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71 爆撃

奇襲するなら闇夜が一番だ。

しかし、警戒が尋常でない。


でもそれは仕方のない事だろう…


あちこちに爆音と共に土煙が上がり、そのたびに悲鳴が聞こえる。


もう真夜中にも関わらず静寂は訪れない。

映画で見た戦場の雰囲気が広がっている。


ホエスラが休むことなく丸太の杭を投擲しているのが原因だ。


ヒュー、ズドーン!

ヒュー、ドゴォーン!


「頑張るね~。寝なくてもいいってのは強いな。そんじゃこっちもいこうかな。」


直立したまま前方に倒れるように降下を開始する。

バンジージャンプを飛ぶように物資を積んだ魔車に向かって頭から落下する。


荷台に到達する直前で身体を丸めて上下を反転させた膝を曲げて静かに降り立つ。


まだ、誰にも見つかっていない。

腰につけた袋から握りやすいサイズの石を取り出して警備兵に狙いを定める。


ホエスラの投擲の着弾に合わせて敵兵に向けて石を投げると頭部に命中して、兜を大きく凹ませて中身が潰れる。


1人また1人とホエスラの攻撃に合わせて警備兵を倒していく。


単独の兵士を倒すと短剣を取り出し兵士の後ろに回り込み、背後から静かに左手で口を塞いで右手に持った短剣で心臓を一刺して引き抜く。

さらに、間髪入れずに横の兵士の首を切る。


最低限の見張りを倒したら荷馬車に入り魔術で火を点ける…その前に酒と美味しそうな物を拝借して焼却処分。

まだまだ物資はあるので食糧以外も物資もついでに焼却処分。


火が放たれると敵兵がどんどん集まってきたので手近な兵士から殺していく。

一つ目の集積場に集められた物資をあらかた燃やし終わりるまでに結構な時間がかかった。


撤退しようとしたら1人の奴隷兵が近寄ってきた。

いずれ開放して貴重な労働力として働いてもらいたいので殺すのは勿体無い。


気絶でもさせようかと思ったら投降の意思表示をしてきた。


奴隷兵が命令に背いて投降など出来るはずがない…


「ペルセ様、レジスタンスのものです。」


ああ情報をくれた連中が忍び込んでいたのか。


「ご苦労さま、情報提供は助かった。指揮官に礼を言っておいてくれ。それで用件はなんだ?時間がないぞ。」

「はい。徴兵された住民を逃がしたと聞きましたが、その手引きをこちらもして宜しいですか?」

「無駄な犠牲は出したくない。少しでも逃がしてくれ。何か出来る事はあるか?」

「ありがとうございます。派手に暴れてもらえれば隙ができますので。それと失敗しても見捨ててください。ペルセ様の邪魔になっては本末転倒。どの道死が確定しているのですから早まっただけの事です。それと可能であれば物資も持ち出そうと思います。住民も物資も無理やり奪われたので残された住民もほおっておけば冬を越せませんので少しでも足しにしたいと思います。」

「結構な覚悟だが無理はするなよ。皆殺しにされてとなってはそれこそ本末転倒だからな。住民の支援も考えておくが期待はするなよ。」

「ありがとうございます。もしもの連絡はどちらにすれば?」

「海岸線にスケルトンを1体待機させておくからそこまで持ってきてくれ。」

「承知しました。」


テントの影で密かに話を終えると別の師団の物資を潰すべく飛び立った。


一晩で3箇所の物資を潰したが師団ごとに潰した量の数倍がいまだあり、昼間には追加の物資も運ばれてくる。


迂回するために別の街道を確保しようとする別働隊がいくつも活動を開始するは、攻撃をしても一向に減っていかない敵兵。


二日目は単独で別働隊を潰し、運んでくる補給部隊を壊滅させて回った。


スケルトンも隙を見て敵軍の外側を一撃離脱で奇襲して敵を屠っていく。


敵の行軍を完全に足止めして一日で数%ずつではあるが正規兵を倒していき、徴兵させられた一部の住民を逃がす事も出来た。


鬼兵旅団の空き枠を使いゴーストを召喚したので戦力は多少増えた。


しかし、空き枠の増え方から推察するに砦攻略も激戦のようだ。

通常の大森林の狩での損害では日に10体前後だが、攻略に当たっている部隊は一日で100体以上の被害が出ている。


早急に戦力の補充をしてやりたいがこの場を離れるわけにはいかないので、現有戦力で頑張ってもらうほかない。


死体はいくらでも手に入るので昼夜を問わずにゴーストを突撃させた。

しかし、正規兵の装備は魔術抵抗力が高く攻撃力で劣るゴーストの攻撃では大きさ損害を与えることは出来ていない。


ホエスラの空爆・ゴーストの突撃・スケルトンの奇襲が休み無く行われた戦場はまさに魔界戦争だ。

毎日休む事も無く攻撃を繰り返して五日間が経過した。


司令部からの報告が届き2つ目の砦の攻略完了と3つ目の攻略開始が報告された。

城塞都市を攻略するための師団に騎兵隊も到着した。

あと5日もすれば鬼兵旅団も到着するそうだ。


現在地から城塞都市までは敵の行軍速度で5日かかるのでもう少し足止めしながら戦力を削らなければならない。


司令部からの報告と時を同じくしてレジスタンスからも情報が入った。


”明日、1師団の正規兵が街道を強行突破計画。魔術師多し。気を付けられたし”


