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4 初戦闘

テントを捲くり上げ木の枝に乗せ、毛布を背嚢にくくり。背嚢を枝にひっかけて吊るしておく。

持っているのは財布に一食分の保存食に水筒と刀のみで身軽にする。

準備をしながら保存食を食べるが決して美味しくはない干し肉とドライフルーツである。


湖の水は透明度が非常に高く綺麗なため飲料は可能であろう.

食後に水筒に水を入れて一口飲んでみる。

飲めないようなら魔術で水を作りしかないが少しでも温存したい。


「大丈夫そうだな、満タンにして出発だ」



湖の周りをまずは歩いて探索する。注意深く周りを見ているとすぐに魔力循環が切れてしまうので何度も発動しなおしながら歩いていく。


大体20分ほど歩いたとき発動した魔力感知に反応があった。


「森のほうだな、恐いが行ってみるか」


身体能力やスキルなどからよほどのモンスターじゃなければ対応できると思うが未知との遭遇であり油断していると痛い目にあるだろう。気を引き締めて注意深く接近していく。

魔力感知を再度発動して位置を確認する。


「すぐそこだが、魔力は大きくないな。さあ何がいるのかな」


身をかがめて木に隠れながら近寄っていく。木の陰から覗くと


「ごぎゅ、ごぎゅ」


と言いながら歩く緑色のゴブリンだ。武装はしていない。棍棒は持っていないのかと疑問だったがあんなモンスターには作れないかと妙に納得した。

小学生ぐらいの小さな体だが眼球全体が黒く皺だらけの顔は不気味である。


「テンプレのゴブリンか。気持ち悪いが弱そうなので助かったが、弱いのは確定ではないしどうしようかな。」


5分ほど後をつけて行動観察をする。

尾行に気づくことはなく、偶に草や木の実を食べながらふらふらと歩くだけだ。


ゴブリンが草を食べようと立ち止まったので、周囲の安全を確認して大きく息を吸い込み吐き出した。


首を狙い一撃で切り落とそう。成功しても失敗してもとりあえず一撃離脱だ。しっかりと頭の中でシュミレーションをした。

静かに抜刀して一気に駆け寄り背後からゴブリンの首を一閃した。


すぐにバックステップしてその場を離脱する。


ゴブリンの首は見事に切れて頭部が地面に落ち、首から粘度の高い緑色の血を噴出しながら前方に倒れこんだ。


「よしやったぞ」


初めて生き物を直接殺したが嫌悪感は無い。性的なものに近い興奮が一気に高まる。

落ち着いて周囲を警戒しないと・・・と頭では理解してもなかなか興奮は収まらない。


しばらく周囲を警戒しながらゴブリンを観察する。ピクリとも動かない。

おそらく即死である。


警戒しながらもゴブリンに近づき体を数回蹴った。

反応は無い。

首を切り落としたのだから当然死んでいた。


神核を起動して戦闘前の保有魔力と比較してみたところ魔力が10増えている。

確証はなかったがモンスターを倒すと魔力を手にいてることができた。テンプレの経験値ではのがゲームではないところかな。


「初めてにしてはうまくいったかな。とりあえず安全なところまで死体を運んで、スケルトンの召喚を試すか。というかこれ運べるかな重そうだけど」


右手でゴブリンの足を掴み持ち上げて見たが、たいした重量は感じない。簡単に引きずって運ぶことが出来た。

やはりかなり身体能力は高くなっているようだ。魔力循環を解除しても運ぶのには支障ない。

拠点のテントの近くで血の臭いを出すのはまずいだろうから森に入った場所へと一旦戻り、森と湖の中間地点まで移動して実験をすることにした。


「ここならテントから距離もあるし見通しもいいから大丈夫だな。まずはこれで召喚できるかな。鬼兵旅団起動。スケルトン召喚。」


・・・・

・・・

・・


何も起こらない。


なぜだ?素材は骨だから死体ではダメなのか?それとも量が不足なのか?

もしくはモンスターの種類がダメなの?ゴブリンは弱すぎたからか?

もしかしたらエルフやドワーフを使わないといけないのか?


複数の疑問が出てくるが実験できる事から試していこう。


「とりあえず解体とかはしたくないし量を試すか」


それから1時間もしないうちに9体のゴブリンのを倒して全部で10体の死体を集めた。ゴブリンはたまに木の枝を持っているふりまわす程度で攻撃はほとんど殴ってくるだけだった。すぐに慣れてあっというまに10体を倒して集めることが出来たがスケルトン召喚は出来ない。


「やはり骨にしないとダメなのかな?仕方ない解体するか。でもいやだな臭いし汚れるし。これは人生最悪だな。」


とため息を吐きながら解体しやすい足の部分を処理していく。

しかし、1体目の解体でいきなり吐いた。ため息ではなくゲロをだ!

涙目になりながら5体解体して10本分の足から骨を外して集めた。


召喚を試す。


「スケルトン 召喚」


・・・・

・・・

・・


しかし召喚できない。


「おいっ!何で発動しない。ふざけんな、最悪のスキルじゃないかよ!クソーーー」


解体の辛さから本気で怒りが湧いてきて叫んでしまう。


続けて解体する気力は失せており一時縦断する。


湖で手を洗い休憩をとりながら昼食を食べることにした。干し肉は食べる気がしないのでドライフルーツを食べることにしたのだが、手に染み付いたゴブリンの血の臭いのせいで吐き気がぶり返してくる。

昼食をなんとか食べて地面に寝そべる。


「これはきついな。解体とか最悪だわ。これで骨にしても召喚できなかったらもう封印しよう。街に行ってから肉屋で骨を買って試せばいいや。廃棄するのをタダでもらえるかもしれないし。強いモンスターの骨が必要なら倒せるようになってからじゃないと無理だ。倒すのも解体も人を雇っうって手段もありだな。やっぱり金が必要だな。」


しばらく青空を流れていく雲を眺めながら休憩をしながら、あれこれと今後のことなどを考えていた。

イヤイヤではあるがここで中途半端に諦めるのも悔しいので解体を再開した。


そして16本の足を解体し終えて発動した鬼兵旅団のスケルトン召喚でついに反応が起こった。

解体した骨の山の下に魔方陣が現れたのだ。


「ついに来たぞ。よっしゃーーー」


中身は30過ぎのおっさんであっても、苦しみからの解放と達成感から涙が出てくる。


胸の内から溢れる歓喜の叫びだった。


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