表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

52/81

52 小麦相場の崩壊

カント王国では小麦の取引でにぎわってたがそれはあくまでもカント王国内での話であった。

国内にはアース商会が賠償の小麦を流したので特に値上がりはなかった。

それと国内の価格を維持するためか、それともこの利益をヘンリル領で独占させる為か真意は分からないが王子が関税をヘンリル領経由のみの引き下げに限定したのだ。


王子個人の考えなのか、国王の考えなのかは分からないが王国は完全には俺を信用していないとも言える。

価格は維持すると断言したが関税なしに倍値で売れる場所が目の前にあって商人が動かないはずが無いから国内の混乱を心配したのだろう。


当初計画ではドウガーイ王国の商人が輸出する事で価格を引き下げ、ヘンリル領産の上質な小麦を国内に供給したかった。こうすればヘンリル領の利益だけでなく多くの領主や商人が利益を得られると考えていたからだ。上質な小麦も利益も国内に還元して少しでも国力を上げる計画だったのに利益は全て手元に入ってきてしまった。


カント王国は買い占めや賠償があったから高騰したが、そもそも小麦不足は深刻ではなかった。だからこそ通常価格に戻すことが出来たからこその今回の利益になったと思う。


「王国はもしかしたらこの計画が失敗してヘンリル領の力を落としたかったのかもしれないな…一歩間違えたら信用売りは天井が無いしかなりレバレッジかけたから赤字じゃすまなかったわ。何とか成って本当によかったわ。」


結果としては領内の小麦が高値で捌けて大儲けだ。

潰れた商会は大小様々であったが大商会の5つに統合して全ての経営権を手に入れる事にした。


今回は経営権のみ奪い従業員などはそのまま雇用した。再編にはクローニが協力を申し出てくれたのでお願いした。ヘンリル辺境伯がバックにいると知れば抵抗などできる者はいなかった。


しかし、貴族はなかなかにしぶとい!

ごねるので俺が直接引導を渡しに行くことにした。



「辺境伯閣下、わざわざご足労頂きまして恐縮です。ここの子爵はなかなかに強情でしてどうにもならないものですから。」


ヘンリル領とカント王国の王都の中間に存在するとある子爵の屋敷前に来ていた。他国の領土に入る事は通常は出来ないが小麦の緊急輸出の監督及び駐留軍の派兵地選定を理由にして入国権と外交特権を取得していたのだ。

子爵の屋敷にしては立派な建物に入っていく。


「はじめまして、ドウガーイ王国のペルセ・アース・ヘンリル辺境伯の申します。本日はアース商会の小麦の未払い代金の支払いと保有債権の返済について話をしに来ました。子爵、私どもへお支払いいただけますね?」


「辺境伯閣下がおみえになられても無い物は払えぬ。そもそも儲け話ではめたのはそちらでしょう。そんなもの払う必要など無い。全て無効だ!」


「なるほどな、この馬鹿はお前達では手に負えんな。子爵、この不始末はお前の寄り親の侯爵に持ち込ませてもらう。侯爵も支払いは出来ないとは思うがな。その際は侯爵を含めて国王に持ち込ませてもらう。それで良いな?」


「待ってくれ、それは困る。侯爵様にご迷惑をお掛けするばかりか国王陛下など論外だ。頼む許してくれ。そんな事をされたら当家はお終いだ。なんでもする。必ず支払うから待って欲しい。」


「それは出来ないな。する理由も無い。貴様がどうなろうと関係ない。無能な貴様が作った借金を俺に肩代わりしろというのか?馬鹿も休み休みにしろ。お前で始末をつけて、これからも貴族でいたいのなら資産の差し押さえをする。嫌なら国王だな。どうする?」


小さく頷き


「私は貴族だ。」


「じゃあ作業に入ろう。ここにある全ても物を鑑定して価値のあるものを差し押さえろ。子爵の家族は全て連れて来い。子爵、権利書を今すぐここに持ってこい。全てだぞ。」


子爵が厳重に閉じられた金庫を開き金銭、貴金属、権利書を出してきた。

部屋には子爵家の者達が集められた。


「妻は3人に子供が男5人で全員結婚しており長男の妻も3人、他は妻1人。娘はほとんどが嫁に出ており未婚の娘が二人。孫が男12人の女23人です。隠居された先代はこちらにはおりません。屋敷にいるのは以上でした。」


「子供が多くて結構なことだな。権利書は金山以外たいした物はないな。妻が3人いても愛人が4人もいるのか。屋敷まで用意してりゃ金も足りないわな。貴族ってこんなものか?」


