大好きなお兄様に溺愛されています。21
ライラックお兄様の溺愛ぷりが次々と披露されていきます・・・。
「・・・私が身につけてるもの"全て"って、本当に"全て"ですか?」
リラは、何かに気付いたかのように顔をあげた。
ライラックは一瞬目を見開いたが、すぐに言いたいことに気づいたんだろう。
凄く良い笑顔でリラに答えた。
「うん、そうだよ」
「・・・その・・・タグがついてない場合もありますか?」
「うん、私自身が作った1部のラインにはついてないよ」
くすりと笑ってライラックは耳元で囁いた。
「君の肌を一番近くで守ってる物にはね」
その言葉にリラが絶句している。
真っ赤になりすぎて最早、本当に言葉の通り、リラの頬は熟れたりんごのようになっていた。
(ああ、可愛い・・・この顔を見たかったんだ・・・)
うっとりするようにリラを見つめて頬を撫でる。
「愛してるよ、リラ」
追い討ちをかけるように耳元に唇を当てて愛を囁かれる。
リラは恥ずかしくてライラックの胸に顔を埋めた。
それなのに、頭に何度もキスが降ってくる。
正常な状態だったら嬉しくて、抱きしめて自分の想いも伝えただろう。
しかし今のリラの耳には何も入ってきていなかった。
その前の話でリラの頭はパンクしてしまっていたのだ。
折角のライラックの愛の言葉が聞こえない程に。
(いつもくる"リラ"の人が、ランジェリーは作ってないっていってたから・・・)
初めてジェイスに相談して手渡されたランジェリーは、本当に本当に可愛くてリラの好みそのままだった。
その後もランジェリーだけは、ジェイスから受け取っていたが、どれもリラの宝物になっていった。
リラの好みをそのまま形にしてくれるブランドは"リラ"しかなかった。
だから絶対に"リラ"ブランドだと思い、ジェイスに聞いてみたが、ただ笑っているだけだった。
我慢ができず、勇気を出して"リラ"のスタッフに聞いても作っていないとの回答だったのだが、どうにもリラは納得がいかなかった。
(やっぱり"リラ"だったんだ)
今までずっと気になっていたことが明らかになり、ようやく脳が機能し始めた後、先程のライラックの言葉を思い出した。
『うん、私自身が作った1部のラインにはついてないよ』
ランジェリーにはタグが付いていない。
付いていなかったから"リラ"ブランドだとわからなかったのだから。
(ライラックお兄様の手作りってこと?!)
「ひゃあっ!」
今日、折角全ての甘い行為に対する叫びたい衝動を堪えていたのに、これには耐え切れず声を上げてしまった。
熟れたリンゴを超えたら、人の肌はどこまで赤くなるのだろうか。
ライラックは漸く、どこか遠くに意識を飛ばしていたリラが戻ってきた事に気づくと、そっと自分の胸の中にいたリラを離して顔を覗き込んだ。
「お帰り」
優しくリラに向けて微笑む。
リラが自分の愛の言葉を聴き逃している事は気付いていた。
一度に色んなことを知ったり、気付いたりしてびっくりしているのだろう。
理解するまで待つのは平気だ。
リラが自分の気持ちに追い付くまで10年以上待ち続けているのだから、この数分なんて大した事はない。
「男が衣服をプレゼントするのは、その後プレゼントした衣服を着た彼女を暴く為なんだよ、リラ」
指でリラの頬から首、首から鎖骨までをなぞって妖しく微笑む。
「あっ・・・」
リラか唇を震わせている。
(やっと理解してくれたんだね。私が君をどんな風に求めているのか。そしてその先を・・・)
初めて自分の欲望を理解してもらえた事に、口元が緩んでしまう。
リラにバレないようにライラックはそっと手で口元を隠した。
ずっとこの瞬間を待っていた。
リラがライラックの感情をちゃんと理解してくれる瞬間を。




