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48 雪の夜に

領地に戻ってから精力的に働いた。

毎日朝から晩まで働いた。


「もう限界だわ。休日をつくる。ヘンリル領全体でだ。体を壊すわこんな生活は。」


「ペルセ様、なにを仰ってるんですか?貴族に休みは有りませんよ!」


「そんな訳有るか!女将のとこに来ている奴らはなんだ?ほとんどが貴族だろ?俺も休む!連休で休む。有給だ!」


「また、訳の分からないことを…ライラ様を見習われたらどうですか?最近は休み、休みと。休んで何をされるのです?ハロルゼにも行かれてるではないですか?」


「5日働いたら1日休み。年間で十日は好きな日に休み。夏には連続で十日間休み。はい、コレ決定!領主命令だ!すぐに法律化して。」


と強制的に休みという制度を作った。警察や軍など全員が同時に休めない職種は交代制にした。二週間も無休で働いたがそれ以上は無理だった。


領内に休日制度はあっという間に普及していき、とても好評だった。ただ、休みに何をするかという問題が実際に発生した。家でのんびりと過ごす、以外にやることがないとそれはそれで不満が出た。


この国には娯楽と言うものが無いのだ。娯楽を提供するのは意外に難しい。個人的には旅行が趣味であったので旅行会社を作ってみたがいまいち。

あれこれやったが人気になったのはスポーツとゲームと音楽だ。


ゴムボールが無いのでビリヤードやボーリングなど硬い玉で行える競技やダーツが人気になった。

ジェンガにオセロ、トランプを販売したところ馬鹿売れだった。


休日に開かれる野外コンサートは領専属の楽団や酒場で演奏している者達が出演して披露したところ大勢の人を集めた。新領都の建設計画に劇場建設まで盛り込まれた。


そんな休みの日にライラとのんびりと過ごしていた。


「だいぶ寒くなったねライラ。もうすぐカントの王女が来る予定だけれど、どんな人物か知っているかい?」


「そうでしたね、もうすぐ到着ですね…」


「なんだか嫌そうだね。困った人物なのかい?」


「私は困りますね。なんといってもカント王国一番の絶世の美女と噂ですから。私は相手にしてもらえなくなります。」


初耳だ。到着の先触れが来るまで忘れてたし。

でも、少し楽しみだなそれは。


「そんなことないよ。ライラも可愛いから。」


「前にも言いましたが貴族は顔に出してはダメですよ!そんなにうれしそうな顔して…はぁ。」


やべっ!

そんなに顔にでたか?

機嫌をとらねば。


「牧場から乳と卵が来てるから、またプリンを食べようか。」


「物ではつられませんよ。それに貴族が料理などもってのほかです!コック達と作られたという料理研究会は即時解散です。」


「いや、それは…今後のヘンリル領の発展のために必要な仕事で。つぶすのは勘弁してください。」


「麦を炊いて食べるのも禁止です。あれは家畜の食べ物ですし、上に変なものまで乗せて木の棒でかきこむように食べるなど野蛮です。」


色々な植物や野菜を大森林から採取して研究・品種改良・商品化を計画して研究農場を作った。米が食べたかったからなのだがいまだに発見できていない。しかし、家畜やモンスターの牧場を視察した際に大麦を発見したのだ。正確には近い穀物と言えるが、飼料やエールの原料として扱われ食料としては流通していなかった。日本の麦飯に近いのではないかと思い、もらって来てコックに頼んで調理してもらった。そのままでは厳しいがシチューをかければハヤシライスに近いものが出来た。小学校の給食を思い出しながら一気に食べてしまった。


それから日本食の復元をコック達と秘密裏に行っていたのだがライラには全てばれていたようだ。


「殺生な…故郷の伝統料理なんだよ。たまにだけ許してくれ。」


「しょうがないですね。そんなに悲しそうにされたらダメと言えないじゃないですか。貴族なんだから…」


「貴族の前に家族だろ。そうだライラ、次の休みに一緒に出かけよう。連れていきたい秘密の場所があるんだ。」


「本当ですか?ご一緒させてもらいます。楽しみですね。」


実は案外ちょろいライラ。



ライラを抱きかかえて魔闘気全開の高速飛行で雪のちらつく空を突き進む。ライラには俺のローブを着せているので寒さは大丈夫だろうが、俺は寒冷地仕様の特製装備をつけているがとてつもなく寒い。


