どうやら異世界召喚されたようです
くりくりとした大きな丸いスカイブルーの瞳に少しハネっ気のある淡い金色の髪に薄ピンク色の小さな唇。
涙と鼻水で顔がぐしゃぐしゃになっていても分かるイケメン……
あれ?この方は殿方なのでしょうか?そう思いたくなるほどの可愛らしさです。
ですが、女性が想像されるであろう白馬の王子様のような格好をしているところから恐らく殿方で間違いないでしょう。
……少しばかり服が切れていたり泥がついていてよれていますがね。
そんな分析をしていると大きな目を更に大きく見開いて可愛い殿方は持っていた本を落とし私に掴みかかってきます。
そんな手を軽く払い直ぐ様殿方の後ろへと移動し、体を拘束します。
何がなんだかよくわかりませんがまずは情報収集ですよね。
軽く拘束を強めると殿方は焦ったように喋りはじめます。
「まっ待ってください!ご無礼をお許しください。私はフロース・ファレノプシス、あなたをここファレノプシス王国に召喚した者です。」
どういうことなんでしょう?
私は殿方…フロースさんを解放することにしました。
また、襲い掛かってきてもこの程度ならどうとでもなります。
私はフロースさんに話の続きをするように促しました。
フロースさんは顔を拭い正座をして話してくださいました。
まとめますと、ここは異世界でファレノプシス王国という場所らしいです。現在ファレノプシス王国は魔物に攻め込まれており街は半壊、王は殺され王太子であった第一王子が指揮をとっているものの情勢は思うように行かずこのままではまずいと第三王子であるフロースさんが王城から『勇者召喚陣』が記されている本を持ち出し近くの草原で召喚を行った所、私が召喚されてしまったようです。
まぁ、トラックに轢かれる間際だったので召喚されて良かったのでしょうが。
「お願いします、あなたはか弱い女性ですがどうか、どうか我が王国を救っていただけないでしょうか。」
フロースさんは地面に頭を擦り付け土下座をしてきます。
王族が簡単に土下座をしていいものなのかとは思いますが困っているようなので魔物がどの程度強いのかはわかりませんが出来る範囲で力をお貸ししましょうか。
そう思い返事をしようと口を少し開いたところで私は止まります。
「勇者様は召喚出来ませんでしたが聖女様として、その魔物を浄化するといわれる聖魔法を行使していただけないでしょうか。」
聖女様?聖魔法?
魔物を殴り倒す気マンマンだった私はポカーンとしてしまいます。
まぁ魔物がいれば魔法もありますよね。
しかし、生まれてこの方魔法なんて使ったことはありません。
よくお話なんかであるように異世界に行けばチート魔法を軽々と使えるようになるのでしょうか?
その疑問はすぐに晴れます。
フロースさんは魔法の使い方を手取り足取り細かく教えてくださいました。この世界には火、水、風、土そして、聖と闇の属性があるそうです。それぞれの効果もまたよくお話で聞くようなものです。
そして、私にはあまり魔法適正がなかったようです。
異世界にきて魔法が使えないとはまた残念なことですが使えないものは仕方ありません。
悲しいかと聞かれれば悲しいですがフロースさんがそれを知った時の落ち込みようをみたら申し訳ないほうが強いです。
召喚が失敗したショックもあるようですがなんの攻撃手段を持たない私をそのまま元の世界へ戻せず魔物の巣食う王国へと連れていくことに項垂れているようです。
私はまぁまぁ体術は心得ていると思ってはいるのですがそんなに魔物というのは強力なのでしょうか?