大好きなお兄様に溺愛されています。15
「・・・本当に賢い者は能力を隠すのが得意だという」
ライルの言葉にライラックが浮かんだ人物。
それは身近な人間だった。
「父上の様に?」
「確かにお父様はその最たるものだと思う」
ライルは立ち上がり妖艶に微笑んだ。
「魔力のコントロールが秀でているのはワイズ家だ。特に膨大な魔力を持つ、魔力が開花したばかりの子供に訓える事が得意で、魔力を使用する第四騎士団所属の若手はお父様を師匠と崇める者が多いと聞く」
「・・・魔力を暴発させろと?」
ライラックの言葉に頷くとライルは腕を組んで真っ直ぐにライラックを見つめた。
「お前も知ってると思うが、検定は他者からの干渉をもって魔力を目覚めさせる事から始まる。つまり無理矢理魔力を解放させると言うことだ。だから事故が起きても良いように強い結界をはった場所で行われる。しかし、住うとなればそう簡単にはいかない。例え莫大な魔力を持っていたとしても、それを制御出来ない子を陛下が住う場所に置くことは出来ないだろう」
ライラックはこぼれ落ちそうな程、瞳を見開いた。
リラばかりに愛情を注いできて自分には何も感情を持ち合わせていなかった兄が、"自分がここにいて良い"と言っている。
「・・・無茶な事を言う」
口元に笑みを浮かべぼそっと言うと、ライラックは右手を握りしめライルに向かって伸ばした。
ライルも返すように右手を握りしめてライラックの拳に軽く当てる。
「私が戻れなかったら迎えに来てくれるよね、お兄様」
ライラックが珍しく愛らしい微笑みを浮かべるので、ライルは苦笑してしまう。
「世迷言を。自分で切り抜けてこそ我妹の夫に相応しい」
ライルは右手をひらひらと振ると部屋から出て行った。
「・・・すべてを知った上で足掻けと言うんだね、君は」
ライラックは立ち上がり、ジャケットを羽織った。
鏡台にある眼鏡をかけるとそっと小さな箱をポケットに忍ばせた。




