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79 領都攻略戦2

公爵領のさらに先へ侵攻する為に東西に2師団が出撃していくのを見送る。

そして、帝国へと続く街道を封鎖するために指揮ジェネラルが40門のカノン砲と砲兵を引き連れて街道を進んでいった。


包囲をしている兵は6師団になった。

兵数は格段に劣るが公爵軍が領都から出て勝てるほど少なくも無い。

包囲を継続するだけならカノン砲もあるので十分な兵数であった。


この状況でさらに占領地を増やす事に戦略的には意味は無い。

支配したところで得られる物は何もないからだ。


しかし建国後の国民の人口を減らさないためにあえて支援の為に占領する事にしたのだ。

支援をしなければ下手をすれば一冬で半数の将来の国民を失う事にもなりかねないからだ。


物資の補給路は通常ルートのほかにこれまで遊撃や開墾の支援など占領地で動いてもらっていたホエスラ君に空中輸送をしてもらう事にしたのだ。


ヘンリル領を中心にドウガーイ王国には食糧など物資に比較的余裕があり、運ぶ事さえできれば物資に困窮する事は無いと判断した。


ホエスラ君はこの戦いが始まった当初よりもさらに大きくなりタンカーほどのサイズまで成長しており、口の中と背中で大量の物資を一度に運ぶ事が出来るのだ。


領都を包囲している陣を中心に様々な場所を周回して補給を行ってくれる。


侵攻していった師団の向う先には主だった公爵軍は存在せず、小規模な領主が自領の警備に当っているだけであるので小規模な制圧戦をするだけで主な任務はPKOだ。

平和維持活動で占領地の治安維持と人道的支援とインフラや農地の整備などの復興が主な任務となっている。


カノン砲での街道封鎖は万が一の保険だ。

領都から女公爵エメラルダ・レークを逃がさないためと、帝国からの援軍を阻止するためだ。

バリケードで街道を塞ぎ24時間態勢で周囲も含め2000体のスケルトンが警備をして、遠距離からカノン砲で砲撃するのだから並大抵の兵力では突破は不可能だ。


冬の間は移動することは厳しいから活躍の場は無いかもしれないが、春になれば援軍が来るおそれがあるので阻止や時間を稼ぐ事が出来ると期待している。


「それにしても物資や兵士の人件費とか莫大な金額だな。公国なんて建国しても資産も何も無いからどこからこの経費を回収すればいいんだ?王国に請求書を回すわけにもいかんしな。」


出撃していく仲間を見送り指揮所に戻ると溢れた納品書と請求書が待っていた。

現在は領都の攻略よりも冬越えの準備に追われている。


今回輸送されてきた物は木材と布と毛皮が中心だった。

冬の寒さを簡易のテントや塹壕で過ごさせるのは無理なのでしっかりとした建物と兵士の宿泊するテントを設営するためだ。


指揮所や食堂、その他もろもろの皆が使う施設は小屋を立て、寝泊りはゲルのようなテントを作る事にしたのだ。生活拠点は領都の東西に分けて突貫工事で行われている。


工事中に敵の攻撃を受けると面倒なのでカノン砲でけん制と威嚇の為に砲撃は継続している。


既に当面の食糧に加え追加のスケルトンが輸送されており、公爵領の大森林の5箇所に500体ずつを配備して生産活動も開始させていた。


木材や食肉・薬草・毛皮に魔石と生活に必要なものを今後は現地生産して調達できるだろう。


「とりあえずヘンリル領もアース商会もそれ以外も利益を出し続けているから銀行経由で新公国に貸し付ける事にするか。余裕があったらドウガーイ王国とカント王国の債権も買い取ってやらんとな、財政難に陥られても困るから時期をみて国債の発行も提案するか。ライラのお陰で資金面は問題ないからさっさと戦争を終わらせないとな。でもその後の帝国との関係も難題だな…どうしたものか。少しでも賠償金なりで回収したいな。」


