35 ヘンリル領戦役2
第一目標を壊滅させてから順調に街道を進んでいく。時折行き来する商人や一般人には話を聞いたり取引をする。新鮮な野菜や肉から日用品も奴隷の為に購入してやる。
スケルトンに怯えるものもいるが奴隷の軍なので規律は完璧なのできちんと対応すれば話を聞いてくれる。もちろんの逃げる者が大半だが追いかけたりはしない。しかし、兵士は別だ。移動中の兵士の集団もいたがスケルトンが1人も逃さず捕縛して奴隷にした。
夕刻になり第2目標の砦近くの村に到着した。通常の5000人規模の軍であれば3日はかかるようだ。通常の倍以上の行軍速度で進軍している。
村長を呼び交渉をする。
「村長呼び立てて済まないな。俺は新たにできたヘンリル領の領主でペルセ・アースと言う。今晩この村で兵を休めさせてくれないか。費用は支払うし迷惑はかけない。」
「領主様ですか。ヘンリル領とは初耳なのですがどちらの領主様なのでしょうか?もちろんの滞在して頂くのは構いませんがおもてなしが出来る程の余裕は…」
「ここの横に新しくできた領地だよ。今回の討伐作戦の対応でこちらによったのだ。金貨10枚でできる限りやってくれ。」
「金貨を10枚もですか…?そんなに頂いても出来ることは無いのですが宜しいのですか?」
「構わん単なる迷惑料だ。暖かいメシと寝床を用意する場所を確保したいだけだ。材料も調理もこちらでやるが手伝いをしてくれると助かる。住民の希望者がいれば食事を食べて行って構わない。」
味方と勘違いしているような村長に歓迎されて村で過ごすことにした。うそはついていないから問題ない。
夜も更けた頃に隊長を呼んで軍議を開く。
「閣下、今度はどのような作戦でしょうか?」
「次はここからすぐの砦だ。常備兵2000と討伐軍が3000の合計5000ぐらいだ。もう少し多く居る可能性もある。」
「砦を同数を攻略するとなると厳しい戦いになりそうですね。今回も策略を?」
「今回はおまえ達の想像通り厳しい状況だ。砦に篭城されると攻め難いからな。だから無視して通り過ぎる。無駄な時間も被害もお断りだからな。だが、俺の刀で門など無いに等しいから実際はさほど難しくも無いけどな。」
着々と準備を進めている敵を無視してここで時間を費やすわけにはいかないから。
ただ、素通りはもったいないし追撃されたらかなわないので嫌がらせはするけど…
「確かに閣下ならあっという間に攻略できてしまうかもしれませんね。でも、閣下がなにもせずに素通りですか…?でも逆に追撃されませんか?」
「ん?今から1人で嫌がらせはしてくるし通過時は入口を封じるから心配は要らん。」
「ですよね。なにもしないわけ無いですよね。嫌がらせとか言って皆殺しじゃないんですか?」
みんなが呆れ顔で見てくる。おいおい、人聞きの悪いこと言うなよ。
「それをご希望か?」
「そうゆう意味ではないのですが…そもそも私達は必要だったんですか?閣下と骸骨達のみで良かったような気がしますけど。」
「うーん、難しい問題だな。戦力としてはっきり言えばお荷物だな。でもお前等がいないと単なるモンスター軍になってしまうんだよ。多少の制限が有るぐらいが丁度良いんだよ。それに俺もスケルトンも万能ではないからな。」
「…」
「悲観せずに頑張ってくれ。おまえ達がやる事もたくさんある。では俺は行ってくる。」
「はい。お気をつけて。」
奴隷達にもいずれ活躍して貰うことも有るだろう。今はまだ温存してるだけだから落ち込まないで欲しい。
◆
敵の砦に近づくと篝火が無数に焚かれており多くの兵が活動している。
砦に入りきらない兵士達は砦の周りでテントを張り過ごしているようだ。
想像以上の規模と人数だ。厳しい警戒をしているから奇襲してもたいした戦果は得られそうにない。
ここは俺流の正攻法でいこうか。強固な基地にはこの作戦だ。
ゴーストを300体引き連れて空から近寄る。
適当に空爆してやればそれなりの効果はあるだろう。
砦の真上に展開し一気に降下しながら俺はフレイムバーストをゴーストはファイヤーボールを放つ。
砦に着弾した火の魔術ですぐに火の海になる。
「100体は砦の周囲に散開しろ。100体は砦の内部に突入しろ。残りはこのまま撃ちまくれ。俺は城門を破壊してくる。」
ゴースト達が散開していくと同時に敵から無数の矢が飛んできた。鬱陶しいから魔闘気を発動して城門まで飛んでいき刀で斬り裂き蹴り飛ばして破壊する。そのまま広場になっている場所に魔術を放っていく。
ゴースト達に向けて放たれる弓矢や魔術は最初こそ多くて被害も出たが徐々に減ってきた。
一時間ほど暴れたところで砦は轟々と燃え盛り抵抗も無くなったので引き上げる事にした。ゴーストは半数になってしまったが上々の成果だろう。
