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43 深夜大戦

すぐに飛行用の装備に着替えて飛び立つ。

南北の城門は開かれ既に交戦状態に突入している。


閉ざされたままの東門を越えたところにも、待ち受けていたように傭兵と歩兵部隊が展開していた。


「全員死ねー!」


上空から全力のフレイムバーストを打ち放つ!

低空飛行で右手に黒魔竜刀を左手にはアダマンタイトの剣を構える。

高速で飛びながら左右の敵を切り裂いてく。第一目標は投石機だ。


投石機は全部で6機ある。魔術を放ち、敵を斬り裂きながら投石機に接近する。


「こんなもんまで持ち出しやがって!」


木製の投石機の1機を刀で土台から切り倒しそうとした瞬間だった。


バシャーン!


背中に衝撃が走った!

振り向くと太い槍が飛んできた!

刀をふり切り落とすが次々に飛んでくる。魔闘気を全開にしていなかったらヤバかった!


「バリスタまで用意してやがったか。矢まで打ちやがって鬱陶しい!」


きりがないので無視して投石機を切り倒した!

そして横で焼かれている鉄球を、逆刃に持った刀の背でフルスイングして打つ。


敵の集まっている場所や弓兵達に向けて有るだけ打ち込んだ。焼かれてない鉄球は砲丸投げの要領で放り投げてやった。


バリスタを壊して槍のようなボルトも残らず敵に向けて投げ放った!バリスタで放ったような速度で飛んでいったボルトは敵の体を破壊していく。臓器をばらまき、脳みそをぶちまけても簡単には止まらない。


遠距離攻撃部隊をあらかた蹴散らし敵軍の本隊に突入する。重装歩兵を鎧ごと切り裂いた瞬間に腹部を押されて後ろよろめく。ミスリルの槍で突かれた!


魔闘気のお陰で負傷はしないが相手の武器も簡単には壊れない!よろめいた瞬間に3人が一斉に切りかかってきた!右手に持った刀で首と腹部を狙った斬撃を刀を下に向け腕を使い防ぎ、左の敵には剣で突きを首に放つ!


受けた剣を弾き返して左右の剣で敵の首を斬る!

国軍の兵士は練度が高い!隙を見せるとすぐに攻撃してくる。


魔術も連発しながら敵を倒していく。しかし、全然進むことが出来ていない。

味方を巻き込むのもお構いなしに後ろから矢を放ってくる、斬られても掴みかかってくる。


流石に息が切れてくる。

上空に退避しても矢を放たれるので飛び回りながら魔術を放つ。


「数が多すぎだろう。くそっ!」


飛んでいても魔術をぶつけられる。少し作戦をかえてまずは指揮官を狙う事にした。


1人指揮官に飛びながら首めがけて斬りかかった。


ザサァー


斬りかかった攻撃を流されて、バランスを崩して地面に突っ込んだ。倒れたところに何本もの剣や槍が振り下ろされる。


単に防御しただけなら剣ごと斬ってやるのに、受け流された。泥まみれになり転がっているところに間髪入れずに突いてくるのだ。


刀と剣を振り回しても攻撃はやまない。横に転がりながら低い姿勢で踏み出し一部の兵士の足を斬り、包囲から逃れる。


立ち上がった先にはさっきの指揮官だ。


振り下ろされた剣を防ぐために刀と剣を交差させて防いだ、その瞬間に腹を蹴られて吹っ飛ぶ。体勢を無理やり立て直して周りにいた敵を斬り飛ばして指揮官に向かって飛びかかる。刀の間合いの少し手前から左手の剣を投げつけ、避けたところを両手に持った刀で斬る!

わずかに体をひねりかわそうとするが左足を切り落とした。しかし、片足なのに平然と立って剣を振り抜いてくる。


左手で剣を掴み喉に刀を刺た。


倒れた指揮官の横に落ちている剣を拾い上げ更に敵を斬っていく。


王国軍の大将を倒したのはもう明るくなってからだった。大将が倒されると敗走する兵が出てきたが南北の軍に合流しとうとするので住民を逃がしている南門の方へ逃げる敵を追撃した。


南門の周辺には兵士の死体だけでなく、多くの一般住民の死体が転がっていた。巻き込まれたのか、狙われたのかは分からない。


しかし、酷い惨状だ!

エルフの子供の亡骸を抱き上げ瞼を閉じて仰向けに寝かしてやる。まだ幼稚園児ぐらいの子供だ。


「こんな子供まで殺して…」


怒りも限界だ!戦争にもルールが有るだろう!

