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73 無血開城

城塞都市を包囲している同盟軍も城塞都市も飛び越えてカント国境側の指揮所の近くでホエスラ君から飛び降りる。


近くにいた兵士に案内させて指揮所のテントに向う。

テントに入ると多くの指揮官がせわしなく仕事をしていた。


「閣下、ご無事で。すぐにお召し替えの用意をいたします。食事はとられますか?」


「汚い格好ですまないな。両方とも後でいい。とりあえず状況を報告してくれ。」


報告によると包囲網が完成しているが現在は小規模な遠距離戦と新型兵器の攻撃準備中であるとの事だ。

これから本格的な攻略さ作戦が実行されるそうだ。


「ご苦労だった。総攻撃の前にこの箱を敵の将に届けて降伏の勧告と交渉をしたい事を伝えてくれ。」


「承知しました。すぐに使いを出します。閣下はお疲れのご様子ですのでお休みください。用意はさせていますので。」


俺は指揮官に促されて士官用のテントに向った。

武器を置き、服を脱ぎ捨てシャワーを浴びた。


血が染付き服を脱ごうとしても身体に張り付いておりバリバリと音を立てながら引っぺがした。

シャワーを数人のメイドに手伝ってもらい汚れを洗い流したがなかなか落ちないため、簡易の浴槽を用意してもらい湯に浸かってから綺麗に汚れを落とした。


俺を見たメイド達はあまりに酷い姿に小さく悲鳴を上げる始末だった。


久しぶりにまともな食事を食べて少し横になった。


どれぐらい寝ていたか分からないが疲れが取れないうちに起こされる事になった。


「閣下、お休みのところ申し訳ありませんが都市の市長と将軍からすぐに会談を開きたいと申し出がありました。いかがいたしますか?」


「すぐに向う、随伴を選んでくれ。」


メイドたちにより新しい軍服を身に纏い魔車に乗り込んだ。



「ヘンリル辺境伯閣下、良くぞお越しくださいました。市長を務めます、ホワキンス・ハールと申します。お帰りまでの安全は保障させていただきます。こちらは防衛軍の将軍でアレルトカイ子爵です。」


「お初にお目にかかります。」


切れ者の役人に寡黙な軍人といった感じの2人だ。

会談は城塞都市の城門近くのレストランを貸しきって行われた。


連れてきた兵士達は敵地のど真ん中ということで緊張した面持ちで警備している。


「同盟軍のペルセ・アース・ヘンリルと申す。急な呼びかけに応じて頂き感謝する。それで贈った土産は確認してもらえたかな?」


とたんに2人の顔が引きつる。


「はい…しっかりと。」


「彼らは丁重に葬ってやってくれ。確認してもらえたなら状況もお分かり頂けると思うがいかがかな?」


「その前に私の友であった彼らの指揮していた軍がどうなったのかお教え願いませんか?」


将軍の要望に応えて公爵軍の顛末を簡単に教えてやった。

彼らへの贈った箱の中身は師団旗に包まれた師団長の6名の生首だった。


二人の顔は絶望一色に染まった。


「これは俺の望んだ結果ではなかった。しかし、状況は厳しく止める事は出来なかった。私も後悔してやまない。これ以上の流血は望まない…もう十分以上に流れたからな。ここで戦う事になれば関係の無い一般市民も巻き込んでしまう。既に勝敗の決している戦いなのだから被害を出す前に投降してもらいたい。」


本来であれば公爵軍の大勢力が包囲しえいる同盟軍を打ち破り、カント王国を占領に向う予定だったはずだ。

しかし、味方は全滅して支援も無く孤立様態だ。


8師団もの勢力をたった1人で壊滅させた人物が目の前に座っており、町の周囲にも倍の人数の軍が包囲しているのだ。

絶望するしかないだろう。


「投降した後の処分はどうなりますか?私達の首でお許しいただけますか?」


市長は覚悟を決めたように答える。


「その必要は無い。明け渡してもらったら安全を保障しよう。終戦までは捕虜になってもらうが末端の兵士まで丁重に扱うことを約束しよう。」


無意味に殺しても何の得もならない。協力的に行動してもらった方が余程良い。


「ここは商人の町であり海運業を中心に発展してきました。貿易などはどうなりますか?」


「売国行為がないかは監視させてもらうが基本的に自由にしてもらっていい。当面は帝国との貿易は出来ないがいずれは交易の復活も考えている。帝国の条件次第なので保証はしかねるがね。」


