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大好きなお兄様に溺愛されています。4
突然の提案に顔をあげてお兄様を見つめる。
何を言っているんだろう。
私だって兄妹で結婚できるなんて思うほど馬鹿ではない。
私に勉強を教えてくれているお兄様なら私が知っている事くらいわかるはずなのに。
結婚出来ないとわかっていながらも私は頷いた。
王宮に行くまでの短い期間だけでもお兄様の婚約者気分を満喫すれば良いんだ。
だってお兄様の瞳は揺らぐことなく、王宮に行く決意は変わらないってわかったから。
「ライラックお兄様と結婚します」
にっこりと微笑んでお兄様をみると、とろけるように微笑んでそっと私に口づけた。
「約束だよ」
「うん」
お兄様はようやく落ち着いた私を見て息をはくと、私の頬や額にチュッと音をたてながらキスをした。
何度か繰り返したあと、ベッドに横になって「さあ、寝ようか」と言って私を引き寄せた。
王宮に行ってしまったら、もうこんな毎日は来ない。
お兄様に抱きつきながらまぶたをとじた。
わがままを言ってはいけない。
だっていつかは自分以外に大切な人を作ってしまう人なのだから。