよ」



笑顔で迎え入れてくれたリラに早速ユアンから貰ったリングを渡した。

お揃いのシルバーのリングは婚約指輪に重ねてつけられるデザインだった。



(サイズもぴったりだし、流石父上)

恐ろしいくらい用意周到なユアンに感心する。

ここまでの男がなぜ好きな女性をものに出来なかったのか。


(義母上が規格外だからかな・・・)


考え事をしているライラックの横に座りリラが左手を見せる。



「サイズがぴったりですね」

「うん、流石父上だね」



リラが一瞬びっくりした顔をしながらも微笑んだ。



「そうですね、流石お義父様ですね」



ライラックがリラを抱き寄せるとリラは黙って背中に手を回して抱きしめ返してくれた。


リラの全てが愛おしい。

今更離すことなんて出来ない。


(私は絶対に離しませんよ、父上)


ユアンの分もライラックは愛する人の側にいる事を決意した。

当たり前だなんてそんな事考えない。

自分の気持ちだけではどうにもならないという事を知ったから。





「明日から父上の仕事を手伝ってみることになったんだ」

「えっ?」

「どうせ暇だろうって」



リラが笑うので抱きしめた体が揺れている。

それが愛おしくて優しく背中を撫でた。



「ライラックは騎士様より、お父様やライラックのお父様のようなお仕事が向いているのではないかと思っていました。だから納得です」



リラの可愛い声で言われればライラックはそうなのではと思ってしまう。


ぎゅっと強く抱きしめるとなぜそうなったのかわからない戸惑いの声が聞こえる。

それでも抱きしめ返してくれてライラックは幸せを噛みしめていた。















「おはようございます」

「おはよう・・・ってライラック?!」



執務室にライラックが入ると、先に来ていたジョニーがびっくりしたように声をあげて持っていた本を落としてしまう。

何故そんなにびっくりしているのかと思いながら説明しようと口を開くと同時に扉が開き、ユアンが入ってきた。



「おはよう」



ライラックを見つけたユアンが嬉しそうに背後から抱きしめる。



「私が呼んだんだよ。どうせここには私とジョニーしかいないからね」

「いや、いろんな人が訪ねてきますよ」

「あっ、もしかして遊びにきたと勘違いしてるの?」

「そこまで僕は馬鹿じゃありませんよ」



ジョニーがため息をつきながら本を拾った。



「確かにライラックの能力があったら助かりますよね」

「うちの子、勝手に呼び捨てにしないでくれるかな」



ユアンがより強くライラックを抱きしめるが、ライラックはされるがままになっている。



「本当に外見は似てますね。双子ぐらいの勢いですよ」



入り口に入って真っ直ぐ行った突き当たりに、背を向けた形でユアンの机がある。

ユアンの机の左手にある机はどうやらジョニーの席らしい。

ジョニーはトントンと音を立て本を整えてから机の端に置いた。



「私もそっくりだなぁって思ってたんだよね。もう少し背が伸びたら私の代わりに王様業やる?」

「興味ないです」

「だよね、知ってた」



ユアンが笑いながら言ってライラックを離す。

先日までと違う2人の雰囲気にジョニーは首を傾げながら奥の部屋に入り簡易机を出した。



「僕以外はすぐに飛ばされてしまってね、ちゃんとした机はないんだよ。とりあえず君はこれを使って」



ジョニーの横に机を設置するのを確認したユアンが、

ライラックの背中を軽く叩く。

ライラックはその叩かれた勢いのまま机の前に立った。


簡易椅子も設置して、「出来たよ」といい、手を広げるジョニーにお礼を言って座る。

・・・座り心地はあまり宜しくない。



「今日はとりあえず、ジョニーのお手伝いしながら私の仕事を見てると良いよ」



ライラックがジョニーから仕事を渡され、書類に目を通す。

ジョニーが自分の机の逆側のスペースに立ち、座ってペンを走らせるユアンに耳打ちをした。



「どうする気ですか?」

「私はライラックが欲しいんだよ」

「彼の事は誰だって欲しがりますよ。まさかオーランド様に仕えさせるつもりですか」

「まさか。オーランドにはあげないよ。私が欲しいんだ。私の代で欲しいんだよ、ジョニー」



ジョニーが目を見開く。

ユアンがこんなに誰かを求めたのを初めてみたからだ。


「決めるのはライラックだけどね」


何故か不敵に微笑んだユアンを見て寒気を感じた。


「興味を持たせろと言うんですか?」

「それは君の腕次第じゃない?」



すらすらとペンを走らせて何事も無かったかのように仕事を進める。


(リラ以外に興味なんて持つはずないのに)


ため息をついて席に戻りライラックを見る。

こちらもすらすらと悩みもせずにペンを走らせる姿を見て、ジョニーは2度目のため息をついた。








こちらをお休みしている間に短編をUPしておりました。



念願の(?!)婚約破棄物語ですっ。

短編の為、本編は最終話UP済です。

番外編で他の登場人物のストーリーなど書きたいと思っております。

ご覧いただけたら幸いです。


『自称ヒロインに悪役令嬢だと罵られています。婚約者は譲りますのでもう私にかかわらないでください!』

https://ncode.syosetu.com/n7904hv/


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