二人とも深刻な表情だ。しかし、選択肢は無い。


「私の一存でこの場で結論を結論を出す事はできかねますので各ギルドなどの意見を聞く時間と、改めて詳しい条件などを検討させた頂く場を頂けないでしょうか?今後はそちらにお邪魔させていただきますので何卒お願いします。」


「もっともな意見だな。安全は保障するので安心してまいられよ。では失礼する。」



その後5日に及ぶ和平交渉が行われて城塞都市は投降して無血開城することとなった。

交渉の場には各種のギルドの代表者が参加して今後の取引について話し合われた。


結果としてはこれまで通りの商売を続けてもらう事になった。

これまでは帝国との取引が中心であったが辺境の特に目立った特産がなかったこの町は単なる輸出港のひとつで冷遇されていたとの事で、今後の同盟3カ国での自由貿易について高い関心を持っていた。


加工品の輸出を中心に行われていた為に服飾、金属、食品、魔道具などの職人が豊富で品質は高かった。

今後は建国する公国のアース商会の拠点としても良さそうだと思う。


防衛軍は武装解除をして投降して全員が捕虜となった。

一箇所では管理が大変なので半数を元将軍に指揮してもらい同盟軍と一緒に侵攻軍を撃破した場所へ向ってもらう事にした。


公爵軍の所持していた武器・防具・魔道具・日用品・貨幣とホエスラ君によって分別された戦利品が山と積まれておりその処理をしてもらうためだ。


ホエスラ君の戦後処理の方法は地面ごと死体その他を一気に丸呑みにして、使えるものを分別して吐き出しす。

そして食べられない土や岩を吐き出して埋めもどすといった方法で大型重機なんて比べ物にならない処理能力を発揮した。


処理済の大地はホエスラ君に食べられた事で大量の魔力を含んだ耕された土地になったので、味方になった傭兵団に畑にしてもらう事にした。


投降した兵を投入して城塞都市の商人達の協力も受けて穀倉地帯にするべく計画を進めていた。

占領した城塞都市は改名をした方が良いとのことで命名を頼まれたのだが考えるのが面倒で”港湾都市ならコーベでいいんじゃないの”の一言でコーベに改名された。


市長は俺の奴隷となり今後も継続して職務に当たってもらう事にした。

とても有能な市長だったからだ。


ギルド関係者の話では彼が市長で無ければこの町は貿易都市として発展しなかったと言わしめた。

そのまま市長続投を希望す声が多くそれに応える事にしたのだ。


戦場跡は開墾と村の開発が進められる事になった。

この新たな拠点を通して各地の村々にも支援をする事になっている。

コーベの商人とクローニを中心とした同盟国の商人が協力して行ってくれくる。


救援のために遊撃に出てから20日でこの周辺の状況は落ち着いたので貴族達に後を任せて司令部に戻る事にした。

国境線の攻略は全て終了して本格的な侵攻作戦に移っていくからだ。



司令部に戻り戦況の確認をすると大森林側から次々に町や村を占領して支配地域を拡大しているとの事であった。特に目立った抵抗はないようだ。


前線の敵の動向の変化は司令部の先で待ち構えている公爵軍が4師団増えているだけだそうだ。

そして、町の周囲の森林に大量のゴブリンが確認されているそうだ。


公爵令嬢の話していたゴブリン兵だろう。

ヘンリル軍の2師団は陣地を建設して簡易ではあるが野戦砦を建設したそうだ。


公爵軍は6師団まで戦力が低下した事で帝国に支援を要請して辺境攻略軍の10個師団が新たに投入されうようで、現在は領都に向って来ているそうだ。

住民の強制徴兵も行って戦力を増やすのに躍起にっている。


「新たに投入される戦力の動向には気を付けてくれ。帝国の正規軍は同盟軍と比較にならないほど強い。装備には魔道具が仕込まれていて魔術抵抗力が高くて、錬度も高い。まともにぶつかれば同数なら確実に負ける。あまり戦線を広げすぎないようにして連携をしっかりとれるように注意を促しておいてくれ。」


「承知しました。閣下はこの後はどうされるのでしょうか?」


「当然、ヘンリル軍のいる最前線に戻るよ。俺が行かなきゃやられてしまうからな。」


休む間も無くまた前線に出撃していく。


宣戦布告してはや2カ月が経過するが戦力の半分を倒し、公爵領の2割を支配地域にしたのだから順調と言っても良いが依然として予断を許さぬ状況であった。


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