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大好きなお兄様に溺愛されています。29



『ライルも手伝ってくれてありがとう。愚息の為に』


ユアンの言葉にライルはにこりと微笑んだ。


「いえ、ライラックは僕の弟でもありますから」

「僕の可愛い息子でもあるからね」

「尊敬している父上にそう言っていただけると嬉しいです」


ライル、ジョニー、ライラックの家族3人の会話に面白くなさそうにユアンが頬を膨らませた。



「ちょっと、ちょっと!ライラックは私の息子なんだからね。何、関係深めてるの?ライラック、私の事を父上って言ってよ」

「・・・国王陛下」


ライラックの言葉にユアンが興奮気味に言った。


「だから嫌だったんだよ、腹黒ジョニーの元に行かせるのは。すっかり懐柔されてるじゃん。どんどんジョニーに似てきてるじゃん」


ユアンのより砕けた話し方にライルは失笑した。

なるほど、本当はこんな人だったのか。随分猫被りだと。


「よく言いますよ」


当時を思い出してジョニーはぼそっと呟く。


「それより、何故今日私は検定を受ける事になったんですか」


かしこまった言い方でライラックは突然本題を切り出した。






「・・・会いたかったからだよ」

「はい?」

「親が息子に会いたがったらいけないの?」


ライラックがあからさまにため息をついた。


「まあ、まあ。あんまり怒らないであげてよ。ちゃんとわりと本気で君の事心配してるんだから」


"全然フォローになってない"といつもなら突っ込んでいたが、流石にユアンの前では突っ込めず、ライルは膝の上の手を握りしめた。


「リラちゃんとはどう?上手くいってるの?」


ライラックは姿勢を正してユアンに向かって言った。


「はい。正式にプロポーズしました。了承も得ました」

「そっか、おめでとう。じゃあ、書面交わそうか」



そう言って、ユアンが立ち上がり棚から書類を持ってくるとライラックに渡した。


「これは?」

「婚約の契約書ね。王家って良いよね、口約束だけでなくて書類も交わす事できるから。これでリラちゃんを縛り付けられるよ」

「ちょっと待ってください!」


ライルが勢いよく立ち上がった。


「口約束で構わないではありませんか」

「なんで?」

「・・・2人にはまだ・・早いです」

「そうかなあ?君は確か外に出てるよね。色んな男にも会ってるでしょ。ライラック以上に良い男いると思う?申し訳ないけどいないと思うよ。それとも、リラちゃんはそんな尻軽女なの?違うよね。出会ってからライラック一筋らしいじゃん」


畳み掛ける様に言われてライルはソファーに腰掛け直した。

ライラック以外にいないとわかっていてもギリギリまで、ただのリラでいて欲しい。そう思うのは自分勝手だろうか。



「・・・妹は、まだライラックを兄と認識しています」

「うん、正体を明かさないで好きになってもらう事が条件だったからね。つまり素性は関係なくライラックを好きって事でしょ?」


流石ライラックの父だとライルは思った。

有無を言わさぬ何かを持っている。



「陛下が急ぐ理由はなんですかと聞けば?」


ライルとユアンのやりとりをずっと黙って聴いていたジョニーが言った。


「私はリラとの契約書を喜んで交わしますよ。ただ、明らかに急いでますよね」


ジョニーとライラックの言葉に、ユアンは息を吐いた。


「一番上と二番目がね、ライラックの病気はまだ治らないのかと気にしてるんだよね」

「今更ですか?一生治りませんが」


ライラックには2人の兄がいた。

正直存在を忘れていたほど関わり合いがなかった。

それはジョニーの元に移る前からだ。

実の兄たちに対する辛辣なライラックの言葉にユアンは笑った。


「私も今更だと思うんだけどね。病気療養で閉じ込めるとはどういう事だと言い始めてね。正直面倒なんだよ、あの子達」


自分の後継者に何を言っているんだと思いながらもライラックは言った。


「リラと私が婚約発表すれば良いですか?でも、お二人とも決まった相手がいないですよね。私が一番に発表するのはあまりよろしくない気がしますが」

「うーん。今回ばかりはそうは言ってられないかな。・・・ライラックを気にしてるのは本当だよ。まあ、ライラックが心配というより、世間体気にしてるんじゃない?それよりも、危険かなぁと私が思うのはリラちゃんなんだよね」


ライラックとライルがピクッと反応する。


「リラちゃん可愛いでしょ?だから2人に見られる前に書面かわしたいんだよね」






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