3話「適合者」
適合者の集団があることを知った広田豪健。木下先生に質問をされるがどう答える!?
「ん?」
またもや間の抜けた声を上げた。トイレに行こうとして教室から出ようとしたら、廊下を飛ばしてここにいたからだ。
トイレに飛んだのか...?少し興奮してきたのを感じた。
「ハハッすげぇや」
乾いていて冷たい空気が入り込んでいる寂しいトイレに、俺の笑声が軽く響いた。物音がトイレの前で聞こえた、菊川だと思い駆け寄って扉を開けた。しかし、目の前にいたのは菊川ではなく、ましてや人でもなかった。そこにいたのは熊のようにでかいイヌ科の獣だった。さっきまで興奮して火照っていた顔から血の気が引くのを感じた。
「ガルヴゥゥゥ~」
目があってしまった、先ほど菊川から少し学園内が荒れると聞いた気もするが、もう少し現実味のある対人戦みたいなものだと勝手に思い込んでいた。俺の首を軽く飛ばせそうな大口がひらいてこっちに突っ込んできた。扉を閉める間もなく距離を詰められて。
「おぉうらぁぁあ!」
目の前にいたはずの獣が爆風で吹き飛んだ。代わりに立っていたのは赤髪の菊川だったが、最後に見た時と姿が変わっていて、片腕がかぎ爪になっていた。また俺は新しいことを目の当たりにして、言葉を詰まらせていた。
「よかったな変な能力じゃなくてw」
腕を元に戻して見せた。俺がその腕は大丈夫なのかという目で見ていたからだろう。
「助けてくれてサンキューな。で、荒れるって理性の無い生物の代名詞みたいなこいつらが跳梁跋扈する事を言っていたのか?」
「いんや、なんか思ってたのとなんか違った。怨霊的な物が徘徊するんだと思ってた。後、どういたしまて。」
じゃあ今起こっていることは事情に詳しいであろう菊川でも想定外のことらしい。
「おーい暉夜君~!大丈夫かね!?」
大きな声をあげて早乙女先生が走り寄ってきた。その後ろに木下先生もいて、教室に顔を突っ込んで生徒達の様子を見ながらついてきていた。
「あれ?豪健君!?もしかして適合者だったの!?」
「こいつはさっき適合したばかりの野良ですぜ。」
「ほほう、後で話そうかね。」
早乙女に菊川が俺のことを話ていた。
「えっと、アッキーと先生二人はなんかの集団なのか?」
そしたら新任の木下が答えた。
「まだ仲間はいるけどね。詳しくはあとで纏めて話すよ。だけど今は、おっと」
話してる途中にさっきの獣が現れた、それも複数体。
「暉夜とりあえず頼んだ、少し野良と話す。」
木下は菊川に指示した。菊川は黙って頷いて獣達に突っ込んでいった。それから質問が続いた。
「名前は?」
「広田豪健。」
「能力は?」
「瞬間移動ぅかな?」
「ほほう、すごいな。使いこなせるか?」
「いや、全然使ってn」
「クズめ。」
なんなの?俺に対する暴言酷くない?
更新速度は期待せんといて