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50 チャペル挙式

春が訪れて新たな年が始まった。気温の上昇と共に人と物の行き来も活性化している。

領内に特に増加しているのはビーストとドワーフだ。エルフが多くの地域を支配しておりどうしても冷遇される者が多いのが現実である。

逆にヘンリル領は平等を約束して、やる気と技術を持つもの優遇している。

別にエルフを排除しているわけではないが少しでも良い生活を夢見る貧しい者の方が行動が早い傾向にある。


開拓している平野はビーストが半数以上の村がいくつも新たに作られた。この世界の農業は灌漑設備は無く水魔術で育てるので魔力の高いエルフは必要不可欠なのだがビーストでも数さえいれば賄えない事は無かった。それに鬼兵旅団のゴーストも協力させている。各村に1体置いておくだけでもかなりの成果をあげる事が出来た。


灌漑設備ではなく魔術に頼るのには農作物の出来にかかわってくる。魔力を含んだ水で育てると作物の方が生育時間が早く、味・サイズが良くなり、天候に左右されにくいなど圧倒的にメリットが多い。ヘンリル領では魔力たっぷりの土を使用してさらに高品質の農作物を生産していた。


穀物に限らず綿花や麻などの製品作物、野菜、果樹も増やしており国中にアース商会や領内の商会が出荷した。結果、ヘンリル領産の商品を買い付けに来る商人が急増していた。作物の生産は日を追うごとに増産している。

小麦は従来、年2回の収穫を3回に増やす事が出来た。現在も新作物の発見と品種改良を進めている。


人が増えると宿屋が増える。飯屋が増える。大工が増える。商人が増える。


風が吹けば桶屋が儲かる。


俺が領主になり新しい政策や事業を進めることで予想もしていなかったようなところまで色々影響が出ていたのだ。もちろん悪い影響も出た。治安の悪化だ。

警察組織を立ち上げ統制の取れた指示系統で活動している。

事件が起これば領主特例の捜査権を使い調べて犯人を捕まえた。


これまでは基本は現行犯の取締りのみ。犯人を裁きたければ被害者が調べ自分で捕まえて引き渡すというのがルールだった。そんなもの誰が捕まえれるんだと思い警察を作ったのだ。


それに加えて領内のずべてのギャングを支配化に入れている。

ある程度は必要悪で有るとして管理をしながら活動させている。

秘密警察や情報屋の協力もあり表と裏両方から治安維持をしているため安心して暮らせる環境になった。


ヘンリル軍への入隊希望者も続々と集まってきていた。これまでの戦果や名声、高い給料と恵まれた労働条件なのだ。

そして他の軍ではありえない事もしていた。女性兵の採用だ。

軍には魔術師や事務職以外に女性は存在しないのがこの国だけでなく周辺国でも常識になっていた。

男だけでは人数の確保が難しいのも女性募集のきっかけではあるのだが、もう1つ要因があった。


身近に最強クラスともいえる兵士が見つかったのだ。

冬の間も様々な仕事をしていた。俺は領地関係をライラがアース商会関係をしていた。

その際にアイリーンがよく付いて回ったのだ。特に何かをする訳ではなく1人でやる事も無く俺以外には誰も相手に出来ない所為もあり退屈していたからだ。

見た目だけでなく頭も良いのであっという間に学習していたが対人関係が絶望的なので何かを任せる事は出来なかった。


ある日、俺がたまにする剣術の稽古にも付いてきた。試しにやってみたいというので軽いミスリルのレイピアで使い方を教えてみた。そうしたら瞬く間に使いこなして最終的には剣舞をしていた。


神の御業かと思えるような神々しく綺麗に剣を振るのだ。

すぐに場内警備を任せていたアルファーを呼び兵士としての力量を検証したところ兵士の領域を超えているそうだ。戦闘ジェネラルが相手でも鍛えれば勝つ事が出来るのでは無いかとの事だった。


事実、それからアイリーンは毎日のようにアルフャーのところに通い訓練をした。

一対一で戦闘ジェネラルを負かすのに半月だった。アルファーから軍隊の指揮も学んだそうだ。


「アイリーンは武術が好きなのかい?毎日訓練しているようだけど。」


「はい、骸骨さんは私に遠慮する事なく接してくれるので楽しいです。剣術も槍術も体術も教えてくれました。私は結構強いのだそうです。最近は軍隊というものの動かし方も習いました。」