「閣下、お忙しいところ申し訳ありません。こちらが物資の申請書と現状の報告書です。順調に野営地の準備は進んでおります。大量の毛皮と魔道具で暖が取れるとあって兵も喜んでおります。それと、まだ調査中なのですがここから遠くない森の中に怪しげな施設があったと狩りに向った兵士から報告がありました。人気は無いのですが軍の施設のようですので監視の部隊を送りました。」


「ご苦労。無人の軍施設?あれ…なんか忘れてるような…あっ!それって湖の近くにないか?」


「そうですが閣下はご存知なのですか?」


「あぁーあれな。どんなのかは知らないけど誰のかは知ってるわ。」


「どうゆうことですか?」


「公爵の就任式典のために領都に来る途中で早すぎたから珍しい魚が採れるって情報を貰ってそこに立ち寄って食事をしながら時間を潰したんだけど、もしかしたら戦いになるかもしれないと思ってスケルトンに基地の建設を命令しておいて忘れていた。確か30体しか置いてきてないけど…結構でかくなってた?戦争にならなかったらその魚を食べに行くための隠し別荘にでもしようと思っていたんだけどな。」


「…」


「とりあえず近寄らない様に連絡してくれ。兵士を殺してしまうかもしれないからな。俺が一度確認に行くわ。もしかしたら使えるかもしれないからな。」


「お願いします。それにしても帝国の貴族のお膝元に勝手に軍事施設なんて作ったら大問題になるのに…その上別荘気分とは…。私は失礼して休ませてもらいます。少々疲れました。」


「…ごゆっくり」


やっぱりまずかったかな?

とりあえず職務は部下任せでいいから見に行ってみよう。


シロの背に乗り森の中へ向って駆け出した。

漆黒のローブのお陰で寒さは感じないが頬にあたる風はだいぶ冷たくなってきた。



「おー凄いな!発見しにくいように偽装もしてあるな。秘密基地って言ったからか?おーいスケルトンいたら門を開けてくれ!」


しばらくするとギィー音がすると門が開いた。

そしてゆっくりと格子状の扉が上に吊り上げられていく。


門は中央から左右に開く引き戸・開き戸の二重構造に持ち上げる格子戸と3重構造になっている。

防壁もしっかりと丸太で組まれており一部には石も積まれている。

櫓や足場もあり防衛戦が十分に出来そうだ。


内部には整然と小屋とスケルトンが並んでいた。数にして30棟はありそうな小屋を眺めながら内部へ歩いていく。


通路は広く、雑草も生えていないほど綺麗に整地してある。


「中を案内してくれ。」


そうすると2体のスケルトンが無言で歩き出した。

しゃべれないから無言なのは当然だ。


先導されて内部を見て回ると全容が把握できた。城壁は正門が1つに裏口が2箇所あり周囲を囲んであった。建物は2本の交差する通路を中心に34棟あった。そのうち倉庫にしていた4棟には棚が設置されて干し肉、薬草、毛皮、小麦などがモンスター素材と生産して食糧まで様々に保管されている。


畑や従魔ようの牧場まで完備されており、骨も大量に集めて保管されていた。


「30体のスケルトンで半年でここまで出来るのか…凄いな。戦闘が出来る基地をと命令したけど物資まで考慮するとは。それにこの規模なら1000名は過ごせるかもしれないな。でもどう使おうかな…」


しかし、あまりに中途半端だ。

領都からの距離も規模も。


現状の生産力で物資の足しにもならない。


「活用法がないから面倒だから傭兵団にくれていやるか。ここからなら領都攻略にも呼べるし、戦後もなにかとやってもらうのにちょうどいいしな。生産を増やすために奴隷もつけるか。そうしよう。それがいい。うん、それしかないな。」


すぐにホエスラに乗せられた傭兵と奴隷が移り住み、新たな村として稼動させた。

この施設からしばらくすれば物資を補充できるようになるだろう。

スケルトンもいるのだから。


準備を整えて早く領都の攻略をしないとな。

事務的な仕事ばかりだったのでシロとの散歩で良い気分転換が出来た。


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