「ライラ大丈夫かい?もうすぐ着くからね。」


「はい、大丈夫です。空を飛ぶなんて初めてで少し恐いですが一緒なので。それにしてもすごい速度ですね。」


たまに話をしながら飛びやっと目的地に到着して着地をする。

いくつかある木造の建物の1つの扉を開く。中に入ると暖かい空気に包まれる。


「エルいるか?」


装備を脱ぎながら声をかけると奥から声が聞こえる。


「はい、ペルセ様お帰りなさいませ。あら今日はお連れ様も一緒ですか?」


「ああ、エルに紹介したくてね。大丈夫かい?」


エルは基本的に他人と関わることを俺のためにも避けているのだ。


「ここはペルセ様の家ですのでどなたを連れてこられても歓迎いたします。そちらのお嬢さんは?」


ライラを紹介しようと思ったら固まっていた。そうだよね、エルフの美的感覚だとブスなんだものね。


「ライラ、彼女は俺の最初の愛人のエル。エル、俺の正妻のライラだ。第一婦人で王女だ。」


「えぇー、王女様ですか。失礼いたしました。」


エルはすぐに跪いて礼をしめす。


「おたちください。私はペルセ様の妻のライラと申します。ペルセ様の愛人である貴方も私の家族です。普通にしてください。ペルセ様、エルさんを紹介したのはアイリーン王女の件でですね。あれは冗談でしたのに。それにしても一体どういうことなのですか?」


「座って話そう。エル、温かいものをもらえるか。」


スケルトンが作成したテーブルを囲み椅子に腰を掛ける。


「エルの容姿はどうだい?綺麗かな?君の感想は言わなくても俺もエルも分かっている。彼女はどんなに頑張っても見た目の所為で職にもつけず、残飯をあさり、ゴミとして扱われていた。奴隷商のところで最下級の商品以下として働いているところを俺が拾ったんだよ。とても一生懸命に働いていたからね。」


「そうだったのですね。苦労されたのですね。」


「でも今はとても幸せです。ペルセ様は私を女として見てくれます。とても優しくしてくれます。そして、深く愛してくれます。これ以上の幸せはありません。」


「ライラ、俺は見た目で判断しているわけではないんだよ。正確に言えば見た目も大切だがね。エルはエルフにどう見えるのかは知っているが、俺には絶世の美女に見えるんだよ。これは単なる価値観・美的感覚の違いだと思う。君が嫌悪することでも、俺には必要な事があることは理解して欲しい。同じようにしろとは言わない。ただ、そういうこともあるとだけ憶えておいて欲しい。」


「これまで失礼なことを申しました。心よりお詫びいたします。これからは妻として受け止めていきたいと思います。エルさん、これからもよろしくお願いします。」


それから和やかに食事をしたり話をしたりして過ごし領都に戻ることにした。


「今日はもう帰らないといけない時間だな、エルまた来る。」


「はい、お持ちしております。」


それから数日後にアイリーン王女が居城に到着した。


カント王国一の絶世の美女…確かに。もう芸術品の域に達しており、近づきがたいオーラに包まれていた。


「ライラ。想像以上だったよ。美人過ぎて夫婦は無理かも…」

「嫉妬した自分がどれだけ愚かだったか思い知らされました…私も暮らしていく自信が有りません」


ライラとひそひそと話しているとこちらに向ってきた。俺が話しかけなければいけないのに何と声を掛けていいのか分からない。カント国王め、仕返しをしてきたな。


「よくいらっしょいましたアイリーン王女様。私はペルセと申します。このような辺境の小さな居城ではご不快かと思いますが遠慮なくお過ごしください。では部下に部屋まで案内させます。」


誰も来ないから振り返ると全員首を横に振る。あごで指示しても全員完全拒否である。仕方ないか、なすりつけようとした俺が悪者だ。


「部下では失礼でしたね。どうぞこちらに。」


「ありがとうございます。私にそのような言葉遣いは不要ですよ。これから夫婦になるのですからアイリーンとお呼び下さい、ペルセ様。」


にっこりと微笑むが眩し過ぎて直視できない。引きつった笑顔を返したが、思わずライラの服を掴んでいた。美人芸能人にあった時のようにまともに行動できない。


部屋まで案内したが話が続かない。

今までで最強の相手だ。攻略方法がない。しかも何時でも付いて来るライラもいない。孤軍奮闘。アリ対ゾウだ。


「ペルセ様お伺いしてもよろしいですか。どうしてそのように緊張されていらっしゃるのですか?私はこれまで男性に全く相手にされませんでした。みなさんがペルセ様のような態度で私を避けるのです。何故なのか私には理解できないのです、夫婦になるのですからお教えいただけませんか。どんなことでも受け止める覚悟はもう出来ています。何十という男性から結婚を申し込まれても直接お会いすると全て断られてしまうのです。ペルセ様もお断りされるのでしょか?私の一体何が駄目なのでしょう、結婚も出来ないのですか私は。」


