異世界魔王がロリ幼女になって異世界転移!「でも入浴中はやめて」
【登場人物】
桜 あげは
高校1年生
年齢:16歳
誕生日:7月2日
身長:146cm
髪:黒髪長髪
性格:まじめ お姉ちゃんに目覚める
ゼノ(魔王)
年齢:149歳(見た目10歳)
誕生日:8月21日
身長:180cm→138cm
髪:赤い髪でツインテール
概要:異世界の魔王
~異世界 ウェストリア 魔王城 最奥~
はぁ、はぁ……
「もう少しであの部屋に……」
私は腹部から赤い液体が流れるに痛みに耐えながら手で必死に押さえつける。
抑えている手はどんどん赤みを増し、手の先からぽたぽたと滴り落ちた。
ちらっと後ろを見ると、私の後ろには赤い糸のような道ができていた。
迂闊だった。
まさかこんなに早く勇者がこの城にやってくるなんて……
我が魔王城はすでに勇者とその仲間たちによって制圧された。
この城で生き残っているものは、我1人を置いてほかにいない。
今こうしている間にも勇者は我の赤い糸を追ってこちらに向かっているだろう。
「この世界を守るため! 魔王を倒しに来た! 」
勇者の声は元気と殺気に満ちていた。
一体我らが何をしたというのだ。人間の町を襲ったわけでもないし、誰かを殺したわけでもない。ただ我らの領地で平穏に暮らしていただけというのに。
われらが人ではない≪魔≫族だからなのか。
『裂斬! 聖剣エクスカリバー! 』
ザシュ!
あの時の痛みは何事に例えることが出来ない。
今この瞬間、一歩一歩、足を進めるたびに腹部の痛みが一層激しくなる。
幸い魔王城の仕組みを知っていた我は勇者の一撃の直後、手元の緊急避難スイッチを押しかろうじて逃げることができた。
スイッチを押すと我の足元が浮上し、勇者を残してあの部屋に続く道へ来た。
薄暗い廊下の先にあの部屋がある。
勇者もここまで来るのは時間がかかるだろうが、この傷の状態だといつ追いつかれるかわからない。
ポタ
ポタポタ
もう少しだ、もう少しであの部屋に
ここか……
目の前には錆色で出来た古めかしい扉があった。
ここが我ら先祖に伝わる緊急避難部屋
昔父上から魔王継承の際にこっそり教えてもらった秘密の部屋
(この先に何が待っているかわからないが……行くしかない!)
私はドアノブを最後の力を使いひねった。
ガチャ
ギィイイイ
鈍い音を立ててゆっくりと開く
扉は幸いにも押して入る事ができたので負傷した我でも力を使わずに入る事ができた。
扉の中はまばゆい白い光に包まれていた。
「こ……ここは? 」
扉の中は真っ白な世界だった
我の体だけはしっかりと見えるが、影は見えないくらい明るい
いったいなぜこんな部屋が……ここが避難部屋だというのか?
まあよい。
とにかくあの勇者から逃げられればなんでもいい。
生き延びて勇者を倒すことさえできればそれでいい。
倒れていった仲間の魔族たちを報いたい。
ビービー
ビービー
警告音が聞こえた
「なんだ! このやかましい音は! 」
【緊急避難装置を作動します】
なんだ……頭の中に直接語り掛けてくるようだ。
【体の損傷部分を回復します】
……体の痛みが徐々に消えていく…傷口も完全にふさがれた。
【避難先に合わせて容姿、年齢を14歳に変更、会話方法を改善】
容姿? 年齢? 会話方法? いったい何を言っているのだ?
ピカ!
白い光が我を包む
シュワ
体がどんどん縮んでいく……どういうことだ。
ツルン
ああ! 私の自慢のバスト100の胸がなくなってしまったのじゃ!
これじゃあまるでお子様……あれ話し方もなんか変なのじゃ……
【避難先にこの世界の装飾品は持っていけません。装備を解除します】
えっどういうことじゃ。服が、武器が、角が消えていく……
すっぽんぽんになったのじゃ
【緊急避難を開始します】
ちょっと待つのじゃ!
すっぽんぽんで避難しても避難先で不自然なのじゃ! 恥ずかしいのじゃ!
3
2
1
開始
ピカッ!
うわああああああああああああああああ!
~世界は変わって 9月 風見町 ライズマンション 702号室 桜家 居間~
「あげは! 22時過ぎてるんだから、そろそろお風呂入っちゃいなさい。」
「えー、おふろ……めんどくさいなぁ。後でいくからちょっと待って」
私はお母さんに空返事をしてパソコンとにらめっこを続けた。
はい、画面の皆さんこんにちはあげはです。
え?私が今何をしているかって?
