33 ロリ妻
王都の最後の仕事は婚約者との初顔合わせ。
しかもお相手はお姫様。
本物のお姫様だよ、王女だから。
「王の配慮で歳の近い王女を、と第八王女のライラ様が婦人候補となりました。王は気に入ればとおっしゃっていましたが…聡明で美貌の持ち主ですので必ずお気に入りいただけると思います。」
「ゴブリンやオークと見分けがつかない王女でも愛してますとしか言わせない癖によく言うわ。」
「閣下そのようなことはいわないで下さいよ。それに本当の事なのです。才覚だけで言えば次期国王になっていただきたいような方です。」
不機嫌さを隠さないまま王城の一室に案内された。
流石は王城だけあり扉一つが芸術品のような彫刻が施されていた。こんな所でしか暮らしたことのない王女が俺の小さな城で暮らせるのか?
城を管理するトップはギャングのボスだしな。
そんなことを考えていると取次がされて王女の部屋の扉が開かれた。ここからは男は入れ無いので案内なしで俺のみだ。
数人のメイドが扉の左右で頭を下げる。
広い部屋の奥でソファーに腰掛けていた少女が立ち上がった。
優雅な所作でお辞儀をした彼女は確かに聡明そうで可憐だ。まるで妖精の人形のようだ。
「初めましてペルセ様。ライラと申します。これからの人生は妻として貴女に捧げさせていただきますので末永くお願いします。」
微笑んだ彼女は確かに可愛いくて言葉遣いから賢さが溢れる。
だけど…
「婚約者って…ガキかよ…」
周りのメイドが一斉にざわつくがそれ以上に言葉がでない。婚約者を紹介されたら小学生高学年。よくて中学生ぐらいの少女なのだ。
「申し訳御座いません。まだ子供でして。ともかくおかけ下さい。」
促されて腰を下ろす。出された紅茶を飲みながら改めて観察するがどう見ても子供だ。
「ペルセ様は25歳でしたよね?実は私も同じ年齢なのです。それで国王様が妻にと言われまして…でも私はうれしく思っています。ペルセ様の妻になれることを誇りに思いますのよ。」
「無理をする事はない。貴族とはいえいくらなんでもこんな子供を妻に出すとは…普通に有ることなのか?」
「産まれる前から婚約者が決まっている者もおります。貴族の娘とはそう言うものです。お優しいのですねペルセ様は」
確かに地球でも昔はそんな事もあった。
だが現代人の俺には…ロリは嫌いではないがあくまで画面の中の話だ。リアルだと受け入れられない。
年齢は同じでも成長が違うからあまりに不釣り合いだ。
「本当に君はそれで良いのかい?」
「はい。もちろんの事です。国王様がお認めになられた方ですので。」
たぶん彼女は俺がどんな事をしているのかも、どういった意味で嫁がされるのかも知らないのだろう。
いつ王国を裏切るか分からないから娘を抑止力にしたのだろ。一度抱いた相手には情が湧くものだ。
まして子供の婚約者なら裏切りにくいと思ったのだろう。純粋とは強力な武器になるから。
しかし、その気になれば首のみで実家に帰してやることも出来るが…やりたくはない。
「もちろん国王様のお考えも承知しております。貴族はあまり顔に出されてはだめですよ。それに、そのような顔をされる方なら心配などありません。国王様は少し心配性なのです。」
そんなに顔に出ていたか…
やはり王家の娘だ、さすがと言うしかない。
全てを理解しているのか。だが逆に頭が良いが故に不憫だ。何も理解せずに言われるがままにお花畑のなかで暮らせた方が余程幸せなのかもしれないな…などと思ってしまう。
「そうか。運命を受け入れたのか。腹をくくるのは俺か。子供扱いしてすまない。」
「はい、運命の糸でつながっております。」
嬉しそうに笑う。
「君の向かう先は魑魅魍魎が闊歩しており、数多の屍の山を築き、血の滝を浴びるようなな場所だ。これは比喩でもなんでもない現実だ。覚悟は出来ているのかい?」
「はい。ペルセ様が行かれるのであれば地獄の先にでもご一緒致します。」
妻にするに値する…いや出来過ぎた妻だ。
俺はこれまでの事件や現在の状況を話して、彼女は趣味など色々と教えてくれた。
あっという間に時間が過ぎていた。話をしているととても心地がよい。
「それでライラはこれからどうする?一緒に領地に行くか?」
「婚約しても嫁入り前の身ですのでここでお待ちしております。婚姻の儀はペルセ様の状況に合わせた方がよろしいかと存じます。」
「そうか。ではあと2人ほど妻をとる必要が有るからライラが選んでくれ。それと俺の仕事に興味があるならここから手伝ってみるかい?」
「宜しいのですか?」
