9 雨の日はスケルトン製造
しとしと降る雨を眺めながら神核を起動する。
神核
保有魔力 2768
オリジナルスキル 鬼兵旅団 Lv1
スキル
剣術 Lv1 四元魔術 Lv1 回復魔術 Lv1 無詠唱 Lv1 魔力感知 Lv1 魔力循環 Lv1
魔闘気 Lv1 痛覚耐性 Lv2 飛行
スキルのレベルは上がっていないが新たなスキルが追加された。飛行と痛覚耐性の2つだ。
翼を使い飛行できるようになった事で飛行が追加されたのだろう。スキルレベル表示が無いので慣れていくのみで、スキルとしてこれ以上の発展は無いのだろう。
痛覚耐性は絶対に墜落のせいだ!
なんだ女神よ、天界で笑っているのか?
見守っているってこゆいう意味だったのか?
しかもこれだけLv2だ、チクショー!
恥ずかしい。
別に有っても損なスキルじゃないから許すが悪意を感じるぞ。
鬼兵旅団
兵種
骨鬼 4体
特殊操作
変化は無い。特殊操作とはなんぞや?
モンスター素材はグレーウルフの毛皮とホーンラビットの毛皮。ホーンラビットの角。スタンプボアの肉とホーンラビットの肉。全部大量に有る。数えるのは手間なので諦める。
魔石も大量だ。ざっくり数えて500個以上有る。魔石が一番価値が高いと思っていたが1個は鉄貨50枚から60枚だそうでかなり安い。一時間にゴブリンを10体倒せば円換算で時給5000円なのだから悪くは無いのかもしれないが…微妙だ。
テントを張っている木の周りを拠点を木工スキル持ちに整備を命じていたのだが、村に行っている間に小屋のようになっていて雨をしのげている。
床は竹のようなまっすぐな細めの木をきれいに並べた上に枯れ草を被せ毛皮は敷いてある。壁は枝を編んだで三方に立ててあった。屋根は無くテントの布を張っているだけなのだが元々が木の下なので雨で濡れる事はなかった。
昨日村長から分けてもらった果実酒を朝から飲みながら湖をぼんやり眺める。魔力やスキルのチェックも済んだところで、今日の予定を考える。
「雨だし今日は小屋で過ごすか」
毎日闘い続けるアニメの主人公では無いので休日も有るのだ。勇者はブラック企業の社員なんじゃないかと思うぐらいだ。
毛皮の上でごろごろしながらスケルトンを増やす事を思い付いた。
小屋の横で倉庫用の新しい小屋を造っている木工スキル持ちのスケルトンを呼ぶ。
「おーい、運搬に解体場から骨をどんどん持ってくるように伝えてくれ!それと小屋が素材で溢れて狭いから、早く倉庫を造ってくれよ」
スケルトンは頷いて走り去っていく。
暫くすると呼びに行ったスケルトンは戻って来て小屋造りを再開する。運搬スキル持ちのスケルトンは一度にかなり量の骨をかかえて運んできた。何度も運んで来る大量の骨から新たなスケルトンを召喚していく。
召喚したスケルトンは全部で6体だ。
もう少し召喚したかったが骨が無くなったのだ。
また骨を集めなければいけないな。
6体のスケルトンのスキルは新しい物に挑戦した。
剣術、体術、斧術の戦闘スキルが3体。
料理、採集、会計の非戦闘スキルが3体だ。
実験として新たに召喚した体術スキル持ちと会計スキル持ちを戦わせてみる。
スキルの効果とはかなりの物だった。体術スキル持ちが圧倒したのだ。やはり戦わせるなら戦闘スキルは必須になるだろう。今は雑魚モンスターばかりだから良いがすぐに行き詰まる事が予想できる。
「せっかくだしいろいろ試してみるか。実際に戦わせるのが一番分かりやすいからな」
酒を片手に観ているだけなのでのんきなものだ。
次にモンスターを倒しているので成長しているであろう木工スキル持ちと体術スキル持ちで戦わせてみたのだが結果は同じだった。戦闘スキルを持った召喚したばかりの体術スキル持ちが圧倒したのだ。
武器を持たない剣術スキル持ちと会計スキル持ちでは圧倒するほどではないが剣術スキル持ちが優勢だ。
体術スキル持ちと剣術スキル持ちでは武器が無い場合はやはり体術スキル持ちが有利な戦闘になるようだ。ただ非戦闘スキル持ち程の差は無いようだ。
最後に木工スキル持ちと会計スキル持ちを戦わせてみたのだが力の差はなく拮抗する。
モンスターを倒しても強さには変化がない。
では成長限界とは何なのだろう?今ある情報だけでは解らないがいずれ変化が有ること期待して今は数を増やす事が先決だ。
新たらしく召喚した料理スキル持ちのスケルトンには朝食を作らせる。貰ってきた小鍋を石でくまれた竈にかけている。ホーンラビットの肉と野菜でスープをリクエストした。調味料も有ることだしそれなりの物はできるであろう。料理は苦手ではないが日本とは勝手が違いすぎるため自分でやるよりましだろう。
採取スキル持ちは単独で食べられる食材を集めさせることにした。果物やキノコは森の中で発見したが毒が有るかもしれないので試してはいなかった。美味い不味いは別としても”食べられる”と命令すればそのように行動するので不思議だ。こちらの知識がないことをカバーできる。
会計スキル持ちと木刀を作り持たせた剣術スキル持ちはペアで狩りに行かせる。湖より平原寄りに狩り場を指定した。会計には狩りの合間に素材や魔石の管理をやらせることにした。面倒なことは全て丸投げだ。
順調に兵の数が増えたら戦闘スケルトンと支援スケルトンのグループで役割分担しよう。
斧術スキル持ちは木に平たい石をくくりつけた原始的な石斧を持たせる。体術スキル持ちとペアで湖の左側を探索に行かせる事にする。現在いるスケルトン達の中では一番高い戦闘能力を有している2体だ。
未討伐のモンスターを発見したらそのまま死体を持ってきて貰いえば姿の確認も出来る。少しでも強いモンスターを倒した方が良い素材が手にはいるだろうから行動範囲も広げていこう。
村長から教えてもらった情報によればここから奥の森には
二足歩行の豚・オーク
黒い狼・ブラックウルフ
空を飛ぶ刃物の魚・ナイフフィッシュ
この3種の数が多いがそれ以外にも複数のモンスターがいるとのことだ。獣人のハンターが狩りをするらしい。森の入り口から半日の距離ぐらいまでが狩り場になるそうだ。危険もあるが油断しなければ大丈夫であ
るとのことだ。
さらに奥には別のモンスターがいるそうだが挑むのはやめた方がいいと忠告を受けた。
「森の奥地は甲殻蟲のエリアになっていてそれまでのモンスターとは次元が違うから近寄ぬ方が良い。音も気配も無く近寄って来て、殺されたことにも気がつかぬ。決して踏み入れてはならぬ魔の領域じゃからな」
と村長は話してくれた。
倒すことが出来れば超高額の希少素材が獲れるが、倒すための損害の方がはるかに大きくなるようだ。
ゲームで言えばはじまりの森の奥にラスボスエリアが有るようなものだ。いつか攻略したいが今は立ち入らない事にした。
モンスターは10体のスケルト達に任せて、刀で素振りをしたり魔術の訓練してのんびり過ごす。
雨が上がると夜空に星が見えていた…