戦場を眺めているとブラボーが歩み寄ってきた。


「ペルセサマ、アルファー、チャーリーノブタイモホボセントウハシュウリョウシマシタ。ワレラノカチデス。ソウダイシャウハトラエマシタ。」


「そうか…ご苦労。被害状況は?」


「キヘイリョダンノミシカワカリマセンガジェネラルトスペクターハショウスウ。ウォーリアハハンスウホドデス。」


「城に辺境伯を連れてこい!」


街に戻ると火攻めの惨状が一目で分かる。まるで空爆を受けた戦場の町のようだ。倒壊した家屋に焼け落ちた商店など全体の半数近い建物が被害を受けている。スペクターが現在も水魔術で消火活動をしている。遠くから見る限り城は被害が少ない。何箇所か壁に穴があいている程度で済んでいた。


「城を開放して負傷者を集めて治療をしろ。全体の報告と住民の救助を最優先にしろ。最低限の警戒はしておけ。死体の処理は後回しだ。無事な住民にも協力させろ。」


城に戻り会議室に入る。メイドや使用人は全員無事だった。


「閣下、よくぞご無事で。着替えと湯浴みの用意をすぐにいたします。」


「このままでいい。負傷者を城に集めるから全員支度に回れ。水だけ頼む。」


「承知いたしました。」


しばらくすると隻腕をはじめとする副官や指揮官、指揮ジェネラルの3体が辺境伯を連行して集まった。


辺境伯はエルフなのに筋肉ムキムキのマッチョ体型であった。

手足を縛られ首にも縄をかけられて上半身裸の状態で連れてこられた。


席をたち近寄っていく。膝を突きうつむいている辺境伯の前でしゃがみ、髪を掴み引っ張り上げて正面から顔を見る。辺境伯の鼻あたりに死なない程度に頭突きをする。そのままエルフ特有の耳を掴み、力任せに引きちぎり床に捨てる。


顔は痛みで歪むが声はあげない。


「お前、やってくれたな。どれだけの数の住民が死んだと思っている。そもそも、全員殺すつもりだったな。それでも領主か。戦争だから兵士が死ぬのは仕事だ。でもな、なんの関係もない一般市民を巻き込むんじゃね。」


拳で殴ると殺してしまうので平手で何発も殴る。殴っても殴っても怒りが収まらない。隻腕に止められるまで殴った。そうすると辺境伯が初めてしゃべった。


「貴様に俺の覚悟なんか分からんだろ。どこに自分の領民を犠牲にしたい領主がいる。ここで貴様を殺さなければどんどん力をつけ、わが領だけではなく王国もそれ以外も誰も貴様を止められなくなる。国王も周辺の領主も苦渋の決断だが我が案に協力してくれた。実際に6万の兵に攻城兵器をかけ集め、30万の領民の犠牲をした決死の作戦でもたった1人を倒すことも出来ずに全滅だ。貴様が逆の立場ならどうした?俺を責められるのか?全ての元凶は貴様だろうがー!」


「言い訳するな。自分でやったことの責任はきっちり取らせるからな。そもそも、俺は戦争などしたくなかった。戦争を仕掛けてきたのはお前の国だろう。人の所為にするな。」


「殺したければ殺せ。どの道生きている価値はもう無いからな。」


「楽に死ねると思うなよ。アルファー、牢にぶち込んで拷問だ。殺すなよ。」


「カシコマリマシタ」


辺境伯が去った部屋で会議が開かれた。

ヘンリル軍の被害は概ね3500名。半分以上が犠牲になった。住民は概算で3万以上が死亡して負傷者は10万人近いようだ。すぐに回復魔術師を全員動員して治療を最優先に行う。全兵士とスケルトンで救出作業を行いながら、街中の瓦礫処理や死体処理をやらせる。


死体の数が膨大なために街の外に墓地を作ることにした。しかし、すぐに取り掛かることは出来ないので衛生管理のために最低限の死体の搬送のみにして落ち着いた段階で埋葬することになってた。

会議で復興作業の概略を決めて詳しいことは部下に任せた。


俺は集められた負傷兵や住民に片っ端から回復魔術をかけていく。血と泥まみれだったので服を全て脱ぎ、頭からウォーターで洗い流して治療にあたった。重傷者は救うことが出来なかったが、多くの者を助けることが出来た。


「閣下、たいしたお役にもたてなかったのに回復魔術を使ってもらいありがとうございます。」

「娘を助けてくださいありがとうございます。」


多くの兵士や住民を助けて感謝をされたが無念は晴れない。

辺境伯が言ったことを真に受けているわけではないが、こんなにも被害を出さずに済むことも出来たかもしれないと思うと死者に申し訳ない思いが溢れてくる。


しかし、起こってしまった事を巻き戻すことはできない。少しでも生き残った者の為に頑張るしかない。


スケルトン軍を再編してアルファーとブラボーの2大隊に編成してチャーリーは大森林に向わせ大隊を再編することにした。スケルトンの働きや住民の協力もあり一週間で死者の埋葬や街中の瓦礫の処理も終わった。建築家や大工などを集めて街の復興計画を作成していた。大幅な拡張計画も盛り込み旧市街は道幅を拡げ公園を造り、入り組んでいた道を整理して住みやすい街を計画した。


辺境伯による住民の虐殺やヘンリル伯の救援が瞬く間に噂になり領都民だけでなく周囲の町や避難していた住民など多くの協力で復興が始まった。ヘンリル領からの支援や多くの商会の売り込みもあり復興は加速していた。


ある程度落ち着いた段階で最後の都市をブラーボーに制圧させに行かせたが住民の抵抗はなく、すぐに占領して帰還した。辺境伯の家族や部下など関係者は全て逃亡した後だった。


周辺の領主宛に匿っていた場合には問答無用で滅ぼすことを強調して、逃亡したものを引き渡すように書状を送った。協力した場合には攻撃の対象から除外すると伝えた。一月もしないうちにあちこちから逃げた辺境伯関係者が連れてこられた。



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