そう……私は小説を書いているの。
最近なろうで見た異世界のお話が、特に面白くて興味を持ったのがきっかけだ。
だから私も異世界系の小説を書いているの。
パソコンは高校に入学するときに親が買ってくれたんだ。
小説を投稿したのは5月からだから今月で4か月目かな。
私の小説は王道で異世界で勇者がたくさんの仲間と出会い魔王を倒しに行くお話。
最初は1日20人くらいにだったPV数も、半年も続ければ1日200を安定して超えるようになってきた。
夏休みもずっと小説を書いていて、話数もついに127話まで来た!
頑張ったなぁ私すごい!
もう少しで魔王を倒せる、完結してハッピーエンドまで頑張ろう。
「あげは! 早くしないとお父さん先にお風呂いくよ! 」
お母さんの必殺技「お父さんが〇〇! 」これは思春期の私には耐えがたい屈辱だ。
「あ、待って。それはヤダ。お父さんの後なんてやだ、死んでも嫌だ! はい! 今行きます! 」シュパ‼
私はwordの保存ボタンを押し、着替えの準備を終えると浴室に向かった。
おとうさん「…………母さん、泣いてもいいか」
桜家 浴室
ヌギヌギ
ヌギヌギ
シャワ~
カラダアライ
ちゃぽん
私は湯船につかるとゆっくりと足を延ばし、手を上にあげて大きく伸びをした。
ふぅ、体洗うのはめんどくさいけれど、おふろは気持ちいいな。
「ふふーん! 」
私は上機嫌で小説の続きを考える。
転生をして異世界ウェストリアに来た勇者ハルトはたくさんの仲間と出会い魔族を倒していった。
時には閑話として勇者の日常生活を描いたり、ヒロインとの恋愛話を書いてみたり……とにかく作っていて面白かった。
そして今、主人公のハルト達一行は魔王城へたどり着き、各階層のボスをみんなで倒していった。
さてどうやって魔王をたおそうかな。
夏休みの間に頑張って書いて100話更新してようやく魔王城まで来たんだから結末は面白く作らないとね!
私の思考が頭をめぐる…
うーん……魔王だったらどんなやられ方が一番いやかしら?
その時!
ピカ!
浴室がまばゆい光に包まれた
うわ!なに!
なんなのこの光は?
びっくりして声も出ない
そして光は徐々に集まり球体のよう
まぶしい! まぶしい!
私は目を手で覆い隠す。
光が収まったころ、覆い隠していた手をどけるとそこには一人の幼女が裸体で立っていた。
容姿こそ幼いものの整っており、きれいな艶のある赤い髪と長いツインテールがマッチしていた。
「へっくち、ここはどこなのじゃ……」
幼女は1回小さなくしゃみをしてあたりをきょろきょろと見回す。首を振るたびに揺れるツインテールがすごくかわいい
私と幼女の目が合った
「あ、あなたは」
「へっくち。われはゼノ、世界のへっくち……寒い」
ゼノ?
いきなり何なの、どういうことか全然わからない。
ゼノは私のほうを見てつぶやいた
「(……避難場所がお風呂場でよかった、とりあえず怪しまれないように)あのね!おねえちゃん、一緒にお風呂に入ろうなのじゃ」
ずっきゅうううううん!
【お・ね・え・ち・や・ん】
私の体全体を嵐のようなものが過ぎ去る。
なんてパワーだ……このままでは心臓がはちきれて死んでしまいそうだ。
「寒い……お願いなのじゃ」
ずっきゅうううううん!
【お・ね・が・い】
一言がすさまじいパワーを持っている。
私はもうだめかもしれない、可愛すぎる。
冷静に……冷静に……
「えっと……ゼノちゃん。どうぞ入って」
私は伸ばしていた体を縮めるてゼノがお風呂に入れるスペースを作った。
ちゃぽん
小さな音と同時に水かさが上がるのが分かった。ぷにぷにした柔らかい肌の一部があげはに当たる。
「ありがとう、おねいちゃん。あったかいのじゃ」
ニコっとゼノが微笑んだ。
あぁ、すごくかわいい。
そうだ……昔私は一人っ子でずっと妹が欲しくてお願いしたっけ。もしかして神様が私にプレゼントしてくれた……わけではないよね。
しばらく二人で温まった後、あげはからゼノにつぶやいた。
「ゼノちゃん、私はあげはっていうの。あなたはどこからやってきたの」
するとゼノの顔が少し暗くなる。
「……ない。ゼノ、帰る場所ない。ゼノの仲間みんな殺された。ねぇ、あおばおねえちゃん……守って、我を勇者から守って欲しいのじゃ」
ずっきゅうううううん!
【あ・げ・は・お・ね・え・ち・や・ん】
「Yes, I am ! I can speak English ! 」
動揺しすぎて英語で返事をしてしまう。
冷静に……冷静に……
「……いいよ、ゼノ。お姉ちゃんがあなたを守ってあげる」ゼノは再び満面の笑みを私に見せてくれた。
こうして私に妹ができました。
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