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53 第2鬼兵旅団

小麦の緊急輸出を開始した頃、ヘンリル領内では問題が続出していた。


「ペルセ様、問題が発生しています。早急に手を打たなければなりません。」


「ああ、分かっている。労働力と輸送力の不足だな。」


「いえ、それだけではありません。労働者は順調に集まってきているのですがそれに対応するための住居と職業斡旋が間に合っていません。魔車の不足も深刻です。それと物価の上昇が止まりません。ヘンリル領では領外へ輸出する物資の方が圧倒的に多いので資金が集まりすぎています。王国内では貨幣不足になりつつあります。」


色々とやっていると問題も出てくる。

インフレになりってしまっているが金融政策が打てるほどのシステムが作れていない。

増税をして通貨流通量を減らす事も出来るが領民からの批判を受ける事は避けたい。


「魔車は魔獣が足りないのか?御者が足りないのか?魔車自体が足りないのか?」


「御者はすぐに確保できますが、それ以外が足りません。それと石材と木材が不足しております。」


「分かった。スケルトンに魔車を製造させよう。住宅用の木材も増やせばとりあえず住居問題は解決するな?それと余っている金は街道整備に使え。街道に頑丈な石橋を建設して川で交通が滞る事が無いようにしたい。街道も橋を建設して最短の街道を整備しろ。これまでの街道は非効率だ。全てドウガーイ国内の貴族なんかに外注委託しろ。細かく区切って分担して発注して早期に終わらせるよう。」


「分かりました。街道整備は発注してみます。カントの周辺領主に依頼しても効率的だと思うのですがどうされますか?それとスケルトンは現在も不足しています。これ以上を大森林に派遣するとなると警備が手薄になります。」


「今はカントに資金を流したくない。いずれは新ヘンリル領の街道整備は発注しても良いがまだ早い。都市整備なども含めて計画だけ立てておいてくれ。スケルトンはもう数日で新たに倍増できるから10日もすれば生産ベースにのせられる。魔獣も俺が一気に育成させるから卵を可能な限り集めてくれ。場所は新ヘンリル領の大森林で行うから御者をよこしてくれ。職業斡旋は各ギルドに応援を要請して対応してくれ。他には問題は無いか?」


忙しい時に限って問題がどんどん出てくる。

同時並行で処理していかなければいけないのが辛い。


「問題は沢山有りますが大きな問題は以上です。それと軍ですが今年中に3万は確実に集まる見込みです。それ以上はどうされますか?」


軍人は金食い虫だがまかなう事は可能だ。軍の維持には人件費に設備や装備などざっくり見積もって1人金貨10枚必要だ。1万の兵だろ年間で金貨10万枚。初期費用が大きいので翌年からは多少維持費が減るとは言っても膨大な金額だ。


通常の貴族は町の警備兵を入れても数千の常備兵しかもっていない。あとは必要な時に領民から強制的に召集するのだ。貴族で3万の常備兵を持つのは王家と公爵家ぐらいだろう。


「集められるだけ集めて優秀なやつを選別しろ。向かないやつは別の職にすれば良い。選別も訓練もアルファーに任せておけばいい。薔薇騎士団や装備はどうだ?」


「女性兵士も多く集まっています。現在で2500名程集まってますが、あまり使えるとは思えません。武器は鹵獲したものを補修して使っておりますのでまだまだ大量に有ります。」


「全て何時でも使えるようにしておけ。前にスケルトン用に整備に回した武具は使えるな?少しでも質の高いものを用意して不要なものは警察やハンターに払い下げろ。」


「新たな骸骨軍用は全て準備できております。装備の件、畏まりました。」


こうして小麦の緊急輸出の中で俺はスケルトンを増産する事にした。


「神核起動」


神核


保有魔力 100523647


オリジナルスキル

鬼兵旅団 Lv3


スキル

剣術 Lv3 四元魔術 Lv3 回復魔術 Lv2 無詠唱 Lv3 魔力感知 Lv2 魔力循環 Lv3

魔闘気Lv2 痛覚耐性 Lv2 飛行


ついに鬼兵旅団を拡張できる魔力1億が貯まった。

自分で貯めた訳ではなく大森林で24時間休み無く働くスケルトン達のお陰であるが。


新たにスケルトンを増やす拠点は新ヘンリル領の大森林が全てにおいて有効なのだが、唯一の欠点が居城から遠いことである。


飛行で向かったとしても全ての拠点を巡回すると2時間はかかってしまう。


単にスケルトンやスケルトンウォーリアを召喚するだけなら簡単なのだが、今回は戦闘ジェネラルの量産を計画しているので大量の召喚と合成進化を繰り返してしなければならない。


