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64 撤退戦3

野営地では炊事場や簡易のシャワーにテントなどが用意されていた。

もうすぐ夕刻なのでそれなりの時間はあったとはいえしっかりと準備がされていた。


敵軍にお世話させて申し訳ないがありがたく使おう。


「私が公爵閣下より直々に追撃軍の指揮を任された。今回は協力感謝する。このあたりを通過する事は無いとは思うが逃げ場を塞いで確実に倒す事を閣下は希望されておる。強行軍で進んでいるゆえ支援していただけて助かった。」


「当然のことであります。この町の治安維持軍の隊長を務めております。何か必要なものがあれば言って下さい。すぐに用意させます。それと宿を1つ貸しきっておりますので士官の方はそちらをお使いください。」


「それは助かる。部隊の監督が終わり次第そちらに向わせてもらおう。明日改めお時間をいただければ状況と閣下のお考えをお話しましょう。」


「承知しましたでは明朝に。門は開けておきますのでいつでも出入りできます。見張りも部下にさせますので皆さんはゆっくりとお休みください。」


こうして特に怪しまれる事も疑われる事も無く野営を始める事が出来た。

提供された食事を取りシャワーに洗濯など出来る事をどんどんと済ませていった。


夜も深まり一眠りしている兵達を避けて二人の王子を呼んだ。


「これから敵を襲撃します。これは訓練と実戦でどの程度戦えるかのテストも兼ねていますので私の指示がるまで秘密にしておいてください。では少し出ますのでよろしくお願いします。王子達は中央の安全な場所で見ていてください。」


「承知した。」


森に向かい狼達を集めてタイミングを計る。


既に街中に潜伏している歩兵達は準備完了の報告を受けている。

野営地の準備はさせていないが訓練にはいい機会だ。


「お前らはあそこの門をぶち壊し兵士を襲って反対側の門まで追い込め。うちの兵は俺の臭いで分かるな?襲うなよ。分かったら行け、派手に暴れて来い!」


狼達が闇夜にまぎれて町に近づいていく。

低い姿勢でゆっくりと走り出した狼達は徐々にスピードを上げていく。


全速力に達した直後に2匹の狼が飛び出して走り出した。

全速力のまま町の入り口の門に飛び掛り、鋭い爪を持つ大きな前足で思いっきり門に殴りかかると左右の扉が粉々に破壊されて吹き飛んでいく。


続く狼達は正面に進んでいいいる一団から左右に10匹程度が僅かに分かれて進んでいく。

左右に分かれた狼は門を通らずに城壁に跳躍で飛びつき爪で壁を削りながら数回ジャンプをして壁を軽がると飛び越えて城壁の上を左右に走りながら広がり、一匹ずつ町に飛び降りていった。


「あいつら凄いな。まともにぶつかったら3000の兵は厳しいけど奇襲なら簡単に倒してしまうかも知れんな。森の中だったら兵士じゃどうする事もできないか。」


狼達が町に侵入すると同時に悲鳴が聞こえてくる。

あちこちで叫び声や怒号が徐々に増えてきた。


「そろそろ戻るかな。」


野営地に戻ると町の異変を察知した兵がちらほら目を覚まし始めている。

こちらも訓練開始だな。


「敵襲だぞ!全員すぐに戦闘準備!指揮官は戦闘準備完了したら報告に来い。ちんたらしてると死ぬぞ!さっさと起きて支度しろ。敵が攻めてきたぞ!」


俺の怒号に兵士達が一斉に飛び起きて武器を持つ。

武器を持っただけじゃ駄目だろ?