「閣下も沢山いるのでは?平均的だとは思いますよ。愛人は放り出して屋敷を押さえます。こいつらはどうします。それなりの商品になりますよ。」


「子爵の妻はなかなか美人だな。でも娘はマイイチだな。孫はそこそこなのもいるけど、どうしてこんなに沢山いるんだ。いい歳だろうに嫁に出さないのか?」


「家督を継いで世代が代わってから嫁ぎに行くのでしょう。ほとんどが処女のはずですよ。」


「子爵、お前の資産では全然足りないな。妻は1人、長男とその妻1人、長男の子供は男2人と娘1人残して全て奴隷にする。いいな。選ばせてやるからさっさと決めろ。それと子供と孫、お前らにも選択肢をやろう。男は奴隷になって俺の部下として働けば今よりもいい生活ができるぞ。嫌なら奴隷として売却だ。功績を挙げれば貴族にも成れる。仕事は開拓地の村長、役人、軍人それ以外にも回復魔術が使えれば医師でもいいし、商人でも構わない。女は未婚の部下も多くてな妻になるか娼婦になるかだ。娼婦といって俺の経営する店なので心配は要らない。見た目が良い者は高級娼館で働けるので客は貴族や大商人だけだし、お前らが憧れるような場所で生活できるぞ。大貴族の妾のチャンスもある。」


孫の娘の1人が質問をする。


「辺境伯閣下の妻や妾は駄目でしょうか?」


「うれしい申し出だが無理だな。妻にするには親が悪いし、妾を増やすと妻に怒られてしまうからな。アイリーン王女以上の美人なら俺も頑張るがな…」


「そうですか。部下の方は貴族なのですか?」


「貴族出身者が多いが半分ほどだな。身分で役職や俸禄が決まるわけではないから。貴族以外もオススメするぞ。で、どうする?まぁここで決める必要も無いしヘンリル領に着くまでに決めてくれ。」


子爵と長男そしてその正妻と孫3人が選ばれ従者の住む別棟の部屋へと移らせた。

子爵の屋敷自体はヘンリル領軍の駐屯本部として使う事にした。

全て計画通りである。地の利がある場所も確保できた。


「子爵と息子はどんどん子供を増やせよ。ちゃんと買い取ってやる。それとここにはわが領の軍が駐屯するからよろしく頼むぞ。そんなに暗い顔をするなよ、いつかはいいこともあるさ。」


この数日後に子爵は自害して長男が家督を継いだ。

長男は貧乏くじを引いたがそれ以外はこの後の人生は割りと幸福であった。


次男は軍人になり隊長格に昇格して子爵領の駐屯地にわざわざやってきたそうだ。今まで何かあった場合の予備としてしかみられていなかったので長男からの扱いが酷かったそうで、当て付けの様に子爵領で俺の騎士として優雅に暮らしたそうだ。隊長格は騎士として貴族になり報酬もとてもいいのだ。


意外にも美人の孫の2人は高級娼婦を希望した。そしてもれなく大貴族の妾として身請けされた。身請けの代金は子爵の借金を大きく減らせる額だが残念ながら減る事はない。ある意味で一番の成功者かもしれない。美人とはどこの世界でも得するものだ。


この一番のターゲットとしていてた子爵を嵌めて金山を含めて全てを手に入れた。

その後も各地のごねる貴族や商会に取り立てに出向いた。



取立てや精算が終わったのは秋の終わりだった。


「クローニ、ほとんどが片付いたぞ。勉強になったか?あんまりならないと思うけど。」


「いえ、大変勉強になりました。このような事が可能だとは思いませんでした。」


「それは良かった。でもこれからが本番ともいえる。手に入れた商会を成長させてカント王国を強化しないといけないからな。ここまで荒らしてカント王国が介入して来ない理由が分かるか?」


「いえ、その点は私も不思議でした。何故ですか?」


「貴族も商会もまともなとこじゃないからだよ。今回は能力の無い貴族や商会でもでかくなり過ぎていきずまっている所や悪徳なところや跡継ぎがいない所とか何かしらの訳有りだ。全てではないがな。カント王国としても切り捨ててもいい部類を俺が手中にすれば損は無いと考えたのだろう。今回の戦争もそもそもが腑に落ちん事が多い。おそらくは帝国からの圧力や仕掛けがあったんだと思う。国王と王弟の不仲や国内貴族の派閥争いに目を着けたんじゃないかと思う。カント国王も俺と同じで帝国に危機感を持っているのであろう。アイリーンが送られて来たのがその証拠だ。そこで、俺は領地の強化と戦力の拡充に時間を使いたい。それで、俺に買われないか?」


「そこまで考えていたのですか。どうして私をです?何をしろと?」


「カントの再編した5つの商会をまとめる総帥だ。勉強になることも多いんじゃないか?ドウガーイとカント両国を経済的に強化して欲しい。どうだ頼めるか?」


「それはなんとも重大な役目ですね。大変面白い。やはり貴方についていくのが一番良い。喜んで引き受けましょう。」


「これからが本番で大変な時期だがしっかりと頼む。バカ貴族の領地運営も頼むぞ。経営指南も業務の1つだからな。それとこれを渡しておく、爵位は邪魔だろうからな。抜いてみろ。」


「頂戴します。失礼して…これは!真の伝家の宝刀ですな。ありがたく頂戴しますが抜く事が無いように精進いたします。」


ミスリルの短剣には俺の家紋と旗印が装飾され、刀身には


”ペルセ・アース・ヘンリルの魂を宿す”


と刻まれているのだ。

全権委任した証となる短剣なのだ。


これで強化を始めた鬼兵旅団の拡充と新兵器の開発に集中ができる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