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世界と世界、狩るは妖気  作者: ロキューノス
第一章 ノイズメロディー
10/106

10.木平 鋼

 計器が1箇所を指して異常を告げる


 一つは|堕赫髗(ダクロ)《ダクロ》の妖気()とすぐに分かる


 測定されたパターンから新種ではなく前からいる物と分かる


 名は()()()


「もう一つは?」


「しょ、正体不明なんですが……」


「ん?」


 計器を扱うのに専属がいる――各地に妖祓師の詰所(コロニー)があるがその上がすぐに一番上の京直通ではパンクする


 それくらいの規模はある


 地区を大きく分け大妖寮として配置されている


 そこでは自らの妖気を使うことでその地区全ての反応を感知できるように開発された計器がある――


 基本これを扱う者達は即答を基本としている、勿論できない時もあるがここまで歯切れが悪いのは中々無い


「鬼の反応だと思われます」


「……」


「即答出来ないのは堕赫髗(ダクロ)との応戦を確認と近くに妖祓師がいるのです」


「だぁあボス! 簡単なことだろ? 鬼は――眷属も即排除、これに間違えはないでしょ?」


「頼めるか?」


「隊は組んどいてくれ」


 スっと立ち上がり音なくその場を離れた







10



「ハハハ! 面白いことになっているな! 堕赫髗(ダクロ)と鬼の反応で見に来てみれば堕赫髗(ダクロ)は去り、鬼の周りに人間。一体全体どういうことだぁあ!!?」


 刀を手に持った小柄な男が崖の上に立っている


 手に刀の時点でかなり危ない人だけどもっと危ないのが俺の事を目で殺すつもりなのかと言うほど睨んでいることだな


「兄さん!」


 そう、兄さん……兄さん!?


「え!? あれ!? えっと……鉄さんのお兄さん?」


「あ、若、そうです。俺の兄の木平(キヒラ)(コウ)です。大妖寮に務めてるんです」


「哲平、そいつはなんだ? それに堕赫髗(ダクロ)は?」


堕赫髗(ダクロ)は若と戦うと満足して帰りました」


「はぁ? って若ってのは……あぁお前の入ってるとこのか……」


「もしかして若を……」


 えっと……わかんないわかんない!


 なんかトントン拍子に話進めないで


 小説、漫画じゃないから振り返れないから!


主人(マスター)必要なら記憶しましょうか?』


「いや、大丈夫です」


「二人……片方は式獣、もう片方は護獣か……分からないな」


 腰に鞘があるのは見える


 それに刀を納める動作を全くしない


 いつ来るか本気で分からない


 来るかさえも……いや、来るな


『その勘は……当たりじゃよ』


 ノアの声が頭に響く


 鉄さんのお兄さんが崖の上で無意味に空を刀で斬る動作をしだした


「兄さん!?」

「哲平、下がってろ」


 なんとなく、それでも自然と体を横にずらすと地面を穿つ跡ができた


 攻撃……見えない。妖気も感知できない?今見えたのじゃこんな威力は出ないはず……


「見えない攻撃?」

『よく見ることだが……まだ無理か、逃げることをオススメするよ』


 ノアが少し眠そうに答えてくれた


「陽建、あの人が使っているのは――」

「静かにしてろ」


 低く響く声で叫び緋乃がビクッとして黙った


「緋乃、大丈夫」


 まぁ大丈夫じゃ無いけど……虚勢でも意地は張りたい


「鬼か人か。斬るべきものか、こちら側か。見せろ」


 フワッとする風に乗って攻撃が飛んでくる


「メル!」

『はい、主人(マスター)……………あ、ダメですね』

「え?」


 ビジュッビジュッと何発も体を掠る音がする


「ぐっ………」

「陽建!」「若!」


「………妖力が尽きたもしくは発動するまでの量がないか」


「メル」

『はい、その通りです。主人(マスター)は私とノアを召喚と名付けまでしてますので……』


「さぁもう良いか」


 崖の上で男が腕を上げる


 速度を重視する一撃、メルが刀になれないとわかった瞬間から体が重い


 恐らく(放たれれば)必中する(生き残れない)だろう


 ブンと風を斬る音が耳朶を打つ



 ダンッ! と彈く音に続き「ぐぅぅぅ……」と苦しむ男の声が聞こえた


「哲平……」

「鉄さん!」

「若……俺は壁です、問題無しです。無事この局面を乗り越えてください。まぁ俺より助けになる存在があっちにいるんですから」


「緋乃……」


「馬鹿が」


「緋乃!」

走狗行脚(ソウクアンギャ)風天(フウテン)


 脚に風が集まる


 自然と体が軽く感じる


「メル! 一瞬でいい俺か呼んだら成ってくれ」

『一瞬なら』


「無謀だなぁあ!」


 刀を振り回している


 ……もう仕組みはわかった


 その目的もある程度の推測ができる


 影に近づくために地を走る


 さっきのような脚力が出ない、あれは妖気を使っていたんだな


 ()()()()()()()攻撃をギリギリで避ける


 そう、不可視に見えるだけ。正確にはちゃんと攻撃の線があるし飛んでいるんだ


「…………」


 微かな時間視線が交差する


 その目には仄かな笑みを感じる


 まぁなんでもいい、ここを乗り切る


 右に左に蛇行して避ける



 この攻撃は2発に分かれている


 小さい弾と大きい弾


 小さい弾が先行し攻撃しているという線を作ることで妖気を感知しても目で見えない攻撃になる


 問題は攻撃力はほとんど無いこと


 だから2発


 大きい弾が後追いで1秒かかるかかからないかくらいの速度で飛んでいる


 最初に当たる攻撃は小さい弾で攻撃力はそんなになくても体に当たることで体が強ばる耐えるために


 その状態にタイミングよく大きい弾が来るため効率がいい


 そのため俺にも攻撃が効く


 自然と体を強ばらせて攻撃に耐えようとするから


 鉄さんの防御の時小さな音が微かに先行して聞こえた


 ちなみにあの刀は振っているだけ


 しかも刃の部分は妖気でできている


 刀からの攻撃だと思って見ると小さな弾の攻撃を見逃す


 視線誘導に近いことを行っている


 妖気を感知できる相手に対して有効な技かもな


「メル!」

『はい、主人(マスター)


 崖を駆け上がり男の目の前まで行きメルを呼ぶ


 男の刀を思いっきり弾き飛ばす


 ここでメルが元の姿に戻るが拳を目の前に持っていく


「これで満足ですか?」

「あぁ、問題ないみたいだな」

「で、どこに行けば?」

「俺が連れていく」


 これで戦闘終了か


「よ、陽建」

「緋乃、大丈夫。援護ありがとう。鉄さんは大丈夫?」

「うん」

「じゃあ行ってくる」



 最初から逃げ場はない


 というか逃げれば俺以外の人に迷惑しかかからないのだろうな


 俺が目覚めた力は危険な物、みたいだな



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