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大好きなお兄様に溺愛されています。10
ジョニーはナイフを動かしながら話を続けた。
「まさかライルより早い年齢で目をつけられてしまうとはね。折角僕が『ライラック?まだまだ全然駄目だよ〜、本当出来ない子でねぇ』ってアピールしてたのに」
「本当にジョニーはまだまだだな」
「流石お父様、全然役に立ちませんね」
「ジェイスとライルは相変わらず僕に手厳しいな」
ジョニーの話に笑いながら食事を楽しんでいた中、リラだけは違っていた。
先ほどからの震えは止まってはいなかった。
「ライラックお兄様?」
リラは瞳にいっぱい涙をためて、ライラックを睨みつけた。
ライラックはその表情すら愛おしそうに手を伸ばしてリラの頬に触れる。
「行ったら戻ってこれないのではないのですか?」
えっ?とライラック以外が手を止めて2人を見た。
かつて感じた事のない不穏な雰囲気にジョニーは額に汗を浮かばせながら言った。
「ライラック、もしかしてちゃんと話してなかったのかい?」
「いえ、ちゃんと言いましたよ『明後日から、王宮に住う事になったんだ』と」
「それは間違ってないな」
ジェイスが何度も頷きながら納得したように言った。




