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聖女ではないとしても
そんなの決まっているではありませんか。
にっこりと笑う私にフロースさんは眉を下げる。
「その為に召喚されたのでしょう?こんな状態の国を無視してどうして自国へと帰れるでしょうか?私で力になれるのでしたら是非ともやらせてくださいな。」
そう言う私にフロースさんは大きい瞳をさらに大きく開く。
そんなフロースさんの手を私は掴み両手で包み込む。
「そして、私のことはどうか聖愛と呼び捨てで呼んでください。さあ、立ち上がって…」
フロースさんの腕に手をやり、ぐいっと上に持ち上げるとつんのめるようにフロースさんは立ち上がりました。
顔を覗きこむとフロースさんははにかんだように笑い
「では、私のこともフロースと呼び捨てにしてください。」
フロースさん…いいえ、フロースとしばらくお互い微笑みあった後惨状と化している王国へと足を踏み入れました。