表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

65/81

65 撤退戦4

「閣下、住民の代表が昨日の襲撃の抗議に来ていますがどうします?住民の一部が狼達によって死者や怪我人がでたようです。追い返せばよいですか?」


武器を持っているものや邪魔するものを排除していたからな…

いくら賢いといっても正確に軍人と一般人を狼達に判断しろというのは無理があったか。


役所で押収した金品を被害者に慰謝料として支払わせて怪我は回復魔術師に治すように指示をして代表を部屋に呼ぶ事にした。


役所の中は薔薇騎士団が制圧して現在は町長を初めとした上級役人の取調べと重要書類や金品の押収を進めていた。情報を得る事が出来るだろう。


抗議に来た者は帝国の支配下になる前からの住民のまとめ役をしている者のようだが単に抗議に来ただけではないようだ。

そもそも貴族に抗議するなどこの世界では自殺行為だ。


相当の覚悟でやってきたとなれば別の用件もあるのだろう。

こちらからも住民達に依頼したい件もあるのでちょうど良いので話をしてみる事にした。


部屋にやって連れられてきたエルフは見た目は20代だが実年齢は300歳をはるかに超えるかつてこの地を治めていた王国の元役人だそうだ。


彼らの国は滅び王族も貴族も処刑されて帝国の支配下になりそれ以降は奴隷のような生活を強いられているそうだ。そして今回の騒動や戦争の情報を聞き決起を計画しているらしい。


いわゆるレジスタンスを立ち上げたいようだ。現在もその骨格となるようなネットワークや組織があるようだがあくまでも各町や村の情報交換にとどまっているそうだ。


こちらには武器と資金の提供を申し込んできて。そして、レジスタンスは情報の提供と戦争時には戦闘の手伝いを申し出てきた。


「用件は分かった。お前達に協力してもいいが1つ確認したい。戦後に俺はここにドウガーイとカントの承認により建国をする。お前達はどうする?」


帝国に抵抗して勝ったら今度は新しく作る公国に反抗されたのであって意味がない。

当然ではあるがそのつもりであればここで潰しておかなければならない。


「閣下はどのような国になされるのでしょうか?帝国の支配と変らないようであればわれらは剣を置くことはできません。属国と言えど本国と同じように扱っていただけるのであれば膝をつき閣下をお迎えさせていただきます。」


「そうか。では早速契約しよう。この国は本国とは基盤が違うからしばらくは厳しい状況が続く事は覚悟してもらわなければならないが、飢えで小さな命が奪われる事は無くなるだろう。ただし、戦争が終わるまでにお前らが武器にするのは剣でも槍でもなく己の命だ。それを覚悟しているのであれば戦い方も教えてやろう。そして、建国後には国軍として剣の先を帝国に向けてもらうがそれでよいな?」


「もとよりこの命捨てる覚悟は出来ております。」


こうして現地の住民達のレジスタンスが発足した。

帝国軍の武器を全て提供して押収した資金も渡した。

これは全て無償ではなくきちんと貸付として処理して将来的な反抗の芽を摘む仕組みも作っておく。


彼らレジスタンスに教えたのは地球でかつて起こった凶悪な犯罪の手法やテロリストやゲリラの戦い方だ。

自殺覚悟で神出鬼没で行われる反抗は1人が行うだけでも警備の強化など神経をすり減らしていく。


そして、予定していた街道を使わずに村々を繋いでいる古い街道で国境近くまでいける裏道を教えてもらった。案内もつけてくれ、途中の村々も協力をしてくれる事となった。


しかし、国境の町が問題だった。半要塞のような町で攻略どころか通過する事も不可能だそうだ。

現在でも1師団以上の兵力があり戦力差は歴然であるそうだ。


「国境の町まで3日あれば到着できるかと思いますが突破する事は不可能です。魔車を捨てて森の中を進むしかありません。」


「その必要はない。その町を攻略して当面の戦線基地を作る事も作戦の1つだからな。1師団であれば特に問題もあるまい。役人もこの町もお前達に預けるから好きに使え、いずれ俺が来るまで潰すなよ。」


こうしてレジスタンスに面倒な事は全て押し付けて当初の予定通り昼食後には町を出発する事が出来た。


後に知る事になるがこの時発足されたレジスタンスはかなり過激な組織になった。

俺達が去った後に帝国関係者である投降した兵士やその家族を全て捕らえて、食事も与えず死ぬまで休み無く町の防衛設備の建設や整備に使い半数を死亡させた。


残りの半分も特に女性や子供が多かったようであるがレイプは当たり前ながら奴隷化して働かせたりして、戦闘が起こった場合には裸にして肉の壁として使ったそうだ。

殆どが俺が教えたことなのだが実践するとは恨みとは恐ろしいものだ。


レジスタンスのメンバーも自ら命を捨てて戦った。

文字通り自爆をしていった。当初は爆弾は無いので剣1つで行軍中の帝国軍に挑んだそうだ。

死を恐れず向ってくる敵ほど恐ろしいものはない。


戦争が進むとヘンリル領で製造した爆弾を使い様々な場所で自爆テロを繰り返して帝国軍を苦しめた。

終戦までに数百の爆弾がレジスタンスの命と共に消えていったが、その数十倍の命を奪う事に成功したようだ。終戦時に爆弾の回収を命じたが全て使い切っており、終戦しているにも関わらず帝国領内で自爆すると志願する者も多くいたそうだ。


女性や少年も自爆を自主的にしていったそうだ。

娼婦のフリをして軍に紛れ込み短剣1つで何人も殺しまくった女も多数いたそうで、指揮官や貴族も被害にあい、娼婦を買う事が禁止される事なった。これが帝国軍の士気を低下させる原因にもなったようだ。


兵士といっても殺しを行えばまともな精神状況ではいられない。

そして、その殺傷行為の興奮は性的興奮に近いものがある。


事実、初めて殺しを経験したアイリーンはその後しばらく毎晩激しく求めてきた。

殺しの初体験をした者の多くがそうであった様で薔薇騎士団は規律で認められないため団員同士で慰めあったりしていたようだ…見てはいないけど。



俺達は敵に遭遇する事も無く現地の住民の協力を受けて国境まで程近い町の近くまで領都を発ってから6日で到着する事が出来た。


「閣下、あれが国境に城塞都市ですか。あれを突破はやはり無理なのではないですか?」


歩兵隊の隊長が偵察の報告を持ってやってきた。

報告によれば2個師団に近い戦力があり、守りは強固であり攻城戦の兵器が必要である。


「今回は王子が二人もいるし貴族も多いからな。そこをうまく利用する。」


「まさか、王子を餌にして町の外に引きずり出すのですか?仮にうまくおびき出しても勝てませんよ。5倍の兵力差は武器や技術ではどうにもなりません。閣下のように1人で1師団を壊滅させるなんて芸当は誰にも出来ません。私の部隊でも2000名を超えれば厳しくなってきます。」


攻城戦では勝てないだろうが町の外での野戦であれば勝率は高い。

戦力差があるならば埋めればいい話だ。


「町の正面から野戦をするのに十分な距離をとって野営地を作れ。そして、王子二人に降伏または全力で戦うように徴発するような書状を書いてもらって届けろ。この兵力差で閉じこもった腰ぬけどもがって具合にな。今晩のうちに城門は全部ぶち壊してくる。」


また単独行動ですかと叱られるが確実で被害も無いのだから仕方がない。


こうして敵の目の前で野営を行う事となった。

後はうまく敵が町から出来てきてくれる事を祈り王子達に過激な徴発を盛り込んだ書状を書いてもらった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