ああ、泣いてしまった。俺は顔に出やすいからな、特に女がらみは。

もうぶっちゃけてしまう方が活路があるかもしれない。


「正直に申し上げますね。美人過ぎるのです。美しい過ぎて引いてしまうので。金貨と銅貨では釣り合いが取れないのと同じです。貴方は絵画や彫刻のような芸術品のようで近づきがたいのですよ。」


ぶっちゃけてみました。


「そのような熱い告白を!私はブサイクなのではないのかと思っていました。親しい者どころか話をしてくれる者もこれまでほとんどいなかったので全く分からなかったのです。私は美人なのですか。初めて知りました。ペルセ様、美人なら妻にしてもらえますよね?妻ならお話してもらえますよね?色々なことを教えて下さい。誰も私に教えてくれる事がなかったのです。」


天然さんなのかな?かなり残念な子だわ。そう思ったらなんだか普通に出来そうだ。同情できないけど哀れに思うなこの子はこの子で。


「面白いな君は。うん、奥さんにしてあげるよ。美人さんだからたっぷり可愛がってあげるよ。何が教えて欲しいの?キスかな?それとも夫婦の営みかな?」


「本当ですか!可愛がって下さい。何でも教えて下さい。キスしたいです。今すぐしたいです。憧れてました。夫婦の営みというのは分かりませんが是非教えて下さい。」


「はははっ。これは傑作だな。本当に面白い。でも危ないな君は。いいかいアイリーン。君は俺以外の男性と触れ合ってはいけないよ。話も最小限にすること。守れないなら嫌いになるよ。」


「分かりました、必ず守ります。私を嫌いにならないでください。ずっと一緒にいたいのです。」


見た目と違い中身はまるで子供だ。ライラと真逆の存在だな。


「信じているよ。そして愛しているよ。こっちにおいで。」


話していることは子供だが行動は完璧なんだよな。すっと横に綺麗に腰掛ける。

右手の人差し指で額から髪を耳の後ろに掻き分けながら顎まで持ってくる。

左手を背中に回してそっと引き寄せる。


目の前に迫ってくる顔は恐ろしいまでに整っており神々しさを感じる。

小ぶりだがプクリと丸みを帯びた桜色の唇に唇を重ねる。

なんともいえない良い匂いが鼻に入ってくる。


数回重ねた唇にプレッシャーをかけながら重ねると柔らかい感触が伝わってくる。

何度も感触を確かめてから舌で唇をなぞる。そして少しずつ唇を開けていく。

僅かにあいたアイリーンの口に舌を微かに入れるとゆっくりと突き返してくる。


お互いの舌が口の中で絡まっては離れる。そしてまた絡まる。お互いの口を行き来したり、口の外で絡ませたりしていると軽く支えていた身体は密着している。右手を重ねて指と指を交互に絡ませあう。

お互いのあたたかい唾液が行き来して離れる事無く絡まりあった。


唇を離すとお互いの唇から唾液が艶かしく糸を引いた。

本気でヤバイ。めちゃくちゃうまいぞ。本当に初めてか?

歯止めが利かなくなりそうだ。我慢しなければと心を強く持とうとするが…目の前で頬を朱色に染めたアイリーンを見たら理性が吹っ飛びそうだった。なんとか一線を越える事無く耐え切った。


「どうだったかな初めてのキスは?」


「想像以上の快感でした。もう一回しても良いですか?」


素直なのはいいが俺が無理だ。


「続きはお預けだよ。まだ式もあげてないしね。」


部屋を出たあとライラを含めた婦人たちにうまくいきそうである事を報告して、初夜について確認をしたら今夜でも問題ないそうだ。あくまで教会での結婚式は領内へのお披露目であり公式な婚姻については関係ないのだそうだ。屋敷に迎え入れて俺が認めた段階で夫婦となるのだそうだ。


その日の夜に我慢できずに初夜を迎えることにした。初夜の見届け係りの前で行為を始めたが確かに処女だった。

監視が退席した後はお互いが貪る様に求め合った。最高の顔と身体で最高のテクニックと反応をしめす。教えたことをすぐに最高の技術でやってのける天性の才能がある。こちらが仕掛けると最高の感度でそそられる反応を示すのだ。力尽きたのは夜が明けようした頃だった。


窓の外には雪が積もっていた…

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