「警備兵!町から避難してくるものを誘導するために門まで戻れ!お前らも起きたらさっさと支度しろ!敵は待ってくれないぞ!」


飛び起きた兵士達は防具をつけ、寝床を片付けて隊列を組むなど慌しく動き始めた。

すぐに準備ができた部隊から貴族が報告に来た。


「やっと全員集まったか。遅すぎるぞ。死にたいのか?これは実戦だぞ気合を入れなおせ。これから敵兵が門から溢れてくるのを迎え撃つ。正面に弓隊と弩隊が布陣して遠距離攻撃。歩兵は門に向って右側をドウガーイ王国に任せる。左側はカント王国だ。住民以外は殲滅しろ。ヘンリル軍は正面で守れ。遠距離攻撃隊は誤射に注意しろ!分かったらすぐに戦闘準備にはいれ、もう門まで兵士が着てるぞ、警備の兵から仕留めてしまえ。魔術師は魔術を撃たれるまで待機しておけ。」


事前の準備が無いにしてはスムーズに戦闘態勢にはいり誘導している兵士や逃げてきた兵士に向かい次々に矢が放たれていく。


命中率が低いがそれなりの錬度はあるようだ。

逃げてくる者は兵士ばかりなので狼達の狩りと潜伏させた兵達がうまく誘導をしているのだろう。


しばらくすると続々と兵士達が門から出てくる。


出てきた端から弓に射掛けられ倒れていく。たまに左右に走っていく者は待っていましたとばかりに切り殺される。


まさか仲間に殺されるとは思わないだろう。


本当は敵なんだけどそれを知る者は町の治安維持軍にはいない。


街中からはいまだに叫び声や戦闘音が聞こえる。

街中の様子が気になるので上空から観察しておこう。


「アイリーン、街中の様子を見てくるからここは任せていいか?」


「大丈夫、任せてくれていい。」


上空に飛び立ち町を覗くと大混乱だ。

きっちりと狼達は兵士ばかりを狙ってこちら側に追い込んでいる。


反対側の門には2匹が陣取り逃げてくるものを追い返している。

一般市民もいるようだが狼達が殺さずに適当にあしらい、門とは違う方角に追い回したりしている。


「あいつら頑張ってるな。何であいつらがあんなに賢いのに兵士どもが楽しそうに斬り合いしてるんだ。誘導はしてるみたいだが狼達だけでよかったんじゃないのか?あいつらはお仕置きが必要だな。それにしても流石に強いな。ミスリルの剣とはいえ剣や防具ごと斬りまくってないか?まぁ俺よりも武術の技術は上だからな。アイリーンも強いとはいえまだかなわないか。狼達を相手にしてもあいつらなら倒せそうだな。」


今回連れてきた兵士は精鋭だが潜伏しているのはその中でもヘンリル領で爵位を持つ騎士で強さは格段に上なのだ。

隊長は特に強い。狼達など中級モンスターなら1人でも難無く倒す。そのレベルの兵士は10名に満たないがヘンリル軍には在籍している。


爵位は男爵を授けている。

ドウガーイ王国とカント王国から多くの者が仕官してきた。平民や家を継ぐことの出来ない貴族の子供には普通はなかなか強さだけで貴族に成る事は出来ないのだ。

いくら強くても生まれた家のコネがなければ騎士にはなれないのだ。


誰でも貴族にできないのには理由もある。騎士にするのに紹介があれば紹介者が保証人になるからだ。


だがヘンリル軍は能力だけで判断される。それを聞きつけた腕に自信がある猛者が集まったのだ。


戦闘狂が多いのが今後の問題だな。


上空から監視していると門を挟んで撤退軍と治安維持軍の戦闘が始まっていたが遠距離攻撃を主体にしている撤退軍が有利だ。魔術の打ち合いも始まっている。


「あっ、後ろにあいつらが…ああそんなに殺したら訓練になんないだろ。もうすぐ終わりだな。」



「今回は良くやった。朝までに全て終わった。今から死体を処分して装備の押収をしろ。それと、町長などの文官を制圧をする。役所の制圧は薔薇騎士団に任せる。それと今回の一番の反省点は隊長以下潜伏部隊が楽しみすぎたことだ。罰としてお前らは穴掘りを専属でやれ。以上、昼までに撤退開始出来るように迅速に頼む。」


こうして深夜の狼達の夜襲は僅かなけが人しか出さずに日の出までに完了した。

やはり狼は戦力として有効だった。

兵士も良い動きをしていたので心配はなさそうだ。


薔薇騎士団が町役場を制圧したので町に向うとちょうど地平線が明るくなり始めてきていた。



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