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大好きなお兄様に溺愛されています。31




家長であるジョニーが言うと、みんなが口々に返事をする。


「その前に、リラ」

「はい」

「君に伝える事があります」


ジョニーの言葉にリラが顔を上げた。


「ライラックの事なんだ。ライラックは家の子だけど、家の子ではありません」

「それではわからんだろう!」 


ジョニーの物言いに明らかにわからないと言わんばかりに首を傾げるリラを見てジェイスが爆笑しながら指摘をする。


「父上私から言います」


ライラックはジョニーにそう言うと、ジョニーの頷きを確認してからリラの方へ体を向けた。



「リラ、私とリラは血が繋がっていないんだ」


ライラックがリラの手を取ってその手を撫でる。


「・・・それはライラックお兄様と結婚しても誰にも迷惑をかけないという事ですか?」


リラはずっと気にしていた事を口にした。

ライラックは一瞬目を見開き、その後優しく微笑んだ。


「うん、戸籍はワイズ家に移してないから、私とリラは他人なんだ。だから私たちの結婚に障害はないよ」

「良か・・っ・・た・・・」


リラが涙を流した。

自分の気持ちを押し通すことで、ライラックや大好きな家族が後ろ指さされることを危惧していた。

だから、束の間の関係だと割り切って今を生きようと諦めていたのだ。

この幸せを胸に独りで生きようと。




「・・・っ私は・・ライラックお兄様をっ・・・愛してもっ・・・良いのですかっ?」


嗚咽を漏らしながらもリラが言った。

ライラックが息をのむ。


(私は自分の事ばかり考えていた。リラとの未来を手に入れる事に必死で、リラの不安を拭い去る事を疎かにするなんて。リラが自分だけの幸せを望むような子じゃないってわかっていたはずなのに・・・)


「うん。これからは思う存分私を愛して。私もリラだけを愛し続けるから」


リラを抱きしめて、あやすように優しく背中を撫でた。

その様子をジョニー達は無言で見つめていた。

リラが泣き止むのを確認するとポケットからハンカチを取り出してリラの涙を拭い、頬を両手で包んだ。



「ごめんね。血が繋がっていない事を黙っていて。・・・私を嫌いになったりしてない?」


急に不安になりライラックがリラの顔を覗き込んだ。


「何かご理由があったのでしょう?だってお兄様はいつだって私を大切にしてくださいました。それは私自身がよくわかっています」


リラはライラックの手に自分の両手を重ねて微笑んだ。


「お話を聞いても、昨日と気持ちは変わっておりません。お兄様が私を愛してくれているなら信じてついていくだけです」


ライラックの心臓が高鳴る。

自分が愛した人はこんなにも深い愛情を自分に抱いてくれている。

ライラックはまた恋に落とされた気がした。

何度リラに恋をすれば気が済むのだろうか。

新たなリラを知って、またライラックはリラに恋をする。



「リラとの結婚は私の正体を明かさないでリラに好きになってもらう事が条件だったんだ。今日リラが私との結婚を望んでくれた事を実父に伝えて、了承を得たよ」

「前に僕が言ったよね、『まだ誰にも言っては駄目だからね、僕たち家族の秘密だよ』って。今を持って2人の婚約情報は解禁するよ。もう堂々として良いよ」


ライラックに続いてジョニーが言った言葉に、瞳を見開くリラの頬からライラックが両手を離して、そっと膝の上でリラの手を握った。



「リラ、今日僕たちが行った場所はわかっているよね」

「宮殿内にある試験会場とお聞きしています」


ジョニーがリラの回答に頷く。


「うん、そうだね。・・・ライラックの実父は宮殿内で一番偉い方なんだ」


「えっ?」

「ライラックは現国王、ユアン国王陛下の三番目の息子、ライラック王子なんだよ」


リラがライラックを見つめると困ったように微笑んだ。


「お兄様が王子様?」

「私が王子様だったら、リラはお姫様だね」


話の論点がずれそうになった所で、「それでここからなんだけど」とジョニーがみんなの目を見て言った。


「ライラックとリラの婚約に関して、契約書にサインして欲しいと陛下から言われている」


ジョニーは契約書を取り出して皆に見えるようにテーブルに開いた。



「契約書なんてあるのか」


ジェイスが興味深そうに書類を見た。





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