流石に敵も我慢の限界のようだ。

このままここにいてもどうにもならないと強硬手段に出てきたようだ。


明日に備えて久しぶりに手作りの風呂を作りゆっくりと休む事にした。



街道に山と積まれた木のバリケードに向って公爵軍の1師団総勢5000強が進軍してきた。

街道の両側にスケルトンが潜み、俺は街道のバリケードの上に腰掛けて敵を待つ。


「5日間で公爵軍の半数近くを削れたか。住民兵は減っているけど奴隷兵や傭兵は減っていないからな。全体としては3割ちょっとってところか。」


遠くに見えるホエスラ君の空爆を見ながら現状を確認する。


しばらくすると公爵軍が目前まで進んできた。先頭を守るのは重装備の盾兵だ。


「ここから先は通行止めだ。このまま引き返してもらえるか。」


「貴様がこの魔物の大将か!貴様だけは許さんぞ覚悟しろ!」


1人の豪奢な鎧を身に纏ったエルフが騎獣の上から応えた。


「お前が指揮官か?」


「いかにも。公爵軍第9師団団長だ。貴様の首は俺がもらう。」


座った状態から木を蹴るように飛び出し、師団長めがけて全速で突進する。

目で追えるぎりぎりの速度で接近して空中で抜刀して一閃。


勢いのままに敵陣に突っ込み数人を吹き飛ばして止まる。


振り返り


「首を取ったのは俺だったな。」


師団長が振り向こうと首を動かすと赤い線が一筋引かれて頭部がポロリと地面に落ちていき、首から大量の血が噴水のように吹き上がる。

身体はまだ死んだことに気がついていないように騎獣を操作しようとしているが、直後に動かなくなって横に転がり落ちた。


「皆殺しだ!」


近くにいたドワーフを袈裟斬りにしながら叫ぶと敵の左右からスケルトンがあふれ出てくる。

指揮官をなくした軍などどうということはない。


目の前の敵をとにかく斬り殺せばいいのだ。

刀を左手一本で横薙ぎにして、右手でもう一本の刀を抜刀する。


「そんなに怯えるなよ、傷つくだろ。楽しく遊ぼうぜ。」


にやりと笑いかけてやると敵は発狂した。


「誰も逃がさんぞ!皆殺しにしてやるからな。」


淡々と敵兵を倒していくスケルトン。

中央部で大暴れするおれ。

噛み付き、爪でなぎ倒す狼。


街道は血みどろの大乱戦になる。

この乱戦では味方を巻き込んでしまうので魔術師は魔術を使えない。


兵士も魔術師も関係なく斬り殺していく。

混乱する街道から抜け出そう森に入る者は待ち伏せていたスケルトンに殺され、後方に向って引き返す者は容赦なく背中を斬りつける。


「帝国の兵士とは敵に背を向けて逃げる腰抜けばかりか!かかって来い、誰でも相手になるぞ。」


1人の隊長格と思しきエルフが魔闘気を身に纏い目の前に現れた。


こいつは達人クラスの戦士だ。


両手に片手斧を持ち構える。

非力なエルフが斧を使うとは珍しい。魔闘気で筋力を上昇させているのだろう。


「いざ。」


正規軍の兵士は簡単に倒されていくが実際には相当に強い、しかしこいつは全てが別格だ。


あっという間に間合いの深くに入られた。


左右から繰り出される斧を刀で何度も防ぎながら隙をついて腹へ蹴りをぶち込む。


蹴られた勢いを受け流しながら後方へとび、体勢を崩さずに再度構えをとる。


「ハルスと申す。武人として名をお聞かせ願いたい。」


「ペルセ・アース・ヘンリルだ。いざ尋常に勝負。」


今度はこちらから仕掛ける。

敵に向って走り右手で片手突きを放つ。


器用に斧で弾くが構わず、体を入れ替えて左手で逆袈裟に振り抜く。


しかし、一歩間合いを詰めて刀の柄を弾かれた。

黒魔竜刀の切れ味を知っているかのように刀身を避けてきた。


普通に防いでくれていたらそのまま勝負がついていたのだが、ここで踏み込むとはたいしたものだと感心してしまう。


右手の刀の持ち手を逆手に持ち替えて足の脛に向けて突き出すが後ろに飛びのき避けられた。


「たいした腕だな。俺の部下にならないか?」


「そちらこそ殺戮伯の異名を持つだけの強さ。お誘いは有り難いが帝国兵士としての誇りがありますので。」


「それは残念だ。では勝負を決するとするか。」


俺はオリハルコンの刀を地面に突き刺して、鞘を捨てる。

黒魔竜刀を鞘に納刀して腰を落とす。


「参る。」


敵が両上段に構えて向ってくる。

迫ってくる敵の目を見据えてながら鍔に指をかける。


振り下ろされてくる敵の斧が振り抜かれる瞬間に、踏み込みと同時に抜刀して横一閃して敵と交差する。


魔闘気を全開にしていたにも関わらず左肩には鈍い痛みを感じる。

血を払い刀を納めて振り返ると敵はうつ伏せで倒れていた。


仰向けにしてやると左脇の下から右腰までばっくりと一直線に斬れていた。


「お見事でした。」


「貴様こそたいしたものだ俺に傷をつけるとは。生涯、武人として名を覚えておこう。」


「光栄です…」


強敵と決闘をしているうちに敵はどんどんと殺されていく。

肩を回復魔術で癒してから残りの敵を殲滅していく。


挑んで来ようが、逃げようが関係ない。皆殺しにしていく。

昼過ぎには街道が無数の死体で埋め尽くされていた。


第9師団の壊滅は敵に大きな衝撃を与えたことだろう。

これで撤退してくれれば良いが…



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