「俺はヘンリル領主のペルセ・アースだ。おまえ達に選択肢をやる。降伏か全滅の2択だ。降伏すれば全員治療してやる。降伏しなければいつまでもこの世で眠れる夜はこないと覚悟しろ。降伏するなら武装解除して城門まえで待っていろ、日が昇ったらまた回答を見にくるからな。」
大声で叫ぶのって疲れるわ…
降伏してくれればいいな、程度だがどうなるだろう?降伏しなければ明日からはゴーストに任せよう。
滞在している村に戻り兎獣人達にマッサージして貰う。
「主様は毎晩大変だね。気持ちいい?」
「おう、うまいぞ三人とも。癒されるわ~。腰は強めでな。」
「はーい。それで今日はどうだったんですか?すぐに帰って来られたみたいだけど偵察だけだったんですか?」
「いや、ちゃんと攻撃してきたよ。でも成果は分からないだわ。明日、反撃されるかもしれないから注意しないとね。」
「そうなんですね。ところで王都に行った2人はどうしたんですか?」
「あれ?言ってなかった?2人には婚約者の護衛と仕事の手伝いして貰うために残って貰ったぞ。」
「えぇー!主様は結婚するの?誰と結婚するんですか?私達は捨てられちゃう?」
結婚すれば性奴隷は捨てられる可能性は高いよな普通は。3人は不安そうな顔でこちらを見てくる。捨てるわけ無いだろうに。
「捨てないぞ。奥様は妾も家族だってよ。子供も産ませてやるように言われたよ。おまえ達子供欲しいか?ちなみに妻は3人になる予定。第一夫人は第三王女のライラだ。」
マッサージしていた3人手が止まる。
「えぇー!」
「ウソー!」
「ハァー!」
「主様、それは本当の話?お姫様と結婚するの?王女様?私達いていいの?」
「本当だぞ。いずれ会うことになるからな。嫌なら仕方ないけど。」
「イヤ、イヤ。大歓迎です。子供たくさん欲しいです。」
「ほんじゃ子作りするか!」
3人を相手に日の出近くまでハッスルして寝坊した。寝坊したら奴隷の隊長に怒られた。
「閣下お楽しみも結構ですがどんだけやるんですか?活躍もなく参戦してる男達のど真ん中で。その上寝坊するとか…ここは敵地のど真ん中ですよ!」
「済まなかった。俺の朝飯はいいから出発しよう。」
村長に礼を言って村を出発する。
奴隷に怒られる伯爵って…どうなんだ?
兎獣人の3人はツヤツヤで元気満々でした。
◆
魔車の適度な振動は眠りを誘う。
兎ちゃんに膝枕をしてもらい午前中から気持ちよくお昼寝をしているのにすぐに起こされた。
「ペルセ様!ペルセ様!」
「なんだよ?気持ちよく寝てるのに。」
「起きてください!もうすぐ砦なのですが様子が変なのです。偵察によると大勢の兵士が砦の前で転がっているらしいんですよ。しかも全員ボロボロであまりに異様だから近寄ったら降伏するから治療して欲しいと懇願してきたらしいそうです。どうされます?」
「…そうか。それじゃ砦まで行ってくれ。」
「分かりました。いったい昨日なにをしたんです?」
「兎ちゃんと子作り」
「そうじゃないでしょ!」
うるさいから窓を閉める。降伏してくれたならのんびり出来る。
砦の前にいた2000人弱の兵士はほとんどが火傷でボロボロだ。いずれ大半が死亡するだろう。
指揮官なのかひとりが足を引きずりながら近寄ってくる。
「ペルセ・アース様、全員降伏致しますので何卒お助けください。どんどん仲間が死んでいきます。治療をお願いします。あなた様に絶対の忠誠を誓います。なにとぞ、なにとぞお助け下さい」
涙を流しながら必死に訴える。皮膚が焼け爛れて肉がみえているもの。皮膚から変な色の汁が出ているもの。半死半生の者達が叫んだり呻き声をあげたりしている。
「全員奴隷だぞ。そしてこれからも戦って貰うぞ良いのか?」
「覚悟は出来ております。なので御慈悲を…」
「分かった」
ヒールを兵士達にかけていく。野戦病院のような現場は一時間もすると治療が終わる。治療が間に合わず150人程は起きることがなかった。回復魔術を使えばすぐに全快になるのは便利だ。
砦は接収しする事にした。内部は全て燃えてしまっているが石造りなので改装すれば立派な砦になる。
「この砦は国境とていい場所にあるからここまで領地を拡げるぞ。奴隷兵は500名ここでこいつらの監視として残り、その後は改修と防衛に当たれ。領都には使いをだす。周辺の村の支配や色々忙しいと思うが領地防衛頼むぞ。スケルトンも500体置いておくからうまく使え。」
「承知しました。必ずやご期待におこたえいたします。」
増えた領地は小さいが砦が手にはいるとはラッキーだ。それにしても空爆は効果が高いな!
砦であれこれしていたら夕方になったので野営をして翌日から行軍を再開する。
平地で野営していた公爵の最後の軍を撃破して伯爵領に突入した。
10キロほど先には伯爵軍一万以上が野営している。これまでと規模が違うからきちんと作戦を練ることにしよう。