結構どころじゃなくて俺も簡単に殺されるレベルになりそうじゃないか。


「そうなんだ。じゅあ、軍隊持ってみる?」


「えっ?私がですか?兵隊さんとちゃんとやっていけるかわからないし、男性ばかりいるところは嫌です。ペルセ様とご一緒がいいです。」


「軍は男ばかりだからな…女性兵士も募集しているから女だけの部隊を作ってみるか。指揮権は別としても旗印としては最高だからな。そうしよう。」


俺と一緒の時は天然ちゃんだがそれ以外は近づきがたいオーラできちんとしている。

実戦に投入しなくても利用価値はたくさんあるだろう。

そして大々的に募集をしたのだ。


そうこうばたばたしているうちにいよいよヘンリル領での結婚式が行われる日が来た。

聖都市キュリエにあるキュリエリス教の教会の大聖堂にはドウガーイ王国の王子をはじめとした貴族に商人や幹部の部下、カント王国からの来賓など招待客が大勢参列していた。


教会の祭壇前で待つ俺のところ純白のウエディングドレスを身に纏った4人の新婦がバージンロードを歩いてくる。それぞれに意匠を凝らした美しいドレスだ。


司教から祝福を受け、一人ひとりにアダマンタイトで作った指輪をはめて誓いのキスをする。

俺にはライラがオリハルコン製の指輪をはめてくれた。

数人の来賓から祝辞を受け、俺も挨拶もして式は終わった。


その後は町全体を会場とした披露宴のようなお祭りの開催だ。


屋根の無い魔車で街中をパレードして屋敷でパーティーだ。

コック達と研究した地球の料理を提供して珍しさと美味しさで客から歓喜が起こっていた。


最大の目玉は高価な砂糖を大量に使った特大のウエディングケーキである。客が多いので1つではなくたくさんのケーキを焼いたのだがあまりの美味しさに感動が生まれていた。


「ペルセ様、本日はお招きいただきありがとうぞざいます。妹の素晴らしい結婚式に感動いたしました。私の結婚の際もあのような式がしたかった。子供達の結婚の際には是非ともご協力いただきたい。それにしても珍しい料理ですな。でも、非常に美味しくて感動しております。特にケーキという物は素晴らしいですね。甘さと果物の酸味に滑らかなクリームが絶妙な融合をしていてもう忘れる事が出来ません。ペルセ様はいつもあのような食事を?」


「はい、コック達と私が秘密裏に研究しております。ライラには働けと怒られてしまうので休みにこっそりと。」


「ははは、ライラなら言いそうでね。それにしても本当に幸せそうで何よりです。正直申しますと国王陛下が生贄のようにライラを嫁がせた時は怒りを感じていました。しかし、今では心から祝福できます。これからも頼みます。ライラもこの国も。」


「ありがとうございます。王子そこで1つお願いがあるのですが後でお時間をいただけないでしょうか?」


「もちろん構いませんよ。ペルセ様が行われえる事であれば協力は惜しみません。春になり賠償金が届き王国として貴族や兵士にやっと満足の行く褒美を出す事が出来ます。国庫も厳しかったので国王陛下も宰相も安堵しているでしょうから。むこう10年はペルセ様に獲得していただいたも同然の資金が入ってきますので協力は惜しみませんよ。」


こうして盛り上がった結婚式は盛況のうちに終わった。

結婚式の経済効果は大きく提供した料理を扱う店が増え、結婚指輪を商品化して売り出した。

教会で結婚式を挙げてケーキを振舞うという新たな文化も出来た。


服飾関係も花嫁達の着用したウエディングドレスを参考にした事業で好景気に沸いていた。俺が色々なデザインを話すので食を服のトレンドを牽引する流行の発信地となっていった。


ちなみに結婚指輪は同じデザインでミスリル製を18個作って妾全員に贈った。シキの指にははめてやる事が出来ないので墓石にそっと供えた。


結婚式の後には産まれたばかりのナツの子供が祝福を受けた。

俺から引き継いだ膨大な魔力を持った兎獣人の可愛い女の子だった。いつか正妻の子供達の護衛が出来るようにしっかりと訓練をすると言っていた。


失われる命もあれば、新たに生まれる命もある。

赤ちゃんを抱き上げた瞬間に命と父親の責任の重さを感じた。


嬉し泣きというのは悪くない…


50話まで続ける事が出来ました。これからも継続できるように頑張りますので、応援よろしくお願いします。

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