兵数制限があるので何度も行き来しなければならないのだ。


「どれだけ出来るかはわからないけどやるしかないか。新領地に五カ所の基地を作って生産も同時に行うしかないな。」


こうしてチャーリー大隊にあらかじめ大量のモンスターの骨を用意させた場所に向かい、初日はスケルトンを召喚しまくった。


三日後にまた基地に向かいスケルトンをウォーリアに合成進化して新しいスケルトンを召喚する。


ウォーリアがたまれば戦闘ジェネラルに合成進化するの繰り返しである。


五カ所の基地でそれぞれ初めに合成進化した指揮ジェネラルをデルタ、エコー、フォックス、ゴルフ、ホテルと名付けてモンスターの狩猟、大森林の素材集め、木材の加工、召喚の順番など様々な事を任せた。


俺がやるよりも遥かに効率的できちんとしているからだ。荷運び用の魔車を造らせて早期にあらゆる商品の生産も開始してくれた。


毎朝、散歩がてらに基地を回り指示や合成進化をするのがこの夏の日課になった。


どんどん溜まる魔力でランタートルも量産して輸送力もかなり増やせた。


ランタートルと同時にスライムのタマゴも魔力を与えているが未だに孵化しない。


合成進化にも魔力を使うのであまり大量には与えていないが累計の魔力量は相当に多いはずなのだが。



新領都の城の建設現場を視察に来ていた。


「なぁ、これはいったい何を作っているんだ?」


エルフの建築家とドワーフの現場監督に質問をぶつける。


「閣下にお教えしていただいた事を参考に計画をたてました。まずは元の城を中心にして左右に増築をして凹のような形に回廊を作ります。城の周りには☆型の様な城壁を作ります。殺し間という発想は有りませんでしたが説明されればなんとも有効な防御陣形です。」


「そうだろうな。で、周りは何を掘ってる?まさか堀か?」


「はい。流石にこの規模を水魔法で満たすことは不可能なので現在一番近い川から水路を建設して水を引き込む設備も建設しております。城の地下もドワーフの協力で三層に増築してます。その他の仕掛けも盛りだくさんでよ。投石機やバリスタも配置しますので間違いなく最強の守備力と最高の居住性を兼ね備えた城が出来ます。閣下のご希望された噴水や浴場も現在制作しております。」


「それは結構な事だがこんな計画だったか?面積がかなりでかくなってないか?住民の立ち退きとか無茶してないか?完成するのかそもそも?」


「閣下より任させましたのだ最高傑作をお作りする所存です。住民は大変協力的で多くの者が建設作業に従事しているくらいです。恐らくは帝国を含めても最高の城になるはずです。」


「…」


いや、任せるとは言ったよ。


ドイツのノイシュバンシュタイン城で見た尖塔や彫刻の話をしたよ。


姫路城や熊本城、五稜郭の構造や迎撃の仕掛けを教えたよ。


ベルサイユ宮殿の回廊やバチカンの大聖堂の荘厳さを話したよ。


アルハンブラ宮殿のフェネラリーフェの噴水をほめたよ。


お堀や中世の城塞の形を書いたりしたよ。


こんな城があった。こんな宮殿は素晴らしい。こんな仕組みが有効だと説明した。


でもそれは酔っ払って食事がてらに話した単なる旅行話だぞ!


何で全部をバージョンアップしてやろうとしてんのよ?


「完成はいつ?」


「分かりかねますな~。まだまだ建設中ですし建設が終わっても内装など合わせますと50年はかかるのではないですか?」


「はっ?なに言ってんの?」


「いえ、どんどんとやりたい事が増えてますのでもっとかかりますよ。儂等ドワーフに任せていただいた地下宮殿や城壁、城塞は完璧に仕上げさせてもらいます。それと腕のいい彫刻職人を多数集めてますので外装もお任せ下さい。」


なんだかサクラダファミリアのような壮大な計画になっていた。


地下宮殿って初耳だけどドワーフはなにを造るつもり?

地下シェルターが宮殿になったのか?


「住民が困らないようにだけはしてくれ。必要ならスケルトンもかすからな。」


「労働力はどれだけあっても困ることは有りませんので、是非お願いします。」


かくして新たな鬼兵旅団は土木作業員として活動する事になった。


ジェネラルの合成進化に支障をきたさない範囲であちこちで活動してくれた。ちなみにこういった作業はスキルの影響でジェネラルはできずウォーリアが活躍するのだ。


強さだけ求めるなら可能な限り戦闘ジェネラルを増やした方が有利だが、適度な比率にしておかないと有事の際以外は無能の軍になってしまうのだ。


ジェネラルは専らヘンリル領軍の兵士の訓練の相手をするのが仕事だ。



「ライラ、新しい城の話は聞いているか?視察に行ったら凄いことになっていたけど予算や経済に影響は無いのか?」


「とても立派な城になると聞いております。ペルセ様の居城ですので威厳のある城でなければなりません。予算含めて問題は一切ありません。あのお話に聞いたようなお城に住めるなど夢のようです。楽しみですね~!」


ライラも一枚噛んでるなこれは。もしかすると主犯はライラかもしれないな。


「完成まで50年かかるらしいけど…」


「エルフの50年なんてあっという間ですよ?」


さも不思議そうな様子で首を傾げるが、人間とエルフの時間感覚の差を改めて実感したよ。


「…そうだね。」


これが精一杯の返事なんだよ。

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