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大好きなお兄様に溺愛されています。36


ライラックとリラが婚約をして約2年が経った。

婚約後もワイズ家に住んでいたライラックだが、あと数ヶ月経てば約束の17歳を迎える。

17歳になった日にリラとの婚約パーティーが行われるのだが、王宮に戻らなければならない事をライラックは重荷に感じていた。


(やっぱり、結婚したら外に出たいなぁ。エディ兄さんもいるし結婚早々婿入りしようかなぁ。ライルの手伝いとか楽しそうだしね)



この国では第二王子以下は、結婚後宮殿内に屋敷を構える事が一般的だった。

ユアンからただ単に警備が楽だからと聞いていたが、第一王子に世継ぎが生まれるまでは取り締まるつもりだと理解していた。




控えめなノックの音が聞こえ、アランが入ってくる。


「ライラック様、エディ様がいらしてますが・・・」


アランが眉を下げてライラックに告げる。



「・・・本当に暇人なんだね、あの人。第二騎士団って仕事してないの?」



アランが部屋を出た事を確認すると隣に眠るリラの頭を撫でる。



「・・・ライラック?」

「目覚ましちゃった?」


ライラックがリラの額に口付けた。


「ごめんね、来客が来ちゃってね。まだ早いからゆっくりしてて」



リラはこの2年で益々美しくなっていた。

ライラックの魔法の能力が上がり、リラも魔法が使えるようになって、2人で出かける事が増えた。

出掛けると周囲の男たちの視線が気になってしまい、益々ライラックのリラへの執着っぷりに磨きがかかっていた。



「・・・うん」


(寝ぼけてて可愛い)


リラの髪を撫でるとライラックの胸に微笑みながらすり寄ってくる。

あまりにも可愛すぎて、リラのまぶたに口付けた。



(早くリラを私のものにしたいなぁ。リラも一緒に王宮に連れて行けるように頑張ろうかなあ。なんて、リラの一生貰っちゃうのに義父上達から最後の一年を奪ってしまうなんて出来ないよね)

自嘲気味に微笑み、ライラックはリラを起こさないようにベッドから起きるとシャツを羽織った。









(本当しつこいよね。エディのやつ)

ライラックは馴れ馴れしい兄を最近では心の中で呼び捨てにする事が増えていた。

この前、ライルの前で呼び捨てにしてしまった時は大爆笑された。

なぜライルがあんなに笑っていたのか、ライラックにはわからなかったのだけれど。



「今日は何のようですか?」



不機嫌な事を隠す事なくライラックが部屋に入るなり言うと、エディが紅茶を手にしながら言った。


「昨日まで兄さんの護衛でアガパンサスに行ってたんだけど、その土産を持ってきてやったんだ」


相変わらずの上から目線にライラックはソファーに座らず壁に寄りかかる。


「それはそれはありがとうございました。お忙しいでしょうからまたこちらからご挨拶に行きますよ」


早く帰れと言わんばかりに形式ぶったお礼を言うが、エディにはやはり通じない。


「気にするな。今日一日は暇を貰っている」


なんとやりにくい男だろうか。

自分の周囲の人間の有能さにエディと関わってから初めて気付いた。



「私が忙しいのですよ、兄さん」


確かに今日も忙しい。

剣術の稽古、魔法についてもまだまだ学びたい事があり、リラと一緒に先生から学ぶ事にもなっている。

そして何より婚約披露パーティーに向けての準備がある。







「そんなにご友人がいないのですか?」


ライラックの言葉にエディは口にしていた紅茶を吹き出した。

ライラックがさっとハンカチを取り出してエディに渡す。

ハンカチで口元を拭うとボソボソと話し出した。



「王子に友人は難しいんだよ」

「だったら、恋人でも作ればよろしいのでは?暇する度にうちに来られても困るのですよ」



ライラックがまた壁に持たれかかって、腕を組んだ。

本当に早く帰って欲しい。

リラとの時間が無くなってしまう。

ノックの音がすると、エディが持ってきたであろうお菓子を手に侍女が入ってくる。

お菓子の見た目は可愛らしい。

明らかにリラを意識して買ってきたのであろう。


侍女の後を通り過ぎるライルが見えて、ライラックが頬を緩めライルを呼び止めた。

明らかに嫌そうな顔をしつつ、存在がばれてしまったので挨拶しないわけにはいかない。


ライルは大きく息をはいて部屋の中に入った。






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