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1-3魔法の素質

突如伝えられた「魔導具の動力源になってほしい」という言葉に驚くおれに、ほくろのベスは説明する。


「まず、この世界において魔法は、日常生活において欠かせない源なのじゃ。 魔力を元に発現するのが魔法。 この部屋の明かりもその魔法の恩恵を預かる一つなのじゃよ」


 ベスが天井にぶら下がる明かりを指さす。


(この世界の魔法っていうのは、電力のようなものなのかもしれないな)


 おれは頷きながら、疑問を伝える。


「この明かりは、どんな魔法が使われているのですか?」


 ベスが首を横に振り、ゆっくりとした口調でおれを宥めるように言う。


「まぁそう急ぐでない、若者よ。 先ほど言ったとおり、魔法を発現するには魔力と魔法、両方の理解が必要じゃ」


 シスが頷き続ける。


「まず、魔力。 これは生きとし、生けるもの全てが一定量持っているものじゃ。 この空気、木々、星、そして動物。 全てが魔力を保有しているのじゃ」


「そして、魔法。 これは、魔力を使って具現化した力じゃ。 力の発現方法は古くからいろんな種類があるが、今は誰もがこの魔法の力を使えるように、ほとんどが魔導具によって魔力を自動的に力に変換しているのじゃ」


 おれはふと疑問に思ったことを口に出す。


「では、先ほど僕を召喚するときに使用した魔法も魔導具によるものなのですか?」


 すると、何やら質問が嬉しかったらしい。ベスが嬉々としてこたえる。


「良い質問じゃ! 実は、召喚を魔導具で行うことも検討されていたのじゃが、現時点では実現されていない。 召喚魔法は術式が複雑で、魔導具化が難しい技術の一つと言われているのじゃ。 中でも、暦と魔力を同調させ、加速させる技術が一番の肝で……」


 どうやら、おれは触れてはいけない部分に触れてしまったのかもしれない。少しその様子に困惑していると、シスが諦めの混じったため息と共に、ベスをとめる。


「ベス、その話、今は良いのじゃ。 とにかく、今は魔力の取り出しは魔導具が主な手段だということを理解しておいてもらったらよいのじゃ」


 ベスが何やらしょんぼりしているように見え、少し気の毒に見えたから、今度聞いてあげよう。とにかく、おれはどうやら魔導具による魔法が溢れるこの世界で、魔導具の使い手になることを望まれているようだ。ちょっと話を戻そう。


「それで、さっき僕に言っていた魔導具の動力源になってほしいっていうのはどういうことですか?」


「戦争に使うような強力な魔導具には、大量の魔力が必要となる。 そして、お主にはその大量の魔力の源になってほしいと思っているということじゃ」


「でも、生活に使っている魔力があるのであれば、それを魔導具に使えばよいのではないですか?」


 少し立ち直ったベスが代わりにこたえる。


「そうはいかんのじゃ。 魔力は基本的には貯蔵や移動、持ち運びができないものなのじゃ。 全くもってできないというわけではないのじゃが、貯蔵中、輸送中にどんどん消費していってしまうから、瞬間的に、生活圏から離れた場所で、大量の魔力を必要とする戦争をする上で、生活に使用する魔力を使うことは困難、ということじゃ」


 そしてシスが続ける。


「だからこそ、お主のような大量の魔力を保有できる素質のある人間が欲しくて、召喚したのじゃ」


 少しずつだが話が見えてきた。つまり、おれを移動できる魔力源として活用したいってわけだな。となると、当然気になってくるのは、おれ自身がその性能を満足しているかどうか、ということ。


「それで先ほどの検査ってことですね。 先ほどの感じだと、悪い結果ではないように思ったのですが……」


「まぁそう慌てなさんな、答えは逃げていかんよ。 検査の結果の前に、まずは魔力の素質についてちゃんと話を聞くのじゃ」


 シスの指摘で気がついた。どうやらおれは話を急ぎすぎているらしい。さっきも同じようなことを言われたし、よくよく考えてみると働いているときもたまに言われることがあった。ちょっと注意しよう。おれは、コクコクと頷き、話を聞く姿勢を示すと、シスが改めて説明を始める。どうやら、魔力関係の専門がシス、魔法関係の専門がベスのようだ。インプット、アウトプットで良いバランスの姉妹である。


「わかれば良いのじゃ。 まず、魔力の素質には、大きく3つある。 一つは量。 もう一つは速度。 最後がエレメントじゃ。 この中でも、生まれつき決められているのが量と、エレメントじゃ。


 ふむふむ、とおれが頷いているとシスは続ける


「エレメントは、魔導具に魔力を乗せて使う上では影響がないから気にする必要は無く、速度は訓練によって上げることができるが、量は努力ではなんともできないのじゃ。 そして、この量について、お主は少なくとも常人の100倍近い量があるのじゃ」


「100倍ですか? それって、すごいのですか?」


 なんだか1万倍とか言われればとんでもなくすごそうだ、というのがわかるが、100倍ってなんともまぁ中半端な数字である。この質問にはベスが答える。


「今まで見てきた中で、最大でもお主の半分くらいの量が最大じゃ。 それも、過去1人、2人くらい。 そして、量が多い、というのは、単純に貯蔵できる魔力量が多いというメリット以外にももう一つ大きなメリットがあるのじゃ」


「もう一つの……、メリット……?」


 シスは頷く。


「先ほども言ったとおり、速度は訓練によって改善できるといったじゃろ? あの訓練で使える魔力が、圧倒的に多いということは、どういうことかわかるか?」


 思わず、ポンと手を叩く。


「それだけ、速度を向上させる訓練ができる、ということですね!」


 シスとベスが同じタイミングで頷く。


「そういうことじゃ。 魔導具の出力は、どれだけ大量の魔力を短時間につぎ込めるか、これにかかっているのじゃ。」


「そして、速度を向上させるには、最大速度の魔力を、どれだけの時間放出できるかによって決まってくるのじゃ。 お主の場合、現時点でもそこまで速度が遅いわけではないから、訓練次第でどれだけでも早くできるのじゃ。 先ほど、お主の検査をしたときに少し温かく感じたといっておったじゃろ? あれ自体が、魔力が流れる感覚で、自分にとって魔力の流れる速度が早いと、熱く感じるのじゃ」


 おれはここまで話を聞いてふと冷静に我に返る。

(あれ、つまりはこれから先、速度向上のために、ものすごい訓練が待っているってことか…… ま、でも訓練によって目に見える成果があるっていうのは、ある意味わかりやすくてよいかもしれないな)


 あれこれ物思いにふけっていると、どうやら少し疲れたようにみえたのだろう。シスが気を遣って声をかけてくれる。


「ま、いきなりあれこれ言い過ぎてもよくないし、とりあえず魔力の話はこれくらいにしとくのじゃ。 今日はこのアデロン共和国と、この城について理解するといいのじゃ」


「焦りは禁物じゃよ。 お主の部屋に案内するから、部屋でしばし待たれよ。 しばらくすると説明役がすぐに迎えに行くじゃろ」


 そういうと、席を立ち部屋をでるシスとベスの後をついて召喚された部屋を後にした。


努力無くして成長無し、ですね。

一歩ずつですが、前に進んでいきますよ。

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