「慣れない王都に部下も四苦八苦している。仕官の選抜やアース商会の販路の拡大、商人や職人、奴隷の確保。領地や貿易都市で必要な物資の調達などやることは尽きないからな。本来で有れば貴族の付合いもしなければならないがそんな余裕は俺にはない。というか単純に堅苦しいのが苦手でね。その辺も頼めるかい?」
「私の出来る範囲で頑張ります。それで派閥は国王派で宜しいのですか?」
あどけない少女が期待に満ちた笑顔で派閥などと口にすると違和感を感じるが重要なことだ。
「俺を貴族にしてくれた伯爵の二人は国王派なのだから自然とそうなるな。それにライラもその方が良かろう?」
「派閥はあれど激しく対立しているわけでは無いのでペルセ様の選択にお任せします。公爵様方はお二人とも優しい叔父ですので。」
意外にうまく成り立っている王国のようだ。
彼女の王族としての序列は低いそうで、王族といえども格の高い嫁ぎ先は期待できなかったため帝王学や経営学を学んだそうだ。自分の力で嫁ぎ先の家を盛り立てるために。それが王国にとっても利益になると。
彼女の手腕を借りれば領地の戦争に専念出来るだろう。それに知識だけでは失敗する事を学ぶのも良い。経験を積むことが大切なのだ。
「連絡役としてメイドを2人預けよう。俺の奴隷で兎獣人が2人だ。うまく使ってくれ。」
「兎獣人ですか…と言いますとあれですか?」
「そうだ、捕まって奴隷になるぐらいだからレベルが高いとは言えないがな。多少は鍛えてある。」
そう、兎獣人は特殊技術を持っている。
暗殺術だ。
もちろんの暗殺以外も潜入・情報収集・ハニートラップまでやれる。
ようはこの世界の忍者やスパイのような者なのだ。彼女たちはまだ若く未熟であったために捕まったようだ。
「…ペルセ様のお相手も?」
あっあっあ!
お相手?何のかな?
子供でも気づいたかな?
夜のお話だよね?
しにくいな…浮気とかじゃないけど話しにくいな。
子供だからと言うより将来の嫁だからかな?
「まぁ、なんだ。それもあるかもな…ははは」
「全員で何名ほどいるのですか?全員下がりなさい夫婦のお話があります。」
では失礼します…と言ってメイド達と一緒に退席したいがそれは出来ないよね?
なんともいえない迫力がライラにある。さっきまで子供じゃなかったかな?
「ペルセ様よろしいですか。もう一度お聞きしますよ。全員で何名の女性が居るのですか?」
女は産まれた瞬間から女だと聞いたことがあるが本当だ。顔は優しく笑っているが目がマジだ。
勘が良過ぎるから隠すことは出来ないな、正直に話すしかない。
「現在は18名ほど…です」
「18…ちょっと多くありませんか?」
ですよね…
「申し訳ありません」
「妻だけで3名ですよ。将来出世すればさらに増えるでしょうから今後は少し自重してくださいね。それでお子を授けるつもりの方は何名居るのですか?ワーロックの特異性は知っておりますので限られますよね。」
そうワーロックの俺は自分の魔力を分けなければ子供ができない。ただ魔力は半端無くあるので制限は無いのだが…
「第一拠点にいるエルとハロルゼのアリーシャにはと考えている。ダメだろうか?」
「ダメです。全員にきちんと子を授けてください。貴方の第一夫人になる私の責務は家を守り繁栄させることです。貴方の夫人も妾も全員が私の家族であり、その子供たちも全員が私の子供です。一族で貴方を支えるように育て教育して次世代に受け継ぐのです。私も産みの母よりも第一后に育てられました。その教えもきちんと受け継いでおります。」
「なんと言ったらいいのか…分かった。タイミングをみてそのようにしよう。」
「私が貴方のお相手を勤めれるようになり、世継ぎを授かることが出来るのはまだ20年ほど先です。それまでは彼女たちに支えてもらいたいと思います。必ず全員をご紹介ください」
「分かりました。そのようにいたします。」
こういうことに男は弱いね、つい敬語になっちゃったよ。
やっぱり女は強い…そして恐い。
それに終始変わらない笑顔ってどうやるのか不思議だ。
「ご理解いただけて幸いです。では後武運をお祈りしております。」
立ち上がり部屋を出るためにノブに手をかけようとしたが、ふといたずらを思いつき横に立つライラの手をとる。
右手をやさしく握って引き寄せながら左手をあごに添えて少し持ち上げる。
見詰め合ったまま軽くキスをしてみた。
単なるフレンチキスだが目を見開き真っ赤になるライラ。
ロリでも妻ならタッチまではOKなのだよ。
「可愛いねライラ」
「もぉー」
さて戦場に戻るかね…違った我がヘンリル領だ。
ペルセ・アース・ヘンリル伯爵として初陣だ。




